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蘇生の章2nd第六十七話 狂王再び!!

 クリスたちがヘルヘイムの王宮へと向かう中、ヘルヘイムではついに大戦艦がテスト飛行を開始しヘルヘイム上空へと現れた。ヘルヘイム上空で待機していたエンプレスガーデンの者たちはこの計画のために作っておいた対戦艦爆弾で攻撃するも、大戦艦の外壁を破壊するだけで精一杯であった。超硬質のレアメタルによって作られた大戦艦のボディに苦しめられるも、ヴァネッサが操る運搬用フリゲートの加勢もあり、大戦艦を撃沈させることに成功した。戦いを終えたセルフィとリリシアは、イザヴェル王に報告するべく運搬用フリゲートに乗り込みイザヴェルへと向かうのであった……。

 

 一方その頃ヘルヘイム王宮では大臣があわてた表情でジャンドラのもとへと現れ、ヘルヘイムの大戦艦が墜落したとの旨を告げる。

「ジャ…ジャンドラ様っ!!だ…大戦艦が…ヘルヘイムの宮下町に墜落しました!!幸い死者はいませんが…ケガ人が多数出ているようです!!

「な…なんだと!!大戦艦が墜落したというのは真のことかっ!?整備では特に異常はなかったはずだ…大臣よ、城にいる術士たちを集めて救済活動に努めよ。」

ジャンドラからケガ人の救済活動をせよとの命を受け、大臣はいそいそと玉座の間を去っていく。大臣が去ってから数分後、傷ついた乗組員の一人がジャンドラのもとへと現れる。

 「うぐぐ…ジャンドラ様、深手を追いながらも…大戦艦から無事に帰還してまいりました。突如磁気が発生し…大戦艦がコントロール不能に陥った瞬間、翼をやられて宮下町に墜落してしまったのだ…ジャンドラ様、私たちの無礼をお許しくださ…っ!?

傷ついた乗組員が謝罪の言葉を述べようとしたその時、ジャンドラは大きく口を開け乗組員の魂を喰らう。ジャンドラによって魂を奪われた乗組員はその場に倒れ、ぴくりとも動かなくなる。

「まったく、無様な姿を晒しよって!!安心しろ…貴様の魂は私がおいしく頂くとしよう。人間の魂こそが私への何よりの捧げものだからだ。人間の魂を喰らえば喰らうほど…私の魔力は強くなるのだ!!おっと…魂の入っていない抜け殻はここに置いていても邪魔だな。人の目に触れる前に焼却処分しないとな。」

ジャンドラは乗組員の死体を焼却した後、玉座に腰かけ眠りにつくのであった……。

 

 一方フリゲートでイザヴェルへと戻ってきたリリシアとセルフィはヴァネッサに別れを告げ、イザヴェルの王城へと向かっていた。

「ふぅ…なんとか大戦艦を撃沈することに成功したわね。しかしジャンドラがいる限り安心はできないわ。イザヴェル王に報告した後、エンプレスガーデンへと戻りヘルヘイム王宮へと乗り込む作戦をたてないといけないわ。私とイオニア様…そしてアムリタ様を含めて他十名が戦闘要員よ。総動員でヘルヘイムの王宮へと向かい、ジャンドラの軍勢を撃ち滅ぼすわよっ!!

「そうね…ジャンドラは必ず葬らなければいけないわね。セルフィ様、そろそろイザヴェルの王城の門の前よ。」

二人がイザヴェル王城の門の前に来た瞬間、王城の門番が半ば不機嫌そうな表情で二人を招き入れる。

 「むむっ…誰かと思えばまたお前らか。知らない奴を城に入れるわけにはいかんが…お前らだけは別だ。今門を開けてやるから、さっさと中に入れ。」

イザヴェルの王城の中へと入った二人は早速玉座の間へと向かい、イザヴェル王に大戦艦を撃沈したという事を報告する。

「ヘルヘイムの大戦艦はエンプレスガーデンの者たちが破壊しました。しかしジャンドラ率いるヘルヘイムの軍勢が報復に出るかもしれませんので、ラジオ・キャピタルにてその事をフェアルヘイムの人々に伝えてください。」

「おお…どうやらヘルヘイムの大戦艦を破壊してきたようだな。しかしフェアルヘイム侵略をもくろむジャンドラは何を仕掛けてくるかはわからない…ここはあなたがたが希望の光です。ヘルヘイムの将である死霊王ジャンドラを打ち倒し、フェアルヘイムに光をもたらしてください。」

