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終章第四十話 氷澪晶

 ミシュリアの策略によって離れ離れになってしまった仲間たちはロレンツォによって連れ去られたセルフィを救出するために旧ウォルティア城へと向かう為に雪原を進むが、雪の女王の支援軍であるアイスガルムが襲い掛かってきた。何度体を破壊されても再生するアイスガルムに苦戦を強いられるが、アイスガルムの体内にある赤く光る氷の結晶のような核が再生能力を司る器官であると見破り、雪の女王が送り込んだ支援軍を全滅させることに成功した。

 

 一方その頃、雪原の偵察を行っていたスノースピリットたちが城内に帰還し、雪原に放ったアイスガルムが侵入者たちによって全滅させられたことを雪の女王に知らせる。

「ゆ…雪の女王様!!大変です!!先ほど支援軍として放ったアイスガルムが、侵入者たちによって全滅させられました!!

スノースピリットからもたらされた一報に、雪の女王は驚きの表情をうかべる。

「私が生み出したアイスガルムが…全滅させられただと!?で、その侵入者とやらの姿を見た者はいるのか!!

「誰もその姿は見ていないのですが、雪原の偵察中にありえないほどの膨大な量の熱量を感知した我々がその場所に急行したところ、そこだけ雪が溶けて地面が見えていた。どうやら侵入者の中に炎の魔力を扱う者がいるという可能性があるとも言えます!!

雪の女王は冷静な対応でスノースピリットたちを落ち着かせたあと、侵入者に対する対策を話し始める。

 「お前たち、少し落ち着け。確かに炎の魔力は氷の魔力を持つ我々にとって脅威となりうる。ならば弱点である炎を打ち消すほどの極低温の冷気を纏うことで炎のダメージを軽減…いや無効化することができるかもしれん。私の氷の魔力を結集して生み出した極低温の冷気を放つ水晶である『氷澪晶』があれば、炎の魔力を持つ侵入者と互角に戦えることだろう。」

雪の女王は両手に魔力を集め、青白く輝く白い結晶を創り出す。どうやらこれが炎の魔力を持つ者に対抗するための極低温の冷気が込められた『氷澪晶』であった。

「うむ。これが炎の魔力を持つ者に対抗するための結晶か…これがあれば侵入者を倒せるぞ!!

「女王様、まずはこの私にお譲りください!!必ずや侵入者を打ち倒して見せますぞ!!

配下たちは雪の女王の元に集まり、生み出したばかりの氷澪晶を手に入れようと必死になる。

 「ええい、静まるがよい!!この結晶は私の魔力を結集したものであり、生み出すには少し時間がかかるのだ。ちゃんとお前たちに行きわたるように氷澪晶は生み出しておくので安心せい!!」かに炎の魔力は氷の魔力を持つ我々にとって脅威となりうる。ならば弱点である炎を打ち消すほどの極低温の冷気を纏うことで炎のダメージを軽減…いや無効化することができるかもしれん。私の氷の魔力を結集して生み出した極低温の冷気を放つ水晶である『氷澪晶』があれば、炎の魔力を持つ侵入者と互角に戦えることだろう。」

雪の女王は両手に魔力を集め、青白く輝く白い結晶を創り出す。どうやらこれが炎の魔力を持つ者に対抗するための極低温の冷気が込められた『氷澪晶』であった。

「うむ。これが炎の魔力を持つ者に対抗するための結晶か…これがあれば侵入者を倒せるぞ!!

「女王様、まずはこの私にお譲りください!!必ずや侵入者を打ち倒して見せますぞ!!

配下たちは雪の女王の元に集まり、生み出したばかりの氷澪晶を手に入れようと必死になる。

 「ええい、静まるがよい!!この結晶は私の魔力を結集したものであり、生み出すには少し時間がかかるのだ。ちゃんとお前たちに行きわたるように氷澪晶は生み出しておくので安心せい!!

雪の女王の一声で、騒いでいた配下たちは静まり返る。

「すまない…侵入者を早く排除したくて少し急ぎすぎたな。では我々はこれにて失礼いたす!!

