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蘇生の章2nd第六十四話 邪聖太后パプリカを討て!!

 エスカデの村を後にしたクリスたちは、美しい女たちを連れ去り破壊神への生贄にしているという邪聖太后パプリカの待つレオニダス大聖堂へとやってきた。一行は大聖堂の中に囚われている女たちを救うべくクリスたちが大聖堂の中へと足を踏み入れたその時、武器を構えたパプリカ教徒たちがクリスたちを取り囲み、行く手を阻む。教徒たちの奇襲をかけられ劣勢を強いられたが、ディンゴの時間稼ぎのおかげで、クリスたちはパプリカのいる儀式の間へと向かうことに成功した。

 

 クリスたちが儀式の間へと来た瞬間、すでにパプリカが破壊神への生贄の儀式の準備を完了させ、儀式の開始を宣言していた。儀式を阻止し女たちを救出するべく、クリスたちはパプリカを崇拝する教徒たちを退け、パプリカのもとへと近づくが、炎の槍術や強風に苦戦され近づこうにも近づけない状態であったが、リリシアの投げた鉄扇がパプリカに命中し大きく態勢を崩した。態勢を崩している間になんとかダメージを与えようと、クリスたちは術で反撃を試みるのであった……。

 

 リリシアの鉄扇の一撃を受けて態勢を崩しているパプリカ身にまとった突風ですぐさま態勢を立て直し、怒りの形相でリリシアの方を睨みつける。

「うぐぐ…あの小娘め、わしのようなご老体に向けて鉄扇を投げつけるとはけしからん真似をしよって!!わしはもう怒ったぞ…貴様ら全員我が槍術で血祭りにあげてやろうぞっ!!

リリシアは術の詠唱に入るクリスたちにそう告げた後、鉄扇を構えてパプリカの方へと向かっていく。

 「ここは私が時間稼ぎをするから、クリスたちは詠唱に専念して!!

リリシアが鉄扇を構えて攻撃態勢に入る中、パプリカはその身に纏う突風のオーラを解き巧みな槍術をリリシアに繰り出す。両者の武器がぶつかり合い、凄まじいほどの量の火花が散るほどであった。

「ほう…わしに立ち向かってくるとは実に血の気の多い小娘だな。貴様のような美しさのかけらもない小娘は破壊神への生贄には向かんからな。この場で殺しその汚れた魂を焼き払ってくれるわっ!!

「ずいぶん私のことを悪く言ってくれるじゃない…この私の美貌があなたにはわからないということみたいね。だがそのセリフ、そっくりそのまま返してさしあげますわよっ!!

リリシアは火花散る熾烈な鍔迫り合いに競り勝ち、パプリカを大きく後ずさりさせる。しかしパプリカは不敵な笑みを浮かべ、まだまだ戦う意思を見せていた。

「はははははっ!!小娘のくせになかなかやるのぉ…流石にご老体の姿じゃ張りあいがなかろう。ならこれならどうかのぉ!!

パプリカがリリシアにそう告げた後、全身に魔力を込めて精神を集中し始める。すると老人の姿だったパプリカの体は徐々に無数の角を生やした巨大な怪物の風貌へと姿を変えてリリシアに襲いかかる。

 「わしの本気の姿を見せるのは貴様らが初めてだ…さぁ、行くぞ!!

凶暴な怪物の姿に変貌を遂げた肩を怒らせ、リリシアの方へと突進する。しかし魔姫はパプリカの突進をかわし、鉄扇で素早くパプリカを斬りつける。

「ふぅ…なんとか間一髪かわせたが、あと少し避けるのが遅かったら串刺しにされていたところだったわ。だがここで怯んではいけないわ…クリスたちが詠唱を終えるまではがんばらないとね。」

リリシアがひとりパプリカと戦う中、術の詠唱を続けるクリスたちは精神を集中させ、魔力を練り上げていく。三人の魔力が集まり、巨大な魔力の渦がクリスの手のひらに集まってくる。

「これだけ魔力が集まれば、パプリカに大きなダメージを与えられそうよ!!クリス、もうそろそろ奴に放ってもいいんじゃない?

カレニアの号令の後、クリスは三人が詠唱で集めた魔力をパプリカに放つべく、カレニアとゲルヒルデに術を放つ態勢に入るようにとの号令をかける。

「わかったわ。三人分の魔力が濃縮された一撃を奴に放ってやるわよっ!!みんな、術を放つ態勢をっ!!

