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蘇生の章2nd第九十六話 大激戦の先に

クリスたちが一進一退の戦いを繰り広げる中、ついにジャンドラが完全なる存在と化した。完全体となったジャンドラは口から死霊の集合体を吐き出し、クリスたちを生ける屍にするべく襲いかかってくる。クリスが死霊の集合体を次々と倒していくが、背後から襲ってきた死霊の集合体によってクリスは生体エネルギーを吸い尽くされそうになるが、僅かに残った魔力を解放させクリスの体を覆い尽くす死霊の集合体たちを追い払い事なきを得る。絶体絶命の窮地を脱したものの、体力と魔力を大幅に吸い取られたクリスはまともに動くことができず、死霊の集合体は再びクリスの方へと向かってくる。死霊の集合体はクリスの体に纏わりつこうとしたその時、ゲルヒルデが光の術を唱えクリスに襲いかかろうとする死霊の集合体を焼き尽くし、クリスを救出する。カレニアがクリスと仲間たちにジャンドラを倒すための作戦を伝えた後、仲間たちは武器を手にその作戦を実行に移すのであった……。

 

 クリスが天帝の剣を構えてジャンドラを迎え撃つ中、助太刀に駆け付けたカレニアとエルーシュはクリスが攻撃に専念できるよう、素早い動きでかく乱しつつジャンドラに攻撃を仕掛けていく。

「おのれ小娘どもめ…素早い動きで私の前をちょこまかと動きよって!!こうなったら貴様らまとめて生ける屍にしてくれるわぁっ!!

素早い動きでかく乱するカレニアとエルーシュの行動に怒りを感じたジャンドラは再び口から無数の死霊の集合体を吐き出し、クリスたちを生ける屍にしようとする。

「あいつ…また死霊の集合体を吐き出してきたわね。ここは一旦奴から離れ…きゃあっ!!

カレニアがジャンドラから離れようとした瞬間、一匹の死霊の集合体がカレニアの体に纏わりつく。一匹がカレニアの体に纏わりついた瞬間、数匹の死霊の集合体が次々とカレニアの体に群がってくる。

「カレニアさんが死霊の集合体にエネルギーを吸われているわ!!ディンちゃん…閃光弾を投げてカレニアさんを助けてあげてっ!!

「了解…閃光弾で奴らを追い払ったら光の術であいつらを焼き払ってくれっ!!

カレニアを救うべく、ディンゴは閃光弾をカレニアの方へと投げて死霊の集合体を追い払う。まばゆい閃光によって死霊の集合体がカレニアの体から離れた瞬間、ゲルヒルデは光の術を唱え死霊の集合体を焼き払う。

 「ありがとうゲルヒルデ…あなたのおかげでなんとか助かったわ!!だが死霊の集合体が何匹か空中に漂っているわ…ディンゴ、ここはあなたの出番よ!!

ディンゴとゲルヒルデのサポートによって死霊の集合体から解放されたカレニアはディンゴに残りの死霊の集合体を倒すようにと伝えた後、再び剣を構えてジャンドラのもとへと向かっていく。

「さて…ここは一撃で倒せるかどうかわからないが、光の属性を持つ聖光弾で倒すしかなさそうだな。」

ディンゴはボウガンに光の属性を持つ弾丸である聖光弾を装填したあと、精神を集中させて空中を浮遊している死霊の集合体に狙いを定める。

「よし、狙いは十分定まった…当たってくれよっ!!

ディンゴが引き金を引いた瞬間、発射口から放たれた弾丸は聖なる光を纏い、空中を浮遊する死霊の集合体に命中する。その後ディンゴは次々と空中に漂う死霊の集合体に聖光弾を撃ち込み、ジャンドラが吐き出した死霊の集合体を殲滅する。

「よし…ナイスよディンゴ!!あなたのおかげで死霊の集合体は全滅したわ。だが奴はまだ死霊の集合体を吐き出してくるかもしれないから、引き続き様子を見て行動してちょうだい。」

ディンゴに引き続き様子を見て行動するようにと伝えた後、カレニアは炎の魔力を集めて術を放つ態勢に入る。

「奴の弱点は炎…しかし堅い甲殻は炎の耐性値がとても強いみたいね。ここは魔力を練り合わせながら様子を見て、最大級の一発を奴の体の内側に打ち込むしかなさそうね…。」

カレニアは眼鏡を使ってジャンドラの情報を収集した後、術を唱えるべく詠唱に入る。エルーシュはカレニアが詠唱に専念できるよう、少しでも時間を稼ぐべくジャンドラをかく乱する。

 「カレニア…ここは私がスピードでかく乱し術の発動まで時間を稼ぐ!!

