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蘇生の章2nd第八十五話 ベン・ザ・エース強襲!!

 セルフィとリリシアがフェアルヘイムの町の人への呼びかけを終えた後、イオニアの宮殿では大戦艦を破壊するための戦闘準備が整い、来るべき戦いに備え休息を取っていた。一方その頃イオニアから大戦艦がフェアルヘイムを侵攻するという伝令を聞いたオーディンは鍛錬場へと向かいクリスたちにイオニアからの伝令を伝えようとしたその時、突如何者かの襲撃を受けた。オーディンを襲撃したのはジャンドラの新入りの部下の一人である銃王ベン・ザ・エースであった。オーディンに止めを刺そうとした瞬間、ディンゴがクリスたちを先にヘルヘイム王宮へと向かわせるべくベン・ザ・エースとの戦いに挑むのであった……。

 

 ディンゴがベン・ザ・エースの奇襲を受け倒れたオーディンに俺に任せろと告げた後、ボウガンを構えてベン・ザ・エースの方へと向かっていく。

「オーディン様…ここは俺に任せて、あなたは早くここを離れてください!!

「すまないな…天界の王が不意打ちを食らってしまうとは面目ない。私は足をやられてしばらく動けんので、しばしの間護衛を頼む!!

オーディンはベン・ザ・エースの銃弾により足を負傷し、動けない状態であった。

「わかった…オーディン様は俺が必ず守る!!

ディンゴの言葉に、ベン・ザ・エースは二丁の銃をディンゴに突きつけながら冷徹な笑みを浮かべる。

 「フン…お前に守れるわけがないだろ。私は二丁の銃と影を操る能力を持つ能力者だ…ジャンドラはその能力が気に入って俺を配下にしてくれた。まぁよい…私の銃弾と影の能力を受けてみるがいいっ!!

その言葉の後、ベン・ザ・エースは自分の影を伸ばしディンゴに襲いかかる。しかしディンゴは迫りくる影をかわしつつ、ボウガンの速射でベン・ザ・エースを狙う。

「影を操る能力とは厄介だな…だがそんなものでやられるような男ではないぞっ!!

ディンゴはあらかじめ装填しておいた弾丸を速射し、ベン・ザ・エースに攻撃を仕掛ける。しかしベン・ザ・エースは二丁の拳銃を巧みに操り、ディンゴの放ったボウガンを相殺する。

「ほう…貴様も銃を使えるとは驚きだな。だが私の愛銃『ゴールドベレンヘーナ』と『狼牙銃【金狼】』から放たれる銃弾は強力無比…なんせ俺の使う二丁の銃はゴールドで装飾が施されているから、普通の銃弾でも威力が数倍にまで跳ね上がるってわけよ!!

ディンゴのボウガンの弾丸を相殺した後、ベン・ザ・エースは二丁の銃をオーディンの方へと突きつけ、引き金を引く。

「やばいっ…このままではオーディン様の命が危ない!!ここは風のバリアで守るしかないっ!!トルネード・ウォール!!

ディンゴが術の詠唱を終えた瞬間、オーディンの周りに竜巻の壁が現れベン・ザ・エースの放った弾丸を吹き飛ばす。

「オーディン様は俺が守る…と言っただろう。おっと、戦いで夢中になりすぎて言い忘れていたが俺は風の魔力をも操れるんだぜ。さて、そろそろ戦いの続きといこうか!!

ディンゴは両手に風の魔力を集め、最大級の術を放つ態勢に入る。ベン・ザ・エースは再び二丁の銃を構え、ディンゴに狙いを定め引き金を引く。

「フン…命をかけて天界の王を守ろうとするか。だが無駄なことよ…貴様がどれだけ本気でかかってこようが、俺の二丁の愛銃の前には無力に等しいっ!!

「ほう…強気な発言をしてくれるようだが、俺の実力を甘く見てもらっては困るな。俺はヴァルハラでの魔力鍛錬で強大な魔力を身につけた…その力、味わうがいいっ!!強嵐(メガトルネード)!

ディンゴは両手に集めた風の魔力を解き放ち、巨大な竜巻を巻き起こしベン・ザ・エースに攻撃を仕掛ける。竜巻は周囲の物を巻き込みながら、ベン・ザ・エースの方へと近づいてくる。

 「なかなかいい術を持っているではないか…だが、そんな小細工が通用すると思ったら大間違いだなっ!!