クリスの号令の後、三人は術を放つ態勢に入る。一方クリスたちが詠唱を終えるまでの時間稼ぎをしているリリシアは、素早い身のこなしでパプリカの攻撃をかわしつつ、すれ違いざまに鉄扇で斬りつけていく。

「あなたの攻撃は何度やっても私には当たらないわよ。さぁ、かかってらっしゃいっ!!

「うぐぐ…何度やっても無駄だっ!!貴様のような小娘一人の足掻きなど蟻のひと噛みにすぎんっ!!わしの力をなめるでないぞっ!!

リリシアにそう告げた後、パプリカは大きく息を吸い込み気合いを溜め始める。パプリカのただならぬ様子を見たリリシアは、術を放つ態勢に入る三人に急ぐようにと命じる。

 「奴が気合いを溜め始めたわ。みんな、急いで奴に術を放ってちょうだい!!

リリシアの言葉を聞いたクリスたちは、急いで術を放つ態勢に入る。三人の魔力が濃縮された魔力は聖なる雷雲となり、パプリカの頭上に現れる。

「集結せし魔力よ…天の裁きとなりて悪しき者を焼き尽くさんっ!!極大波導雷撃術・制裁の雷撃(パニッシュメント・ボルテージ)っ!!

三人が同時に術を放った瞬間、聖なる雷雲から無数の聖なる稲妻が降り注ぎ、パプリカの体を貫いていく。聖なる雷に貫かれたパプリカは大きなダメージを受け、その場にうずくまる。

「うぐぐぐ…邪聖太后の異名を持つこのわしに膝をつかせるとはな。だが、最後に笑うのはこのわしなのだよっ!!

パプリカは態勢を立て直すと、目を閉じて瞑想を始める。すると、先ほどの術で受けた傷が一瞬にして塞がり、優勢だった戦況が一気に逆転する。

「あ…あの合体術で奴に致命傷を与えたのに、一瞬で元通りになってしまったわ!!

「わしは神聖なるレオニダス大聖堂の主だ。こんな小娘らに簡単にやられるわけにはいかんのだよ…さてと、今度はわしから行かせてもらうぞっ!!

その言葉の後、パプリカは大きく息を吸い込みおぞましいほどの雄たけびを上げる。大爆発のような轟音のような雄たけびに、クリスたちは耳をふさがずにはいられない状態であった。

 「ほう…そろそろ止めといこうかっ!!

雄たけびによってクリスたちが無防備状態となっている中、パプリカは肩を怒らせてクリスたちに突進を繰り出し、クリスたちを大きく吹き飛ばす。

「きゃあああっ!!

パプリカの突進をまともに喰らったクリスたちは大きく吹き飛ばされ、大きく地面にたたきつけられたが、態勢を立て直してパプリカに立ち向かっていく。

「今の突進は効いたわ…パプリカ、私たちはあなたを倒すっ!!

クリスの言葉の後、全員は武器を構えてパプリカを迎えうつ。突進を受けてもなお立ちあがってくるクリスたちに立腹したパプリカは、怒りの形相でクリスたちを睨みつける。

「わしの突進を受けてもなお立ちあがってくるとは…このまま死んでいればよいものをっ!!まずはそこの小娘を地獄へとおくってやるっ!!

怒り狂うパプリカはリリシアに狙いを定め、頭に生える巨大な角を突き出して突進する。しかし間一髪リリシアにかわされ、パプリカの巨大な角が壁に突き刺さり身動きが取れなくなる。

「し…しまった!!これでは動こうにも動けぬっ!!小娘め…小癪な真似をっ!!

パプリカが壁に突き刺さった角が抜けずもがき苦しむ中、リリシアは手のひらに赤き炎の魔力を集め術の詠唱を始める。

「我が身に眠る赤き炎よ…獄炎の火球となりて対象を焼きつくさんっ!!焔業の大火球っ!!

リリシアが詠唱を終えた瞬間、魔姫の手のひらに赤き炎の魔力が集まり巨大な火球が形成されていく。

「あと少し…あと少し大きくすれば奴を跡形もなく焼き尽くせるほどにまで大きくできる。その火球をさらに大きくし、奴に放つっ!!

リリシアは火球に赤き炎の魔力を注ぎ込み、さらに火球を大きくする。魔姫は火球を二倍以上の大きさにした後、それをパプリカめがけて投げつける。

 「地獄に…堕ちなさいっ!!