エルーシュが素早い動きでジャンドラをかく乱する中、クリスは天帝の斬撃を放ちジャンドラに攻撃を仕掛ける。だがクリスの放った斬撃はジャンドラの堅い甲殻によって阻まれ、大したダメージを与えられなかった。

「死に損ないめ…今度こそ地獄へと送ってくれるわっ!!

ジャンドラは口から闇の波動を放ち、クリスに襲いかかる。クリスは天帝の剣を盾にしてジャンドラの攻撃を防御するが、その圧倒的な威力によって後ろへと大きくのけぞってしまう。

「くっ…防御していたからよかったが、あの直撃を受ければひとたまりも無いわね。だがここで怯むわけにはいかないっ…!!

クリスは急いで態勢を立て直し、再び剣を構えてジャンドラに立ち向かっていく。

「あの小娘め、この私の圧倒的な力を見せつけてもなおまだ足掻くつもりか…今度こそ我が死霊で生ける屍になるがよいっ!!

ジャンドラは大きく口を開け、死霊の集合体を吐き出す態勢に入る。その様子を見ていたカレニアはジャンドラを倒すための秘策を思いついたのか、心の中でそう呟く。

 「ジャンドラが口を開けたということは…また死霊の集合体を吐き出すつもりね。うふふ…いいこと思いついたわ。奴が口を開けている隙に大火球を口の中に放り込めば、面白いことになりそうねっ!!

心の中でそう呟いた後、術の詠唱を終えたカレニアは大火球を生み出し、ジャンドラの口めがけて放つ。カレニアの放った大火球はジャンドラの口の中へと入り、体内で巨大な爆発を起こす。

「ぐッ…ぐおおぉぉぉぉっ!!体が…体が焼けるっ!!

カレニアの大火球を飲み込んだジャンドラは、口から黒い煙を吐き出しながらのたうちまわる。ジャンドラは体内で起こった大火球の爆発によって死霊の集合体を生成する器官が破壊され、死霊の集合体を吐き出すことができなくなる。

「今がチャンスよクリスっ!!腹部は肉質が一番柔らかい部位よ…そこに一発斬撃を食らわせてやればかなりのダメージを狙えるわ!

「わかったわ…奴の無防備な腹部に一発ぶちかましてやるわ!!

クリスは天帝の剣に自分の魔力を注ぎ込み、天帝の剣を巨大な光に変えて天帝の斬撃を放つ。クリスの天帝の斬撃によって腹部を切り裂かれたジャンドラは傷口から死霊と血を噴き出しながら、痛みのあまりうめき声をあげる。

 「ウガァ…ウガアァァッ!!!

ジャンドラの腹部から猛烈な勢いで死霊が抜け出し、ジャンドラはぴくりとも動かなくなる。クリスが勝利を確信したその時、クリスが倒したはずのジャンドラが再び起き上がり、おぞましいほどの咆哮を上げてクリスを睨みつける。

「勝った…ついに私たちがジャンドラを打ち倒し……何っ!?

「おのれぇ…おのれ小娘どもめぇっ!!この程度でヘルヘイムの将に勝ったつもりでいるようだが、私はこれしきの攻撃では死なん…貴様のせいで私の体から数百もの死霊が抜け出してしまったが、私の体の中に死霊が残っている限り何度でも蘇る…数多の人間から奪った魂こそが私の源だからなっ!!

再び立ち上がったジャンドラは体内の死霊を消費し、強大な爆発を起こしてクリスたちを襲う。ゲルヒルデは仲間を守るため防壁の術を唱え、ジャンドラの放った爆発を防御する。

「みんな…ここは私の防壁で奴の攻撃を防ぎきって見せるっ!!サンクチュアリ・フィールド!!

ゲルヒルデは仲間たちに後ろへと来るようにと伝えた後、防壁に自分の魔力を注ぎ込み強度を高める。しかしジャンドラの放った爆発の威力は凄まじく、防壁にひびが入り始める。

「だめっ…もうこれ以上もたな……きゃあぁぁぁっ!!

ジャンドラの爆風の耐えきれず、ゲルヒルデの聖なる防壁が破壊されクリスたちは大きく吹き飛ばされる。強大な爆風のダメージを受けたクリスたちはその場に倒れ、気を失ってしまう。

 「この私を完全体へと変身させ、ここまで追い詰めたことは誉めてやろう…だが、ヘルヘイムの将であるこの私に盾突いたことは許しがたい行為…不届きな小娘どもはこの私が骨のかけらも残さずに葬ってくれるわっ!!

