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蘇生の章2nd第五十六話 要塞女帝【イングリッド】(1

 オーディンからブリスベン要塞の破壊を命じられたクリスたちは、ついに死の山の中腹にあるブリスベン要塞へとたどり着くことに成功した。堅く閉ざされた鉄の扉を破壊し、クリスたちがブリスベン要塞へと突入した瞬間、警報とともにイングリッドの部下たちが武器を構えてクリスたちに襲いかかってきたが、クリスたちは部下たちを容易く退け、要塞の中心部へと向かう。中心部へと向かうクリスたちの前に、突如ジャンドラの部下でもありブリスベン要塞を統べる女帝・イングリッドが現れた。クリスたちの目的を知ったイングリッドはヘルヘイムの希少金属で作られた機械巨兵であるアラゴンギガントを呼び出しクリスたちに襲いかかるのであった……。

 

 クリスの活躍により、仲間たちをリリシアのもとへと集めさせることに成功した。イングリッドを討つための策を思いついたリリシアは、急いで仲間たちにその旨を話す。

「みんなよく聞いてちょうだい。見つけたわよ、奴の弱点をっ!!あの女が乗っているあの機械は、全ての属性攻撃を大幅に軽減する能力を持っている…つまり、炎・闇といった属性攻撃では効果はいまひとつ…しかしみんなの魔力を集めて奴の足に当てれば、転倒させられるかどうかはわからないけど、奴を足止めできる可能性はありそうよ。奴が転倒…もしくは移動不能になった隙に操縦席を覆っているカバーを壊して中にいるあの女を外に放り出す…!!さて、そろそろ作戦を実行に移すわよっ!!

リリシアの言葉の後、クリスたちは急いで魔力を集め始める。クリスたちが集めた魔力は徐々に大きくなり、リリシアの体の中へと流れ込んでいく。

「クリスたちの魔力を一点に集中させ……この戦いの…活路を開くっ!!フォーカス・ブラストっ!!

四人の魔力を一点に集中させ、リリシアはクリスたちの魔力が込められた巨大な闘気の球体をアラゴンギガントの脚部めがけて放つ。リリシアの放った闘気の球体がアラゴンギガントの脚部に命中した瞬間、アラゴングレートは徐々に態勢を崩し、バランスを保てなくなる。

 「ぐっ…コントロールがきかんっ!!アリどもめ…これほどまでの力を秘めていたとはな……!!だが、貴様らごときに舐められるわけにはいかん…態勢を立て直したうえで反撃を仕掛け……ぐおうっ!!

その言葉の後、アラゴングレートの足が地面から離れ、轟音とともにその場に倒れる。アラゴンギガントが転倒した瞬間、クリスとリリシアがイングリッドのいる操縦席へと向かっていく。

「私が操縦席のカバーを破壊するから、クリスは中にいるイングリッドを外に放り出してちょうだい!!

「わかったわ!!一緒に戦いましょう…リリシアっ!!

クリスにそう告げた後、リリシアはアラゴンギガントの頭部にある操縦席の方へと向かっていく。アラゴンギガントの頭部に来たリリシアは、手のひらから炎弾で放ち操縦席を覆うカバーを破壊する。

「これで操縦席に突入できるわ。クリス、イングリッドを操縦席の外に出してちょうだいっ!!

リリシアの言葉を聞いたクリスは、リリシアが開けた穴から操縦席に突入しイングリッドを操縦席の外に出す。クリスが突入した時には、イングリッドは転倒時の衝撃で気を失っていた。

 「これでよし…と。イングリッドは気を失っているけど、いつ気がつくか分からないわ。そうだ…ゲルヒルデ、もしもの時に備えて奴を拘束してくれないかな…?

クリスからイングリッドの拘束するようにとの言葉を受け、ゲルヒルデは聖なる魔力を集め詠唱に入る。

「聖なる光よ…悪しき者を束縛せよっ!!ホーリー・チェインっ!!

ゲルヒルデが詠唱を終えた瞬間、聖なる鎖が気絶したイングリッドを縛り付け身動きを封じる。イングリッドを拘束した後、一行は中心部へと向かうべく先を進む。

「これで邪魔する者はいなくなったわ。さて、そろそろ中心部へと向かい、この要塞を破壊してヴァルハラへ帰るわよ!!

