蘇生の章2nd第六十話 戦乙女たちの激闘
クリスたちが宿で一晩休息を取っている中、見張りの塔で見張りをしていた兵士が王座の間に現れ、オーディンにヘルヘイムの軍勢がヴァルハラを襲撃しようとしていることを報告する。その事実を知ったオーディンは直ちに精鋭の部下たちを王座の間に招集させ、ヘルヘイム兵の殲滅命令を出す。四人の精鋭は大広間に配置した数十名の重装兵たちとともに、ヴァルハラの北側へと向かい、ヴァルハラを襲撃しようとするヘルヘイムの軍勢を迎え撃つ。兵士たちの武器と武器がぶつかり合う熾烈な激闘の末、彼らはヘルヘイムの兵士たちを殲滅し、オーディンのいる王座の間へと帰還するのであった……。
精鋭の部下と重装兵たちがヘルヘイムの軍勢と戦いを繰り広げている中、戦乙女と戦士たちは閉ざされた部屋の中に広がっている地下道の探索を始めていた。しばらく地下道の内部を進んでいると、突如天井からうめき声とともに不気味な魔物が彼らの前に現れた。オルトリンデの言葉によると、天井を這う不気味な生物は手足に生える鋭い爪は猛毒を持ち、無数の牙をもつ口で噛みつき生物の血を吸いつくすことから、『第三種接触禁忌魔物』と呼ばれる危険な魔物、ブラッドサッカーであった。ブラッドサッカーは長い舌を鞭のようにしならせてオルトリンデに攻撃を仕掛けるが、彼女は素早い動きで長い舌の一撃をかわし、レイピアを舌に突き刺してブラッドサッカーの自由を奪う。ブラッドサッカーの動きを封じた後、オルトリンデは聖なる炎の術で第三種接触禁忌魔物と呼ばれるブラッドサッカーを打ち倒した後、再び彼らはどこへ続くかわからない暗闇の地下道の奥へと進むのであった……。
ブラッドサッカーを退けた戦乙女と戦士たちは、暗闇の地下道のさらに奥へと進んでいく。地下道を進む彼らは魔物に気をつけながら進んでいると、大きな岩が行く手を阻んでいた。
「くっ…岩が邪魔で先に進めないようだが、道は繋がっていることは確かだ。ここはみんなの魔力を集め、岩を吹き飛ばすほどの大爆発を起こせばあの岩を破壊できそうだな。よし、そうときまれば早速岩の破壊にとりかかるぞっ!!」
オルトリンデの言葉の後、戦乙女たちは行く手を阻む岩を破壊するべく魔力を集め始める。戦乙女が集めた魔力は巨大な光の玉となり、オルトリンデのもとに集まる。
「よし…みんなの魔力が私のもとに集まってきたぞ!!後は私が爆発系の術を唱えてあの岩を砕く…いや、その方法では岩のかけらが飛び散って危険だ。そうだ…ここはシュヴェルトライテの持つ刀に魔力を注ぎ込み、魔力を込めた斬撃を放てば岩は真っ二つに斬れるかもしれないな。」
爆発系の術では危険だと判断したオルトリンデは、シュヴェルトライテの黒刀に魔力を注ぎ込み、魔力を込めた斬撃で岩を真っ二つにするという提案を思いつく。
「シュヴェルトライテよ…今からそなたの黒刀に戦乙女の魔力を注ぎ込む。魔力を受け取ったらあの大きな岩に斬撃を食らわせてくれ!!」
「わかった!!オルトリンデよ…私の刀に魔力を注ぎ込んでくれぃっ!!」
シュヴェルトライテが黒刀を掲げた後、オルトリンデは戦乙女たちが集めた魔力を黒刀に注ぎ込む。戦乙女たちの魔力がシュヴェルトライテの黒刀に注ぎ込まれた瞬間、黒刀は光り輝き始める。
「そなたたちの魔力…しかと貰いうけたぞ。我が黒刀に集められし同志の魔力よ、全てを切り裂く斬撃とならん…黒死邪刀術・聖式零ノ型、聖煌斬破(アルテマブレイク)!!」
シュヴェルトライテは刀を構え、行く手を阻む岩に魔力を込めた斬撃を食らわせる。濃縮された戦乙女たちの魔力とともに放たれた黒刀の斬撃は、巨大な岩を容易く真っ二つにする。
「やった…これで地下道の先に進めるぞっ!!皆の者、調査を再開するぞ。」
行く手を阻む巨大な岩を破壊することに成功した一行は、地下道の調査を再開するのであった……。
一方ヘルヘイムの軍勢の殲滅を終えたガレリアたちは謁見の間へと戻り、オーディンに任務完了の旨を告げる。
「オーディン様、ヘルヘイム兵の殲滅の任務を遂行してまいりました…。」
