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蘇生の章2nd第九十二話 決戦!!死霊王ジャンドラ

 イザヴェルを救うために戦う戦乙女たちはヘルヘイム軍の最後の大将であるベイルとの戦いに勝利し、イザヴェルを防衛することに成功した。一方ヘルヘイム王宮の内部に突入したクリスたちはジャンドラの待つ玉座の間を目指すべく階段を上がり王宮の二階へと来たその時、ジャンドラの部下である魔剣帝バロールが現れ、クリスたちに襲いかかってきた……。

 

 闇の剣を構えてクリスたちに襲いかかるバロールに対し、クリスはアストライアの盾を構えバロールの斬撃を防御する。

「ここは私が可能な限り時間を稼ぎますので、カレニアは最大の術で奴を攻撃してっ!!

「わかったわ!!クリス、相手はジャンドラの部下だから…あまり無茶な事はしちゃだめよ!!

クリスが時間稼ぎをする中、カレニアは最大の術を放つべく早口で詠唱に入る。カレニアが詠唱に入る中、防御の体勢に入っているクリスは徐々にバロールの剣技に押されつつあった。

「くっ…奴の死霊の剣から放たれる一撃が重く、防御していても後ろに押されてしまうわ。だがこの程度の攻撃で屈する私じゃないわよっ!!

「ここで一気に追い込んで防御の体勢を崩した後、貴様を斬り刻むっ!!

バロールは剣に闇の魔力を込め、アストライアの盾を構えて防御するクリスに力強い斬撃を放つ。その衝撃により、クリスは防御の体勢を崩してしまう。

 「しまったっ…!!

防御の体勢が崩れた瞬間、バロールは衝撃波を放ちクリスを大きく吹き飛ばす。バロールの衝撃波を受けたクリスは大きく態勢を崩したが、すぐに態勢を立て直し反撃の構えをとる。

「キキキ…ラダマンティスを打ち倒しただけあって、この程度の攻撃では甘かったか。だが次からは本気で行かせてもらう!!

その言葉の後、死霊の剣を構えたバロールがクリスに斬りかかってくる。クリスは急いで天帝の剣を構え、バロールの斬撃を防御しつばぜり合いを仕掛ける。

「ここはつばぜり合いに持ち込み、態勢を崩したうえで集中攻撃を仕掛けるしかない!!

「ジャンドラ様の邪魔はさせないっ!!貴様はここで…斬るっ!!

クリスとバロールが激しい鍔迫り合いを仕掛ける中、詠唱を終えたカレニアは両手に炎の魔力を込めバロールに狙いを定める。

 「この状態で私が術を放てば奴じゃなくてクリスに命中してしまうわね…つばぜり合いに競り勝てばなんとか最大級の術をぶつけるチャンスは大きくなるが…相手はジャンドラの部下だからそうはいかなさそうね。いや、炎弾に操作能力を付加すれば奴の背中を焼くことはできるが魔力の消費が激しくなるわりそうだが…でもこの場は一か八かやるしかないわ!!

カレニアは炎の魔力を集め、あらゆる物を焼き尽くす炎弾を作り出す。

「太陽のごとき炎よ…炎弾となりて悪しき者を焼き尽くさんっ!!サン・フレア!!

カレニアが炎弾を放った瞬間、炎弾は大きく円を描きながらバロールの背中へと向かっていく。バロールはカレニアの魔力を察知し、クリスとのつばぜり合いを中断しカレニアの炎弾を跳ね返そうとする。

「むっ…私の背後を狙ってくるとは!!そこの小娘、なかなかやるようだがそうはいかんぞ!!

バロールは死霊の剣を構え、カレニアの放った炎弾を押し返していく。

「カレニアのおかげで、奴を攻撃するチャンスができたわ。背後からいかせてもらうわよっ!!

バロールがカレニアの炎弾を押し返す中、クリスは天帝の剣を構え背後からバロールを攻撃する。クリスの一撃を受けたバロールは集中が乱れ、徐々に劣勢となっていく。

 「し…しまった!!私としたことがあの小娘を自由にさせてしまった…まぁよい、奴の炎弾を跳ね返した後であの小娘を血祭りにあげ…ぐおぉぉっ!!!