リリシアが仲間たちにそう告げた後、一行はブリスベン要塞の中心部へと向かうのであった。

 

 一方クリスたちがブリスベン要塞で激闘を繰り広げている中、ヘルヘイム大監獄の調査を命じられた戦乙女と戦士たちは、突入要員を割り当てるべく話し合っていた。

「皆の者、探索人数の割り当てが終了したため連絡する。上層部は私とジーグルーネと戦士4名。地下牢獄の方はシュヴェルトライテ、ヘルムヴィーゲ、グリムゲルデと戦士11名だ。そのメンバーで探索を行う。誰一人として口答えは許さん。」

突入するメンバーを告げた後、戦士たちは異議を訴えることなくオルトリンデの意見に賛成する。

「それでよい…地下の方に人数を集めるのはなかなかいい作戦だな。オルトリンデ様、では探索へと向かいましょうっ!!

戦士の言葉の後、戦乙女と戦士たちはヘルヘイム大監獄へと突入する。内部に突入した彼らは2チームに分かれ、それぞれの持ち場へと向かっていった。

 「シュヴェルトライテたちは地下へと向かった。私たちは上層部へと向かい、ヘルヘイムに関する情報を少しでも探し出すぞっ!!

立ちふさがる看守たちを退けながら、オルトリンデ率いる上層部攻略隊は大監獄の上層部へと到着する。オルトリンデたちが上層部へと来た瞬間、上級クラスの看守たちが上層部に来たオルトリンデを睨みつけながら彼らにそう告げる。

「な…何者だ貴様らはっ!!

「私たちはヘルヘイムの情報を知るためにここに来た。少しばかりここを調査させてもらうぞ…。」

オルトリンデが上級クラスの看守にそう告げた後、机や本棚などを調べ始める。彼女が看守以外閲覧することを禁じられた重要な書類に手をかけた瞬間、上級クラスの看守が警棒を構えてオルトリンデに襲いかかる。

「ま…待てっ!!そんな勝手な真似は許さん…貴様ら全員牢獄にぶち込んでくれ……うわぁっ!!

看守の構えた警棒がオルトリンデに振り下ろされようとしたその時、ジーグルーネの鉄球の一撃が炸裂する。窮地のところを救われたオルトリンデは、ジーグルーネに感謝の言葉を告げた後調査に戻る。

「ジーグルーネ、そなたのおかげで助かったぞ。」

「助けるのが当たり前でしょ…同じ戦乙女なんだから。戦士たちも看守と戦っているわ。戦士たちが戦っている間、私たちはヘルヘイムの情報を集めましょう。」

戦士たちと看守たちが戦いを繰り広げている中、戦乙女の二人は上層部の調査を再開する。オルトリンデが机の引き出しを開けた瞬間、中には重要文章とヘルヘイム全域の地図を発見する。

 「中は機密文書ばかり…おっ、ヘルヘイムの地図を見つけたぞっ!!これで死霊王ジャンドラのいるヘルヘイム王宮の場所が分かったが…だがもう少し調べる必要があるな。」

オルトリンデが地図を発見した後、ジーグルーネは何やら封書のようなものを手にオルトリンデのもとに駆け寄る。

「オルトリンデ…本棚の中からこんな物を見つけたのですが……?

「よかろう…ではその封書を私によこせ。」

手渡した後、オルトリンデは封書の中身を確認する。封書の中には3000SG(スカイゴールド)と何やらメモ紙のようなものが入っており、メモには何やら番号が書かれていた。

「なんだこれは、メモには6…23…50…65…99の数字が書かれているが、これは何を意味しているのかはわからん。とりあえずそのことを看守に問いただせば何かヒントが得られるかもしれないな…。」

メモ紙を手に、オルトリンデは近くにいる看守にレイピアを突きつけ、メモ紙の数字のことを言うようにと脅す。

「看守よ、このメモ紙に書かれていることは何を意味するのかを教えろ!!貴様、命が惜しければ早く教えるんだな……。」

「い…言いますっ!!確かこの数字は地下牢獄の最下層にある閉ざされた部屋を解除するための数字だ。ただし地下牢獄の最下層は凶悪な囚人たちがいるエリアだ。数多くの囚人を取り押さえてきた屈強の看守でも、下手をすると命が危ない。貴様らごときが最下層に行けば囚人たちに殺されるだけだ……。」