ガレリアから任務完了の報告を受け、オーディンはガレリアたちに感謝の言葉を述べる。感謝の言葉を告げた後、伝説の武具についての
「任務遂行御苦労であった…。しかし奴らはまたヴァルハラを襲ってくるかわからない。ガレリアよ、そなたも聞いているかもしれぬが、天界にはかつて天界を救った勇者が身に着けていたと言われている6つの伝説の武具が眠っているとのことだ。君たちはそれについて何か聞いているかね?」
「オーディン様、噂には聞いています。伝説の武具は確か…剣・鎧・兜・盾だけは知っていますが、あと二つは何かはわからないのです。」
ガレリアの言葉の後、オーディンは残り二つの武具のことを話し始める。
「残り二つは護符と手袋だ。伝説の武具の一つである『麒麟の護符』は私が保有している。しかし手袋の方は地上界に落としてしまい、行方が分からなくなってしまったのだ。だがその手袋というのは特殊でね…卓越した魔力を持つ者が身につけることで効力を発揮するという代物だ。もっとも地上界でその手袋を身につけられる者は万に一人もいないだろうな…今頃は地上界の者によって捨てられているかもしれんな。」
オーディンが伝説の武具についての話を終えた後、ガレリアは頷きながらこう答える。
「そうですか…だが我々はヴァルハラを守らなければならないので伝説の武具の捜索はできないが、私たちは資料室でその勇者についての文献を調べてきます。」
オーディンにそう告げた後、ガレリアは伝説の勇者についての文献を調べるべくヴァルハラの地下にある資料室へと向かっていく。
「ここが王宮の地下資料室か…これだけの本の量から探せというのは大変だが、やるしかなさそうだな。」
膨大な量の文献が置かれている中、ガレリアは伝説の勇者のことについて書かれている文献を探し始める。探し始めてから数時間後、ガレリアは伝説の勇者について書かれた書物を発見する。
「これだっ!!これこそ伝説の勇者について書かれている文献だ。さて、少し読んでみようかな。」
ガレリアは先ほど見つけた勇者の文献を手に取り、読み始める。ページをめくるたび、ガレリアの頭の中に伝説の勇者の情報が次々と入り込んでくる。
『伝説の勇者・伝説の武具を用いて天界に平和をもたらす。その右手にの天帝の剣を、左手にはアストライアの盾を…その身にディアウスの鎧を…頭にサレウスの兜を身につけ、死者の国(ヘルヘイム)の将である死皇帝ジャンベールを討ち、ヘルヘイムの右半分を討ち滅ぼし、フェアルヘイムを作る。勇者の伴侶である魔導を極めし女には麒麟の護符…その両手にはレムリアの手袋を身に着けていたという。しかし、勇者たちは新たなるヘルヘイムの将に倒され、伝説の四つの武具を奪った。護符だけは無事だったが、手袋は風に飛ばされ、今も発見者はいないと言われている……。』
「そ…そういうことだったのかっ!?伝説の勇者を殺し四つの伝説の武具を奪ったのは死霊王ジャンドラだったとはなっ!!こうしてはおれん…このことをオーディン様に報告しなければならんっ!!」
伝説の勇者の文献を読み終えたガレリアは、地下資料室で見つけた文献を手に謁見の間へと走っていく。
「はぁはぁ…オーディン様…やっと伝説の勇者の文献が見つかりました。書物に書かれている文章によると、伝説の勇者を殺し、伝説の四つの武具を奪ったのは現在のヘルヘイムの将ジャンドラだ。だとすれば伝説の武具たちはヘルヘイムのどこかに隠されている…かもしれないな。」
ガレリアが伝説の勇者のことについての報告を終えた後、ガレリアは先ほど地下資料室で手に入れた文献をオーディンに手渡す。
「ほほう…これが伝説の勇者についての文献だな。では早速読んでみると……!?」
オーディンが伝説の勇者の文献に手をかけようとしたその時、オーディンの持っているテレパシーストーンが光り輝きだす。
「こちらオルトリンデ…地下道の調査を続けていたら、祠のような建物が発見しました。祠の内部には何やら剣と盾らしきものがありますが、どちらも魔物が守っているようでした。」