リリシアが投げた大火球がパプリカの体に着弾した瞬間、大爆発とともに巨大な炎の竜巻が巻き起こる。大火球の直撃を受けたパプリカの体は跡形もなく焼き尽くされ、残されたパプリカの頭部がリリシアのもとへと転がる。

「な…なぜだっ!!小娘ごときに…このわしがっ!!悔しいがわしの負けじゃ…だがひとつ教えてやろう。破壊神を崇拝しているのはこのわしだけではない。ここから東の方角にあるヘルヘイム法王庁には、私よりも上の存在である大司教ハバネロ様がいる。あのお方は伝説の武具の一つであるディアウスの……!?

パプリカが伝説の武具の事を話そうとした瞬間、何者かが放った炎がパプリカの頭部を灰にする。その直後、赤い顔の司教らしき人物がクリスたちのもとに現れる。

「クックック…パプリカよ、伝説の武具については他言無用といったはずだぞっ!!わが名は大司教ハバネロ…ヘルヘイム法王庁の長にして、破壊神を崇拝する者だ。むむっ…パプリカを倒したのは貴様らのようだな。」

ハバネロの言葉の後、リリシアは鉄扇を構えてハバネロを威嚇する。

 「そうよ。パプリカを倒したのは私よ。あなたがあいつの言っていた大司教ハバネロってやつね。あなたも破壊神を崇拝しているのなら、私たちはここであなたを倒し、その野望を打ち砕きますわよっ!!

リリシアの威嚇に対し、ハバネロはリリシアに武器を収めるようにと告げる。魔姫はハバネロに言われるがまま武器を収め戦闘態勢を解き、ハバネロと会話を始める。

「そこの小娘よ、少しばかり話がしたいのでその扇を収めてくれぬか…。ふむ、見た目はただの小娘だが内に強大な魔力を秘めているようじゃな。だがわしはここで貴様らと戦うつもりはない…貴様らと一戦を交えるときはヘルヘイム法王庁にあるアルバトロス大聖堂に来た時だ。貴様らがアルバトロス大聖堂に来るまで、わしは大聖堂の最上階で待っているぞ…ハハハハハッ!!

クリスたちにそう告げた後、ハバネロは転送術を使い儀式の間を後にする。ハバネロを打ち倒したクリスたちは儀式の生贄にされかけていた女性たちを大聖堂の外へと案内するのであった……。

 

 パプリカによって囚われていた女たちを大聖堂の外へと案内した後、美しい女たちはクリスたちに感謝の言葉を述べる。

「あなたたちがパプリカを倒してくれたおかげで、私は破壊神の生贄にならずにすみました。本当にありがとうございました!!

女たちがクリスたちにそう述べた後、パプリカによって囚われの身となっていた女たちはレオニダス大聖堂を後にする。女たちがレオニダス大聖堂を去った後、パプリカ教徒と戦っていたディンゴがクリスたちのもとへと戻ってくる。

「女たちが大聖堂から出てきたということは、どうやらクリスたちがパプリカを倒したようだな。さて、そろそろヴァルハラに戻り、オーディン様に報告しようぜ。」

ディンゴの言葉の後、リリシアの持っているテレパシーストーンが光り輝きだす。魔姫は鞄の中に入っているテレパシーストーンを取り出し、通信を開始する。

「こちらリリシア。たった今ヘルヘイムのレオニダス大聖堂でジャンドラの手下と思われる邪聖太后パプリカを撃破しました。その大聖堂では女たちを大聖堂へと拉致し、破壊神とやらの生贄にしていたとのことです。パプリカは最後にディアウスの…の言葉の後、突如現れたハバネロに倒されてしまいました。ハバネロはヘルヘイム教皇庁にあるアルバトロス大聖堂で待っていると私たちに告げた後、その場から去って行きました。」

「オーディンだ。レオニダス大聖堂の件、御苦労であった。戦乙女たちが持ち帰った地図を見る限り、ヘルヘイム法王庁は今いる場所から南の方角だ。法王庁までたどり着けば、ヘルヘイム王宮は目と鼻の先だな。そうだ、今先ほどオルトリンデとシュヴェルトライテが伝説の武具である『天帝の剣』と『アストライアの盾』を手にクリスたちの捜索へと向かったのだ。もしどこかで出会ったなら、伝説の武具が身につけられる者がいるか試してみるがいい。では私はこれにて失礼する……。」

オルトリンデとシュヴェルトライテが伝説の武具を手にクリスたちの捜索をしているとのオーディンの言葉の後、オーディンは通信を切りリリシアとの会話を終える。レオニダス大聖堂の主であるパプリカを倒したクリスたちは、次なる目的地であるヘルヘイム法王庁を目指すべく足取りを進めるのであった……。

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