イザヴェル王の感謝の言葉の後、セルフィは自信満々な表情でこう答える。

「イザヴェル王様…私たちがヘルヘイムの将であるジャンドラを打ち倒し、このフェアルヘイムに光を取り戻して見せます。では私たちは失礼いたします。」

イザヴェル王城を後にした二人は、ヘルヘイム王宮へと突入するための計画を立てるべくエンプレスガーデンへと向かうのであった……。

 

 一方ヘルヘイム王宮へと向かうクリスたちは、ヘルヘイム宮下町に来ていた。ヴァルハラに残りベン・ザ・エースと戦っていたディンゴとゲルヒルデも、数十分遅れてクリスたちのもとへとやってきた。

「待たせたな…ヴァルハラを襲撃したジャンドラの部下は俺とゲルヒルデが倒しておいたぜ。さて、そろそろジャンドラとやらを倒しにいこうぜ!!

クリスたちがヘルヘイム王宮突入に備えて武器の手入れをする中、カレニアは王宮から禍々しいオーラを感じ、クリスたちに気を引き締めるようにと伝える。

「宮下町の北の方悪にある王宮から禍々しいオーラを感じました。どうやらこの王宮こそがジャンドラの居城みたいね。これから強敵との戦いの連続になるかも知らないから、気を引き締めていかないとね。」

「確かに…あの王宮から闇の魔力を感じるわ。カレニア、リリシアを欠いた状態でどこまでできるかわからないが、とにかく王宮に突入しましょう。」

クリスの言葉の後、カレニアはリリシアと互角の能力を持つエルーシュがいるということを告げる。

「待ってクリス…リリシアがいなくとも、リリシアとほぼ互角の能力を持っているエルーシュがいるじゃない。リリシアが戻ってくるまで今はこの五人で戦うしかないわ。なんせエルーシュは闇の魔力と光の魔力を持つ存在だからね…準備を終えたら今すぐ王宮に突入するわよ!!

クリスたちが突入の準備を終えた後、一行はヘルヘイム王宮へと向けて歩き出す。しかしヘルヘイム宮下町に到着した時点で、クリスたちの動向はすでにジャンドラの部下であるバロールにはお見通しであった。

 「ジャンドラ様…あの小娘たちが宮下町に到着し、王宮へと向かっている模様です。」

千里眼の能力でクリスたちの動向を見ていたバロールは、クリスたちが王宮へと向かっているということをジャンドラに報告する。

「報告ご苦労だった…バロールよ。奴らが衛兵を破り王宮の門を抜けたところで私が生体改造を加えたラダマンティスを配置しておる。まぁ奴らが王宮に突入する前に八つ裂きにされるだろうな…ラダマンティスがやられた時はバロール、お前が頼みの綱だ。」

「ラダマンティスが倒されたら…今度は私の出番か。では私は引き続きあの小娘たちの偵察を続けます。」

バロールがジャンドラにそう伝えた後、再び千里眼の能力でクリスたちの動向を探るのであった……。

 

 クリスたちが王宮へと向かう中、エンプレスガーデンへと戻ったセルフィとリリシアはヘルヘイム王宮に突入する計画を練るべくイオニアの宮殿に来ていた。戦力となる者たちが作戦会議を行う中、イオニアが宮殿の前に立ち、演説を行う。

 「皆の者、作戦会議中悪いがここで私からそなたたちに申す事がある。そなたらの活躍のおかげでヘルヘイムが作り出した大戦艦を撃沈することに成功した…だが死霊王ジャンドラという悪を討たぬ限りこの天界に真の平和は訪れぬ!!ヘルヘイムの将さえ潰してしまえばヘルヘイムを制圧したも同然だ…さぁ、今こそ戦いのときだ!!必ずやジャンドラの軍勢を討ち滅ぼし、天界に再び平和をもたらそうぞっ!!

イオニアの演説の後、エンプレスガーデンの者たちが武器を天に掲げてイオニアを賞賛する。

「イオニア様…万歳っ!!

「今こそ私たちがジャンドラという巨悪を討ち…ヘルヘイムを潰しましょう!!