オルトリンデが魔物が守っている剣と盾のことを事を話した後、オーディンは少し頷きながらこう答える。
「うむ…ヘルヘイムの魔物が守っているということは、どうやらあの剣と盾は伝説の武器かもしれんな。オルトリンデよ、なんとか魔物を退けて宝を手に入れるということはできないか…。」
「先ほどヘルヘイム魔物図鑑で調べたところ、剣を守っている奴らは相手は第二種接触禁忌魔物のプリズンガーダーと、特A級接触禁忌魔物スプラッターだ。盾の方は特A級接触禁忌魔物のブラックギアと、最上級接触禁忌魔物の魔竜ベルグが守っている。どちらも接触禁忌の魔物が守っているので、私たちが束になって戦っても勝てるかどうかわからぬが、なんとか奴らから剣と盾を奪ってやる。」
魔物が守っている剣と盾を奪うというオルトリンデの言葉に、オーディンは半ば心配そうな表情を浮かべながら答える。
「わかった。くれぐれも無茶だけはするな。ヘルヘイムの接触禁忌魔物はどれも驚異的な力を持っている。一時の油断ひとつで一気に窮地に陥るかもしれないので、常に気を引き締めて強敵に立ち向かうようにな…最後にひとこと私から言っておくが、誰一人として死者をだすことなく剣と盾を手に入れ、無事にヴァルハラに戻ってくるのだぞ。」
無事に生きてヴァルハラへと戻ってこいとの言葉の後、オーディンは通信を切断しオルトリンデとの会話を終え、伝説の勇者について書かれた文献を読み始めるのであった……。
一方地下道の中にある祠へと足を踏み入れた戦乙女と戦士たちは、魔物が守っている武器を手に入れるべく、作戦を立てていた。
「剣と盾を守っている魔物だが、どちらも先ほど戦ったブラッドサッカーよりも強い相手だ。さて、これから戦闘要員を割り当てるのだが、剣よりも盾を守っている魔物が強力なので、私とシュヴェルトライテ、そして戦士8人で盾を守る魔物を相手にするから、残りの者は剣を守る魔物と戦え。では作戦開始だ…皆の者、決して死ぬんじゃないぞっ!!」
オルトリンデが作戦開始を告げた後、一行は剣と盾を守る魔物を倒すべく作戦を開始する。
「キキー!!この先の宝が欲しいか…ならば俺たちを倒して行くがいい…だが俺たちは強いぜ。それでも戦うのか…。」
剣と盾を守る悪魔が睨みをきかせながら、戦乙女と戦士たちにそう言い放つ。戦乙女と戦士たちは怯む様子はなく、ただ武器を構えて魔物に戦いを挑む。
「たとえ貴様らが強くても、私はその先の宝が欲しい…いざ勝負っ!!」
「よかろう…ちょうど腹が減っていたところでな。では…行くぞっ!!」
戦乙女と戦士たちが戦闘態勢を取った瞬間、魔物たちも戦闘態勢に入り戦乙女たちを迎えうつ。戦乙女が先陣を切って魔物たちと立ち向かう中、戦士たちは武器を構えて応戦する。
「皆の者、戦乙女たちに続けっ!!」
戦士たちの協力もあり、剣を守る魔物の一人であるプリズンガーダーを倒すことに成功した。しかし、もう一方の魔物のスプラッターの攻撃により、5名の戦士が彼の凶刃の犠牲となる。
「キキー!!我が鎌は命を刈り取る恐怖の刃…命を奪えば奪うほど力を増すっ!!次はあの女の首を狩るとするかっ!!」
特A級接触禁忌魔物のスプラッターは鎌についた血を啜りながら、グリムゲルデに狙いを定める。しかしグリムゲルデはスプラッターに指差し、挑発する。
「よくも戦士たちを殺してくれたな…下衆な魔物め。だが私には秘策というものがある。貴様の力を奪うためのなっ!!」
グリムゲルデがそう言い放った後、彼女の指から強烈な波動が迸る。指先から迸る波動を受けたスプラッターの鎌の力が打ち消され、威力が弱まっていく。
「な…なんてことだ!!私の鎌の威力が弱まっていくとは…!?」
「これが戦乙女の力というものだ…貴様が殺した戦士たちの仇、今ここでとらせてもらおうぞっ!!」
戦士たちを殺され、怒りに震えるグリムゲルデはパルチザンを構えスプラッターを迎え撃つ。はたして戦乙女と戦士たちは宝を守る接触禁忌魔物を倒し、伝説の武具を手に入れることができるのであろうか……。