クリスの一撃によって集中力を欠いたバロールは大きく態勢を崩し、カレニアの炎弾の直撃を受ける。カレニアの放った炎弾がバロールに命中した瞬間、巨大な竜巻となってバロールの体を焼き尽くす。

「よし…クリスのおかげで何とか当てることができたわ!!だが相手はジャンドラの部下…そう簡単にはやられてはくれなさそうね。」

炎の竜巻が止まった後、カレニアの放った炎弾によって大きなダメージを受けたバロールがクリスたちのもとへと歩いてくる。

「貴様ら…今のは流石に効いたぞ。だがもう遊びは終わりだ…!!

バロールは剣を天に掲げた瞬間、剣に封じ込められていた死霊たちがバロールの体に入り込んでくる。死霊が入ってくるたび、バロールの体は徐々に翼の生えた悪魔のような風貌へと変わっていく。

「さっきよりも魔力の波長が上がっているわ!!

「どうやら奴が本気を出したみたいね…ならこっちも派手に出迎えてやるわよっ!!

凶暴な悪魔の姿への変身を終えたバロールは不敵な笑みを浮かべながら、戦闘態勢に入るクリスたちのもとへと向かってくる。

 「ケッケッケ、貴様ら…この私を本気にさせた事を後悔するがよい!!さて…まずは手始めに貴様らを吹き飛ばすとするかっ!!

バロールは両手に魔力を集め、強大な闇の衝撃波を巻き起こしてクリスたちを攻撃する。邪悪なる波動を受けたクリスたちは大きく吹き飛ばされ、態勢を崩す。

「くっ…なんて魔力なのよ!!だが…この勝負は私たちが勝つっ!!

「そんな剣で俺に勝てるとでもおもったのか…まぁよい、貴様から先に八つ裂きにしてやろうっ!!

クリスは他の者たちよりも早く態勢を立て直し、天帝の剣を構えてバロールに立ち向かう。しかしクリスの斬撃は禍々しいまでの力を得たバロールには効かず、弾かれてしまう。

「普通の攻撃ではとてもじゃないけどきりがないわ…じゃあこれならどうかしら!!

クリスは精神を集中させ、自分の魔力を天帝の剣に注ぎ込む。クリスの魔力が注がれた天帝の剣は徐々に雷を帯び始め、刀身が蒼白く輝きだす。

「天帝の剣は自分の魔力を刀身に注ぎ込ませることによってその真価を発揮する神宝…魔力を受けたその刀身は、悪しき者に制裁を与える斬撃とならんっ!!ボルティック・ブレイクっ!!

クリスは蒼白く輝く天帝の剣を構えたまま上空に飛び上がり、バロールめがけて急降下を始める。落下の遠心力が込められたクリスの一閃は、バロールの強固な甲殻をいともたやすく貫くほどの強さであった。

 「うぐぐ…ここで敗北を喫せばジャンドラ様に申し訳が立たぬ!!貴様だけは…貴様だけはこのバロールが八つ裂きにしてくれるっ!!

怒り狂うバロールは鋭い爪を突きたて、錐揉み回転しながらクリスの方へと向かってくる。クリスはバロールの攻撃を防ぐべく、雷の防壁を張り防御の態勢に入る。

「防御できるかわからないけど…ここはやるしかないわっ!!ボルティック・フィールド!!

鋭い爪を立てて錐揉み回転でこちらに向かってくるバロールはクリスの防壁に突き刺さり、身動きが取れなくなる。

「うぐぐ…爪が防壁に食い込んで動けんっ!!

バロールがクリスの張った防壁に爪が突き刺さり動けない中、ディンゴは貫通弾よりも貫通性能が向上した弾丸である突貫弾をボウガンに装填し、バロールに狙いを定め引き金を引く。

「よくやったぞクリス…これなら狙い撃ちできるぜ!!

ボウガンから放たれた突貫弾はスピードを上げ、バロールの体を貫いていく。ディンゴの射撃の後、カレニアとゲルヒルデが術で追撃を加える。

「ここは一気に奴を攻めるわよっ!!猛々しい炎よ…我に力を与えよっ!!ヴォース・オブ・フレイム(炎の誓い)!!

「カレニアさん…私も一緒に戦います!聖なる!光よ…共に戦う者たちを支えたまえっ!!ヴォース・オブ・セイント(光の誓い)!!

カレニアとゲルヒルデの術が合わさりあい、カレニアの放った炎は美しくも激しい蒼き炎となってバロールの体を焼き尽くす。二つの属性を持つ美しき蒼き炎によってバロールは大きなダメージを受けたが、体を守る強固な甲殻のおかげで致命傷までには至らなかった。

「うぐぐぐ…!!この私が貴様らのような小娘ごときに倒されてたま…ぐおぉっ!!