メモ紙の数字の真相を白状した後、オルトリンデはテレパシーストーンを使い地下牢獄の探索に向かっているシュヴェルトライテに連絡を取る。

 「こちらオルトリンデ。今から言う数字をメモしておけ。数字は6…23…50…65…99の順だ。この数字は地下牢獄の最下層の閉ざされた部屋を開けるために必要な解除コードだ。」

シュヴェルトライテが最下層にあると言われる閉ざされた部屋を開けるための数字を書きとめた後、テレパシーストーンでオルトリンデに折り返し連絡を取る。

「数字のメモは取っておいた。オルトリンデ、いい情報をありがとう。私たちは今地下10階にいる。後6階で最下層に到着するので、最下層に着いたら折り返し連絡するっ!!

「わかった。シュヴェルトライテ、看守から聞き出した情報によると、最下層には凶悪な囚人がうようよしているという話だ…気を付けたまえ。」

その言葉の後、オルトリンデはテレパシーストーンの通信を切断し、シュヴェルトライテととの連絡を終える。シュヴェルトライテとの会話を終えた後、オルトリンデは戦士たちを集め探索終了を告げる。

「皆の者、これにて上層部の探索は終了だ。この上層部の探索で、ヘルヘイム全域の地図と謎のレポートを発見した。この探索で手に入れたヘルヘイムの地図は、これから先の作戦に大いに役立つであろう。さて…私たちは一旦ヴァルハラに戻り、オーディン様に上層部の探索で得た物を渡した後、我々も地下牢獄の最下層へと向かうぞ。地下牢獄の最下層へと続く転送陣は、大監獄の一階の看守詰め所にあるはずだ。それを使えば一気に目的地の最下層へと行けるぞ。」

オルトリンデが戦士たちにそう伝えた後、一行は大監獄の上層部の探索の成果を報告するべくヴァルハラへと戻るのであった……。

 

 オルトリンデが上層部の探索を終えてヴァルハラに一時帰還している中、クリスたちはブリスベン要塞の中心部を破壊し、入口へと向かっていた。

「入口が見えてきたわ…あともう少しでこの要塞は動力を失い、爆発するわ。それまでに脱出しなければ私たちは崩れゆく要塞に押しつぶされてしまうわっ!!

要塞への入口へと急ぐクリスたちの前に、縛られていたイングリッドが目の前に現れ、クリスたちの行く手を阻む。

 「貴様ら…よくも我が要塞の中心部を破壊してくれたわね…。ふん…まぁいい、貴様らは絶対にこの要塞の外には出させん。ククク……滅びゆく我が要塞とともに朽ち果てるがいいっ!!

イングリッドが不敵な笑みを浮かべた後、イングリッドの体が邪悪なオーラに包まれ、徐々に禍々しい外見へとその姿を変貌させていく。イングリッドを包み込む邪悪なオーラが消えた後、背中には四枚の翼が生え、茨の鞭のような尻尾が生えたような化け物へと姿を変える。

「な…なんて奴なのっ!?あいつ、変身能力を持っていたちはね!!

「そうだ…これが私の真の姿だっ!!この強大な力は死霊王ジャンドラ様より与えられた死霊の力だ。この力さえあれば、貴様らなど雑魚同然…ここで消し去ってくれるわっ!!

イングリッドのただならぬ魔力を感じたリリシアはクリスたちにそう告げた後、クリスたちは武器を構えてイングリッドを迎え撃つ態勢に入る。

「ま…まさかこれほどまで恐ろしいまでの魔力を持っているとはね……。だがここで負けるわけにはいかないわ。みんな、奴を倒して必ず生きてここから脱出するわよっ!!

「クックック…貴様らのような雑魚どもに、この私が負けるわけがなかろう…私がこの手で始末しその魂をジャンドラ様の手土産にしてくれるわっ!!

禍々しい姿へと変貌を遂げたイングリッドが闇の魔力を解放し、クリスたちに襲いかかってきた。はたしてクリスたちは、ブリスベン要塞が完全に崩壊するまでにイングリッドを倒し、ヴァルハラに帰還することができるのか……?

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