エンプレスガーデンの者たちの賞賛の言葉を受け、イオニアは今日の夕方にヘルヘイム王宮に突入するという旨を告げた後、いそいそと宮殿の二階へと向かい戦いの準備へと向かっていく。

「そなたたちの返事を聞く限り…ヘルヘイムを攻め落としたい気持ちでいっぱいのようだな。今日の夕方にヘルヘイム王宮へと突入し急襲をかける!!討つべき相手は死霊王ジャンドラのみ…我らの道を阻む者は容赦なく斬り捨てるのだ!!では私は戦いの準備をしなくてはならんので、これにて失礼致す……。」

イオニアの演説が終わった後、セルフィはリリシアを連れてイオニアの宮殿を後にし、自分の宮殿の地下鍛錬場へと向かっていく。

 「さて、イオニア様の演説も終わったことだし、私たちは夕方まで戦闘訓練に励むわよ。立ちはだかる強敵に立ち向かうためには鍛錬あるのみよ!!夕方までという限られた時間の中でいかに自分の能力に磨きをかけられるかが求められるわよ…さて、そろそろ訓練始めるわよっ!!

セルフィとリリシアは来るべき時間が来るまで、セルフィの地下鍛錬場で訓練に励むのであった……。

 

 エンプレスガーデンの者たちがヘルヘイム王宮に突入する準備を進める中、クリスたちは門を守る衛兵を退け、門を開けて王宮へと突入する。

「門を守っていた衛兵は退けたわ。みんな、見回りの兵士がいない隙に一気に王宮の中に突入するわよっ!!

見回りの兵士がいないことを確認したクリスが一歩踏み出した瞬間、目の前に四本の剣を構えた男が現れ、いきなりクリスに襲いかかってくる。

「くっ…どうやらジャンドラの部下を配置していたようね!!みんな、ここは体力と魔力を温存するため無駄な戦いを避けたかったが、やるしかないわ!!

クリスが仲間たちに戦う構えをとるようにと伝えた後、仲間たちは武器を構えて戦闘態勢に入る。

「我が名は凶王ラダマンティス…ジャンドラ様の命令により侵入者は何人たりとも八つ裂きにする!!

クリスたちの前に現れたのは、かつてリリシアが戦乙女たちとともにヘルヘイム大監獄で死闘を繰り広げた凶王の二つ名を持つ殺人狂・ラダマンティス(罪状:大量虐殺【無期懲役】)であった。ラダマンティスはクリスたちを見るなり、不気味な笑みを浮かべながら手に持った剣を舐めはじめる。

 「ぐはぐはぐは……人間を見ると切り刻んでやりたくなっちまうぜっ!!

狂気じみた笑みを浮かべながら、ラダマンティスは剣を振り回しながらクリスたちの方へと向かってくる。クリスは天帝の剣を構え、クリスたちの方へと向かってくるラダマンティスに立ち向かっていく。

「くっ…奴がこっちに向かってくるわっ!!私が奴をひきつけるから…他の者たちはサポートをお願い!!

剣を構えたクリスが天帝の一閃を放つも、ラダマンティスの四本の腕から繰り出される剣技によって防がれ、クリスは大きく後ろへと後退する。

「やはり腕の数が多いと何かと厄介なものね。なら…これはどうかしらっ!!

接近戦では不利だと感じたクリスは、剣の先から光の衝撃波を飛ばしてラダマンティスを攻撃する。クリスの放った光の衝撃波はラダマンティスの体に命中したが、大きなダメージには至らなかった。

「ジャンドラの部下だけあって、さすがに一筋縄ではいかなさそうね。ここは奴の動きを読みながら行動した方がよさそうね。」

「ぐはぐは…そのような攻撃では俺は倒せん!!私の四刀流によって切り刻まれるがいいっ!!

ラダマンティスは四本の腕を振り下ろし、クリスを切り刻もうとする。しかしクリスは咄嗟にアストライアの盾を構え、ラダマンティスの斬撃を全て防ぎきる。

 「なんとか盾を構えて奴の攻撃を防ぎきったが、ここは真正面から行けば切り刻まれてしまうわ。しかしここで負けるわけにはいかないわ。みんな、ここから反撃開始よっ!!

再び戦闘態勢に入ったクリスが仲間たちにそう告げた後、天帝の剣を構えて再びラダマンティスに向かっていく。はたしてクリスたちは四本の腕を持つ殺人狂を倒し、ヘルへイム王宮に突入することができるのか……!?

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