ベン・ザ・エースは自分の影を盾の形に変え、ディンゴの放った竜巻をガードする。

「こ、こいつ…自分の影で盾を作り防御しやがった!!

「どうだ…影を操る力は恐ろしいだろう。さて、今度はこちらの番だっ!!

ベン・ザ・エースは自らの影を巨大な大鎌に変えてディンゴに襲いかかる。ディンゴに命中しようとした瞬間、突如ディンゴの周りに防壁が現れ、ベン・ザ・エースの鎌の一撃を防ぐ。

「この防壁は…まさかっ!?

ディンゴがあたりを見回した瞬間、そこにはゲルヒルデの姿がそこにあった。彼女はベン・ザ・エースと一人戦うディンゴのことが心配で、急遽ヴァルハラへと戻ってきていたのだ。

 「ディンちゃん…私、一人で戦うあなたのことが心配で…ヴァルハラに戻ってきたわ。」

ディンゴのことを心配して戻ってきてくれたゲルヒルデに感謝の言葉を告げた後、ディンゴは再び戦いの構えをとり、ベン・ザ・エースを迎え撃つ。

「ゲルヒルデ…俺と一緒に戦うためにクリスたちに内緒で戻ってきたのか。もしあなたが来てくれなかったら俺は奴にやられていたのかもしれないな…ありがとう。」

「内緒で戻ってきたのではないわ。ディンちゃんと一緒に戦いたいとクリスに言ったら、クリスは快く交渉に応じてくれたわ。ディンちゃん、一緒に戦いましょう!!

突如加勢に入ったゲルヒルデを見たベン・ザ・エースは、怒りの表情を浮かべながら二丁の銃を構える。

「おっと…思わぬところで伴侶が現れよったか。まぁよい、二人まとめて地獄におくってくれるわっ!!

ベン・ザ・エースは二丁の銃を乱射し、ゲルヒルデとディンゴに襲いかかる。しかし銃弾はゲルヒルデの防壁に弾かれ、無数の薬莢が二人の足元に散らばる。

「俺の伴侶は守りの要…聖なる魔力を操る治癒術士(ヒーラー)だ。これしきの攻撃など…防ぐことなど容易いことだっ!!

防壁の術を操るゲルヒルデの能力に怒りを感じたベン・ザ・エースは、二丁の銃を鞘に収め精神を集中させ始める。ベン・ザ・エースが精神集中を始めた瞬間、自分の影がディンゴたちのほうへと伸び始める。

 「くっ…私の銃弾をはじき返すほどの防壁を張るとは厄介な能力だな。まぁよい、銃が効かなくともジャンドラ様から授かった影の能力で貴様らを葬ってくれるわっ!!

ベン・ザ・エースの影がゲルヒルデの防壁の内部に入った瞬間、ベン・ザ・エースの影が無数の棘となって二人の体を切り裂く。

「ぐっ…影なら防壁の影響を受けないってことか!!ゲルヒルデ、こいつの影の能力は防壁を通り抜けてしまう!!ここは一気に奴に攻撃を仕掛けるしかないな…。」

「俺の影の能力の前には…その小娘の防壁など無力に等しいっ!!厄介な能力はいち早く消すのがならず者のやり方だ…ならこうしてみようか!!

ディンゴにそう告げた後、ベン・ザ・エースは自らの影を触手に変えてゲルヒルデの体を締め付ける。影の触手はゲルヒルデの体を締め付けながら、ベン・ザ・エースのもとへと戻っていく。

「う…うぐぐっ…ディンちゃんっ!!

「くっ…ゲルヒルデ、今から助けるから待っててくれっ!!

ゲルヒルデを締め付ける影の触手から解放させるべく、ボウガンを構えてベン・ザ・エースに狙いを定める。しかしベン・ザ・エースはゲルヒルデを盾にし、ディンゴの攻撃手段を奪おうとする。

 「おっと…撃ってみろ。もし撃てばこの小娘の命はないぞっ!!

ゲルヒルデを盾にするベン・ザ・エースの卑劣なやり方に、ディンゴは怒りの表情を浮かべながらボウガンに弾丸を装填し、再びベン・ザ・エースに狙いを定めようとする。

「ゲルヒルデを身代りにするという卑怯な真似しやがって…!!しかし今ボウガンの引き金を引けば得るヒルデに命中してしまう…一体俺はどうすればっ!!

