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蘇生の章2nd第九十一話 鬼神と修羅の戦い

 イザヴェルを襲うヘルヘイム軍を殲滅するべく、ヘルムヴィーゲと合流した戦乙女たちは最後の大将を倒すべく、イザヴェル王城へと向かう。彼女たちがイザヴェル王城の玉座の間に到着した瞬間、イザヴェルを侵攻しに来たヘルヘイム軍の最後の大将であるヘルヘイム騎士団長ベイルがイザヴェル王と苛烈なつばぜり合いを繰り広げていた。ヘルヘイム騎士団長のベイルは暗黒の剣技でイザヴェル王を大きく吹き飛ばした後、イザヴェル王に止めを刺そうとした瞬間、黒刀を構えたシュヴェルトライテがベイルの前に立ち、最後の大将との戦いに臨むのであった……。

 

 緊迫した空気が流れる中、シュヴェルトライテは黒刀を構えてベイルへと向かっていく。

「ほう…貴様の持つ武器は刀か。刀は素早い攻撃ができる分…一撃の威力は剣より劣る。なら私の方が有利だなぁっ!!

「何を勘違いしている…確かに私の武器は刀だが、普通の刀とはわけが違う。私の持つ黒刀・ペインヘルブレイドは剣と同様の威力を持つ業物だ。貴様ごときにイザヴェルは渡さぬっ!!

二人の武器がぶつかり合い、激しいつばぜり合いへと発展する。最初はシュヴェルトライテがベイルを押していたが、ベイルは暗黒の剣技で徐々にシュヴェルトライテを押し返していく。

「つばぜり合いに持ち込まれたが…ここは我が暗黒の剣技で押し返すのみだっ!!

暗黒の剣技でシュヴェルトライテを押しかえすベイルはさらに暗黒の魔力を込め、シュヴェルトライテをさらに押し返していく。

 「ぐっ…なんて恐ろしく巨大な暗黒の力だ!!だが暗黒の力などに競り負けては戦乙女の名に傷がつく…何としてでもここは競り勝たなければならんっ!!ここは鬼神となり…つばぜり合いを制するっ!!

シュヴェルトライテは鬼神化を行い、優勢を保つベイルを一気に押し返していく。鬼神となったシュヴェルトライテはつばぜり合いを制し、ベイルの態勢を大きく崩す。

「私が鬼神化でいられる時間は5分…その間で決着をつけるっ!!皆の者、私を勝利へと導くために援護をお願いするっ!!

鬼神と化したシュヴェルトライテが戦乙女たちに援護を頼むと告げた後、態勢を崩したベイルに黒刀の斬撃を食らわせる。

「くっ…ヘルヘイム騎士団長であるこの俺に競り勝つとは見事だ。どうやらこの場は私の本気というものを見せなければならないときが来たようだ…!!

その言葉の後、ベイルの体が闇のオーラに包まれていく。ベイルの体を包む闇のオーラが消えた後、ベイルは禍々しい魔人の姿へと変貌を遂げていた。

「ぐっ…奴の体から恐ろしく禍々しいほどの邪気を感じる。貴様、私と同じ鬼神化が使えるのかっ!!

「鬼神化だと…何を勘違いしているかはしらんが、俺は鬼神化と相反する存在である『修羅化』だっ!!修羅とは荒れ狂う力を操ることのできる存在…その凶暴なまでの力は、あらゆるものを打ち砕くっ!!

修羅となったベイルは再び剣を構え、シュヴェルトライテへと襲いかかる。シュヴェルトライテは黒刀を盾にしてベイルの斬撃を防ぐが、凶暴なまでの力に耐えきれず折れてしまう。

 「な…なんと!!私の黒刀ペインヘルブレイドが折れてしまったではないかっ!!ぐっ…私の武器である黒刀を失ってしまっては戦えない状態だ!!オルトリンデよ、ここはそなたが奴と戦ってくれ!!

武器である黒刀を折られ戦えないシュヴェルトライテの言葉を受けたオルトリンデは、シュヴェルトライテに黒い鉱石と赤い宝珠を手渡した後、修羅と化したベイルと戦うべくレイピアを構える。

「無理かもしれんが…ここは私と他の者たちでなんとか私が奴を迎え撃つ。そうだ、シュヴェルトライテよ…こいつがあれば折れた黒刀を修復できるかもしれん!!