配下たちが玉座の間を後にする中、雪の女王によって新たな体と氷の甲冑を与えられた冬将軍は雪の女王が生み出した氷澪晶を見つめ、胸をおどらせていた。

「おお、あれが炎の魔力を弱める働きを持つ『氷澪晶』でござるな。私は一度侵入者と戦い敗北を喫したが、その石で新たな力を手に入れれば奴らに一泡吹かせてやれるかもしれんな!!

侵入者であるリリシアとレナードに敗北を経験した冬将軍は、高らかに笑みを浮かべながら玉座の間を去って行った。

 

 一方その頃、雪の女王の放った支援軍であるアイスガルムを退けたリリシアたちは旧ウォルティア城へと向かうため、再び雪原の中を進んでいた。

「これほど一面真っ白な光景だと、どこへ向かっているのかわからなくなっちゃうわね。とりあえずまっすぐ進めばたどり着けるんじゃないかな?」

「ただまっすぐ進めばいいわけではない…人が住んでいたという形跡を探すのが先決とも言えるな。そこから手がかりを探せば目的地への道が開けるかもしれないぞ。」

二人が雪の中をしばらく歩いていると、目の前に小屋のような建物が目に映る。どうやら建物内には人の気配はなく、長い間野ざらしにされていた。

「小屋の中に人の気配はないが、扉には鍵がかかっているわね。中に入ることができれば何か手がかりが得られそうなのにね。」

「鍵がかかっているなら、私の糸術を使えば何とか開錠できそうだな。」

レナードは魔力で生み出した見えない糸を鍵穴に差し込み、扉に掛けられた鍵の開錠を試みる。数分後、ガチャ…という金属音と共に扉が開かれる。

「よし!!これで扉が開いたぞ。」

二人は小屋の中へと入り、ウォルティア領北に関する手がかりを集めるべく探索を行う。小屋の中にはかつてこの地に住んでいた人が生活をしていた名残が残されており、手がかりとなる情報が数多くあった。

 「この家はかつて人が住んでいたと思われるわね。家の持ち主には悪いけど、探索を始めましょう。」

二人はウォルティア領北に関する手がかりを得るべく、家の中の探索を始める。数分後、二階の子供部屋の探索を行っていたレナードが何かを見つけたのか、大声でリリシアを呼ぶ。

「おーい!!これを見てくれ!!

「レナード、何か良い手がかりが見つかったの!?

レナードの声を聞き二階へと駆けつけたリリシアに、レナードは古ぼけた紙切れを見せる。

 「これはウォルティア地方の全域地図だ。南だけではなく北の全域も記載されている。しかも運がいいことに、この地図の持ち主が家から学校までの経路が赤いペンで書かれているようだ。どうやらこの子はこの家から旧ウォルティア城下町の学校に通っていたらしいな…こいつはいい手がかりになりそうだ!!

レナードが地図を見終わった後、リリシアがウォルティア全域の地図にじっくりと目を通す。

「これは助かるわね!!今いる場所がここだとしたら、すぐそこにある小さな村を経由して進めば旧ウォルティア城まであと少しよ。お子さんには悪いけど、これは私たちがもらっておくわ。」

レナードは子供部屋で手に入れた地図を鞄に入れた後、リリシアを連れて一階へと向かう。

「ウォルティア領北の地図を手に入れただけでもいい収穫だったな。そろそろ私たちも出発しようか。」

レナードが家の扉を開けたその時、強烈な猛吹雪が部屋の中へと吹き込んでくる。家の外は視界を奪うほどの猛吹雪で一歩も進める状態ではなく、足止めを食らってしまった。

「先ほど出発しようと言ったが、外は猛吹雪で少しも進めない状態だ。少し前までは雪は止んでいたのに。」

「まったく、最悪のタイミングで猛吹雪に当たってしまったわね。吹雪が治まるまでこの家の中で待つしかなさそうね。一刻も早くカレニアたちと合流しなきゃいけないのに……っ!!

突然の大吹雪のせいで足止めを食らい、リリシアはひどく苛立っていた。

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