ディンゴが頭を抱えて悩む中、ベン・ザ・エースに拘束されているゲルヒルデは自分ごとベン・ザ・エースを撃ち抜いてくれと告げる。

「ディンちゃん…私ごとあいつを撃ちぬいてくださいっ!!優しいディンちゃんはそう言う非情なやり方はできないかもしれないのですが…もはやこうするしか方法はないのですっ!!

ゲルヒルデの言葉の後、ディンゴはボウガンに装填されている弾丸を全て取り出し、一発の弾丸をボウガンに装填した後、ゲルヒルデに狙いを定め引き金を引く。

「今ボウガンに装填したのは強力な貫通弾だ。許せ…ゲルヒルデっ……!!

引き金が引かれた瞬間、ゲルヒルデはディンゴの放った弾丸を受けその場に崩れ落ちる。ゲルヒルデが死んだことを確認すると、ベン・ザ・エースが影の能力を解除し二丁の銃を再び構えディンゴに襲いかかる。

 「はははっ…自らの手で伴侶を殺しやがったぜ。悩みすぎて気でも狂ったのか…とんだ大馬鹿野郎だ

……何ぃっ!?

高笑いを浮かべる中、突如光の糸がベン・ザ・エースの体に巻き付き、身動きを封じる。

「馬鹿なのはあなたのほうね…ディンちゃんがさっきボウガンの中に入れた弾丸は強力な貫通弾ではなく火薬の入ってない空の弾丸よ。あなたの影で縛られている間、ディンちゃんと目で会話していたのよ…うまく演技でごまかしてちょうだいってね!!

「なかなかの演技だな…ゲルヒルデ。これで奴を倒せるチャンスが増えた!!ゲルヒルデ…そのまま一気に奴を縛り付けてくれっ!!

ゲルヒルデにそう伝えた後、ディンゴは鞄の中からヒートストーンを取り出し、ボウガンの熱を最大限にまで高め、排熱弾を放つ態勢に入る。

 「ゲルヒルデ…奴を縛り付けて安全な場所へ移動するんだ!!

ディンゴの声を聞いたゲルヒルデは聖なる糸でベン・ザ・エースを壁にくくりつけた後、安全な場所へと避難する。ゲルヒルデが安全な場所へ避難したのを確認すると、ディンゴは蓄積された熱を熱線に変えてベン・ザ・エースを攻撃する。

「これでも……喰らってやがれっ!!

ディンゴが引き金を引いた瞬間、ボウガンの発射口から高出力の熱線が放たれベン・ザ・エースの体を焼き尽くす。排熱弾によって体を焼き尽くされたベン・ザ・エースは、断末魔の叫び声を上げながらその場に崩れ落ち、ぴくりとも動かなくなる。

「ジャ…ジャンドラ様……申し訳ありませ…ぐわああああぁっ!

ベン・ザ・エースとの熾烈なる戦いに勝利したディンゴは、ゲルヒルデにオーディンを回復させるように命じる。

「ゲルヒルデ、オーディン様の傷を回復してやってくれ!!

「わかりました…。」

ゲルヒルデはオーディンの傷口に手を当て、精神を集中させて傷の治癒に入る。すると見る見るうちに傷口がふさがり、オーディンは自分の力で立ちあがれるまでに回復する。

 「おお…体に力が戻ってきたぞ。むむ、そなたはクリスたちとともにヘルヘイム王宮へと向かったのではなかったのか?

オーディンの言葉の後、ゲルヒルデはディンゴのことが心配で戻ってきたという旨をオーディンに伝える。

「オーディン様…私はディンちゃんのことが心配でヴァルハラに戻り、一緒に戦っていたのです。」

「うむ…そうであったのか。確かに戦力は一人でも多い方が心強いからな。そなたたちがいなかったら私はジャンドラの部下にやられていたところであった…礼を言うぞ。」

オーディンは二人に感謝の言葉を告げた後、謁見の間に戻っていく。オーディンが鍛錬場を去った後、ディンゴはゲルヒルデを連れて先にヘルヘイム王宮へと向かったクリスたちの後を追うのであった……。

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