「こ…これはレア度SSクラスの希少金属のひとつである『ゼクロナイト鉱石』ではないかっ!!そいつは落雷以上の電気を含有している黒い鉱石で、腕利きの鍛冶職人でしか扱えない超金属…あと赤く輝く宝珠は何に使うというのだ?これだけでは私の黒刀は修復できそうにないぞ。」

ゼクロナイト鉱石と謎の赤い宝珠をシュヴェルトライテに手渡した後、オルトリンデはシュヴェルトライテに謎の赤い宝珠の詳細を話し始める。

「そなたに渡した赤い宝珠は錬金の秘玉といってな…鉱石と武器を融合し新たな武器を錬金できる代物だ。まぁ錬金に使う鉱石のレア度が高ければ高いほど錬金でできた武器の強さが増すようだな。先ほどシュヴェルトライテに渡したゼクロナイト鉱石は落雷以上の雷を含有しているだけでなく、どす黒い闇の魔力を含んでいる。そいつを融合すれば、折れた黒刀は元通りになるはずだ!!

シュヴェルトライテにそう伝えた後、オルトリンデはレイピアを構えてベイルに立ち向かっていく。

「刀を失くし戦えないあいつの代わりに貴様が相手になるというのか…まぁよい、かかってくるがよい!!

オルトリンデが戦いの構えをとった瞬間、ヴァルトラウテとヘルムヴィーゲが加勢に入る。

「シュヴェルトライテの黒刀の修復が終わるまで、我々がやらねばならぬっ!!皆の者よ、何としてでも奴を食い止めるぞっ!!

「ほう…貴様らが束になって私と戦うつもりか?俺は無駄に汗はかきたくないんだ…さっさとケリをつけようか。」

三人の戦乙女が修羅と化したベイルと戦いを繰り広げる中、シュヴェルトライテはオルトリンデから手渡された錬金の秘玉を手に取り、黒刀の修復に取り掛かる。

 「錬金の秘玉の魔力を解放し、折れたペインヘルブレイドとゼクロナイト鉱石を融合するっ!!

錬金の秘玉の魔力を解放した瞬間、ベイルによって叩き折られたペインヘルブレイドとゼクロナイト鉱石が錬金の秘玉の中へと吸い込まれていく。その数秒後、折れた黒刀は元の姿を取り戻す。

「おお…我が黒刀が元通りになったぞ。そのうえゼクロナイト鉱石が持つ恐ろしく巨大な雷の魔力も備わっているようだ…どれ、すこし試し斬りでもするか…。」

黒刀の修復を終えたシュヴェルトライテは元通りになった黒刀を手に、戦乙女たちのもとへと戻っていく。しかしシュヴェルトライテが来た時には、三人の戦乙女たちは既にベイルの手によって倒されていた。

 「くっ…一足遅かったか!!ここは私が仲間たちの仇討ちでもするとするか…。」

シュヴェルトライテが雷の魔力を帯びた黒刀・黒雷刀【黒陰】を手に、再びベイルに立ち向かっていく。

「お前の黒刀は私が叩き折ってやったはず!!なぜ元通りに戻っているんだっ!!

「お前が叩き折った黒刀なら、錬金術を用いて修復した!!さて、私の仲間をずいぶんと可愛がってくれたようだな。ここは私が仲間たちの無念を晴らさないといけないみたいだな…。」

シュヴェルトライテは黒刀を鞘から抜いた瞬間、刀身から強大な雷の魔力が発生し、シュヴェルトライテの持つ黒刀が青白く輝きだす。

「新しく生まれ変わった黒刀の一閃…貴様の体に焼きつけてくれるっ!!黒死邪刀術・特式五ノ型!!神王雷神波!!

シュヴェルトライテが黒刀を振り下ろした瞬間、凄まじい雷の一閃がベイルに襲いかかる。ベイルは咄嗟に剣を盾にして防御し、雷の波動を押し返そうとする。

 「くっ…貴様、『剣閃』を使ってくるか!!だが、貴様の攻撃は私が受け流すっ!!