ジャンドラはクリスたちを完全に葬り去るべく、体内の死霊を消費し再び爆発を起こそうとする。

「くっ…やはり私たちではジャンドラには敵わなかった……!!

「どうだ、悔しかろう…フェアルヘイムを守れず、紫の髪の小娘を葬った憎い私を殺せなくて悔しかろうっ!!所詮貴様らの力など…塵にも満たなかったのだ。さて、名残惜しいがそろそろ止めといこうか…デス・バース……うぐおぉっ!!

クリスが無念の表情で悔しがる中、ジャンドラは死霊を解放し爆発を起こそうとした瞬間、突然ジャンドラは痛みに悶え態勢を崩す。意識が回復したクリスがふと周囲を見回すと、ジャンドラの腹部には炎の魔力を帯びたカレニアの剣が突き刺さっていた。

「はぁはぁ…私たちはこんなところで負けられないわっ!!クリス…現在の戦況は絶望的な状況だが、絶対に諦めちゃだめよ!!

「分かったわ…あなたの悪あがきのおかげでジャンドラは一瞬態勢を崩した。私はかろうじで立てる状態たが、カレニアは立てるかしら?

クリスの言葉の後、カレニアは立ちあがるべく足を上げようとするが、爆風の衝撃によって足の骨が折れ、立つことができなかった。

 「私は吹き飛ばされた衝撃で足をやられてしまい立ちあがれないわ。クリス、ここはあなただけが頼りよ…何としてでもジャンドラを倒してちょうだいっ!!

クリスは鞄の中から回復薬を取り出し、ジャンドラの爆発によって失った体力を回復する。回復薬によって体力が完全に回復したクリスは床に落ちた天帝の剣を拾い上げ、再びジャンドラに立ち向かっていく。

「よし、これで体力は回復したわ。さて…そろそろ反撃開始よっ!!

「ほう…まだ私に盾突くというのか。なら今度こそ息の根を止めてくれるっ!!

ジャンドラは巨大な尻尾を振りまわし、クリスに襲いかかる。しかしクリスはジャンドラの尻尾を回避し、ジャンドラの腹部へと回り込み天帝の斬撃を放つ態勢に入る。

「この一撃に…全てを賭けるっ!!天帝神斬(セレスティ・レギンレイヴ)っ!!

クリスは持てる魔力を全て天帝の剣に注ぎ込み、最大級の天帝の斬撃を放つ。ジャンドラはクリスの放った天帝の斬撃を受け流すべく、口から高密度の闇の球体を吐き出して攻撃する。

「私はヘルヘイムの将・死霊王ジャンドラだっ!!小娘ごときに倒されてたまるかぁっ!!

「私を支えてくれる仲間たちの機体に応えるためにも…私は必ずあなたを打ち倒すっ!!

天帝の斬撃と闇の球体がぶつかり合い、激しい鍔迫り合いに発展する。現在の戦況はクリスの放った天帝の斬撃がジャンドラの闇の球体を徐々に押し返し、クリスが優勢であった。

「いける…このままクリスのペースに持ち込めばいけるわっ!!このつばぜり合いを制すればジャンドラを倒せわ!!

戦況は最初はクリスが優勢であったが、ジャンドラは自分の体内の死霊を消費して闇の球体をさらに大きくして、徐々にクリスの天帝の斬撃を押し返していく。

「くっ…奴め、体内の死霊を使って闇の球体を大きくしてきたわね!!だがこんなところで終わ…きゃあぁぁぁっ!!

その言葉の後、ジャンドラの闇の球体は天帝の斬撃を完全に押し返し、クリスは闇の球体の一撃を受けてしまう。膨大な闇の一撃を受けたクリスは大きなダメージを受け、その場に崩れ落ちる。

「どうだ…貴様がどう足掻こうがこの私には勝てん!!これ以上お前らの遊びに付き合っているつもりはない…このまま一気に葬ってやろうっ!!

「ぐすっ…やはり私たちではジャンドラには敵わなかった…もう終わりよ、私たちは天界を守れなかった……。」

クリスがジャンドラに負けたという事実にカレニアが泣き崩れる中、ジャンドラの闇の爆発を受けて倒れていたエルーシュが立ち上がり、カレニアの前に立つ。

 「カレニア、まだ諦めるな。私はまだ戦える!!唯一の戦力であるクリスが倒れた今、私がなんとかせねばならん…諦めなければ希望の光は必ずある!!

エルーシュはカレニアを元気づけた後、エルーシュはクリスの仇を討つべくジャンドラに立ち向かうのであった……。

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