その言葉の後、クリスの天帝の一閃がバロールの体を貫く。雷を纏った一閃はバロールの強固な甲殻ごと心臓を貫き、バロールはその場に崩れ落ちる。

 「悪いけど、ジャンドラと戦う前に無駄に力を使いたくないから…これで終わりにするわ。」

クリスがバロールに止めを刺した後、仲間たちにジャンドラのいる玉座の間はもう目の前だと告げる。

「みんな、この階段を上がればジャンドラのいる玉座の間はもう目の前よ!!この階段の先からおぞましいまでの魔力を感じるわ…どうやら奴はこの先にいるわっ!!

「そうね…私たちが天界の最後の希望だから、絶対にジャンドラを討ち滅ぼし…この天界に平和を取り戻して見せるわ!!

バロールを打ち倒したクリスたちは、ジャンドラの待つ玉座の間へと向かうべく三階へと続く階段を駆け上がるのであった……。

 

 クリスたちが玉座の間へと向かう中、ジャンドラはバロールの生体反応が消えたということを知り、半ば苛立っていた。

「バロールの生体反応が消えた…となればバロールを打ち倒した奴らは私を打ち倒しに玉座の間へと向かってくるようだな。まぁよい、私から潰しにかかろうと思っていたのだが自ら殺されに来てくれるとは大歓迎だな…ハハハハハッ!!

ジャンドラが高笑いを浮かべる中、何者かが扉を開けて玉座の間へと入り込んでくる。

「ジャンドラ…あなたを倒すため、ここまで来たわよっ!!

「さて…リリシアの仇討ちといくか!!皆の者よ、絶対に気を抜くんじゃないぞっ!!

クリスたちが武器を構えた瞬間、ジャンドラは玉座から立ちあがり、死霊の剣を構えてクリスたちの方へと向かってくる。

 「ほう…誰かと思えばミリアゴーシュ神殿で出会った面々ではないか。私の部下たちをかわいがってくれたようだな…しかも部下たちが守りし伝説の武具を奪い、それを身につけられる適合者が現れたとは驚いた。そしてエルーシュよ…私が反魂術で蘇らせたのにもかかわらず…私を裏切りよって!!まぁよい…だがその適合者と仲間たちは今この世からいなくなる……私に殺されてしまうのですからねっ!!

怒りの表情を浮かべるジャンドラは死霊の剣をクリスたちに突きたて、クリスたちにそう言い放つ。ミリアゴーシュ神殿でリリシアを葬った仇敵ジャンドラを前にし、怒りの表情を浮かべるクリスは天帝の剣をジャンドラに突きたてながら、ジャンドラに反論する。

「あなたは私のかけがえのない仲間を傷つけた…だから私はあなたを許さないっ!!あなただけは…この天帝の剣で……倒すっ!!

怒りに震えるクリスは天帝の剣に自らの魔力を注ぎ込み、ジャンドラに斬りかかる。ジャンドラの方へと向かってくるクリスに対し、ジャンドラは反魂術を用いて屍人を生み出す。

「まずは手始めに我が屍人たちの相手をしてもらおう…!!

ジャンドラの反魂術によって生み出された屍人は、肉体を求めてクリスへと襲いかかってくる。

「くっ…足止めのつもりでしょうが、こんな小細工は私には通用しないわよっ!!

クリスは襲いかかる屍人たちを退け、一気にジャンドラの近くへと詰め寄る。

 「私の生み出した屍人を倒し私の前まで来れたことは誉めてやろう…だが、貴様ごときにヘルヘイムの将である私は倒せんっ!!

そう言い放った後、ジャンドラは衝撃波を放ちクリスを大きく吹き飛ばす。だがクリスはすぐに態勢を立て直し、再びジャンドラの方へと向かっていく。

「こんなところで絶対に負けるわけにはいかない…この勝負、持てる限りの力を尽くし、あなたを討ち滅ぼすっ!!

クリスが全力でジャンドラに立ち向かう中、カレニアは仲間たちを呼びクリスの手助けをするようにと伝える。

「みんな…私がクリスとともにジャンドラを迎え撃つから、他の者たちはクリスのサポートをお願いっ!!この戦いは私たちが一致団結しないと勝てそうにないからね。」

カレニアが仲間たちにクリスをサポートするようにとの命令を与えた後、ヘルヘイムの将であるジャンドラと一人戦うクリスの助太刀に入るのであった……。

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