ベイルは全ての攻撃を受け流す態勢をとり、シュヴェルトライテの放った雷の剣閃を弾き返そうとする。しかし落雷を超えるシュヴェルトライテの雷の剣閃はベイルの剣を伝い、ベイルの体に流れ込む。

「うぐぐ…き…貴様っ!!な…何が起こっているんだぁっ!!

「教えてやろう…私の神王雷神波は凄まじい雷の力を持つ一閃だ。ゆえに受け流そうとすると凄まじい雷が剣を伝い貴様の体に流れ込む…!!

シュヴェルトライテの言葉の後、落雷を超えるほどの雷を受けたベイルは心臓の鼓動が止まり、死に至る。最後の対象であるベイルが倒れたことにより、イザヴェル侵略に来たヘルヘイム軍は四人の戦乙女とヴァルハラ兵によって完全に壊滅し、元の平和を取り戻した……。

 

 ベイルとの戦いを終えたシュヴェルトライテはベイルとの戦いで傷ついた仲間たちを回復させた後、イザヴェル王にヘルヘイム軍の殲滅に成功したという旨を報告する。

「イザヴェル王よ…イザヴェルを侵略しようと襲いかかってきたヘルヘイムの軍は私たちが倒しました。」

「襲ってきたヘルヘイムの軍勢を全て倒してしまうとは…流石はオーディンに仕える戦乙女だ。あなた方が救援に駆け付けてこなかったら、大都市イザヴェルはヘルヘイム軍の領地になっていたところでした。本当にありがとうございます……。」

感謝の言葉を述べた後、シュヴェルトライテは何かあったらまた頼むと王に告げる。

 「ヘルヘイムの大将クラスの者たちを潰したおかげで、ヘルヘイムは攻撃要員を失いかなり戦力が落ちたはずだ。だがしかし…ヘルヘイムにはまだ大将クラスの者がいるかもしれないからな。イザヴェル王、何かあったら是非ともご連絡をお願いします。」

シュヴェルトライテの言葉の後、イザヴェル王は戦乙女たちに一礼しながらこう答える。

「わかりました…ヘルヘイムの奴らがまた攻めてきたときにはまた協力を頼みます。」

「イザヴェル王よ、私はこれにて失礼する。第二次天界大戦(スカイマキア)が発令し、ジャンドラの奴らが本気でフェアルヘイムを手のうちに収めようとしているのだ。奴らが攻めてきたときには、私たちがそれを阻止するだけだ。」

オルトリンデがイザヴェル王にそう言い残すと、戦乙女たちは転送術を使いヴァルハラへと帰還するのであった……。

 

 一方その頃ヘルヘイム王宮の内部へと突入したクリスは、襲い来る兵士たちを次々と蹴散らしながらジャンドラの待つ玉座の間を目指していた。

「この王宮の三階付近に…恐ろしく巨大な禍々しい気を感じます!!もしかして、あの恐ろしいほどの気の持ち主が死霊王ジャンドラかしら!!

「おそらくそうみたいね…しかも二階にもジャンドラと同じ気を感じたわ。どうやらジャンドラの部下のうようだが…相当の強さを持っているわ!!

敵を蹴散らしながらヘルヘイム王宮の二階へと来たクリスたちの前に、ジャンドラの部下であるバロールが立ちふさがる。

「お前らがジャンドラを倒すためにここに来るということは全てこの魔剣帝バロールがお見通しだ。ジャンドラ様の計画の邪魔はさせない…ここがお前らの墓場だっ!!

バロールは闇の剣を構え、クリスたちを睨みつける。

「相手はジャンドラの部下よ…みんな、急いで戦う準備をっ!!

「フフフフフフ…ベン・ザ・エースもラダマンティスもやられたが、俺は他の奴らとは一味違う。ジャンドラ様より貰いうけた死霊剣【屍】は、多くの剣の使い手の死霊が込められた呪われし刃だ。さぁて…どいつの魂を奪おうかな……!!

禍々しい気を持つジャンドラの最後の部下・バロールが不敵な笑みを浮かべた後、剣の使い手たちの死霊が込められた闇の剣を構えクリスたちに襲いかかるのであった……!!

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