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蘇生の章2nd第百十六話 決戦!!ニルヴィニア

 聖域へと続く転送陣を発動させるために必要な『創世紋の秘石』を手に入れるべく、クリスたちはグラヴィートと激戦を繰り広げていた。クリスたちは激戦の末にグラヴィートをあと少しで倒せるまでに追い詰めたが、グラヴィートは黄金郷の力を手に入れ魔人のような禍々しい姿へと変貌を遂げてしまった。黄金郷の力を得たグラヴィートによってクリスたちがなすすべなく倒されていく中、カレニアは術の連続攻撃でグラヴィートに攻撃を仕掛け、大きなダメージを与えることに成功した。しかし再びクリスたちに追い詰められたグラヴィートはさらなる力を手に入れるべく黄金郷の術を唱えた瞬間、凄まじいほどの魔力に耐えきれずグラヴィートの体が大きく膨らみ、今にも爆発しそうな危険な状態であった。その危機的状態にクリスたちがパニックに陥る中、グラヴィートの体が破裂し凄まじい爆発が巻き起こった。クリスたちが死を覚悟したその時、セディエルが身を挺してクリスたちを庇ったおかげで生き延びることができたが、爆発のダメージを直に受けたセディエルは力尽き、息絶えてしまった……。

 

 一方その頃黄金郷の最上階にある聖域では、ニルヴィニアがグラヴィートの生体反応が消えたことを察知していた。

「小汚いネズミ共と交戦中のグラヴィートの生体反応が消えた…さすがにあの爆発でネズミどもは全員死んだはずだ…これで我が配下は全て倒れた。後は黄金郷の支配者であるわらわだけになってしまったな。ならば私が出る幕は無くなった……っ!?

グラヴィートの爆発を受けてもなおクリスたちの生命反応が無くなっていなかったことを知ったニルヴィニアは、驚きのあまり言葉を失くしていた。

「むむっ!?どういうことだ…なぜあのネズミ共が生きていられるのだっ!!しかもわらわのいる聖域の方へと向かってきているとはな…どうやらあいつらはグラヴィートに渡しておいた創世紋の秘石を奪い、聖域へと続く転送陣を発動させてこっちに向かってきているのかっ!?

ニルヴィニアの言葉の後、剣を構えたクリスたちがニルヴィニアの前に現れる。

「ニルヴィニア…あなたの好きにはさせないわよっ!!

「私の浮遊要塞へようこそ…小汚いネズミどもよ。我が配下たちを倒しここまで来れたことは誉めてやろう。ひとつ聞きたいことがあるが、あの爆発からどうやって生き延びたのだ?

リリシアは怒りのまなざしでニルヴィニアを睨みつけた後、ニルヴィニアにグラヴィートの自爆からどうやって生き延びたかを言い放つ。

 「あの爆発から生き延びた理由をあなたに教えてあげるわ。セディエルはグラヴィートの自爆から私たちを守り、命を落としたのよっ!!私たちは…あなたを倒すためにここに来たのよっ!!

リリシアの言葉の後、ニルヴィニアは不気味な笑みを浮かべながらこう答える。

「クックック…実に笑える話だ。セディエルという者は貴様らを庇って死んだというわけか。貴様らのような小汚いネズミのような存在を庇って死んだのなら、そのセディエルという者はネズミ以下の存在だな…クハハハハハッ!!

クリスたちを庇い死んだセディエルをあざ笑うニルヴィニアに怒りを感じたリリシアは髪飾りを鉄扇に変え、ニルヴィニアへの方へと向かっていく。

「ニルヴィニア…貴様だけは許さないっ!!この私が相手になってあげるわっ!!

「ほう、私に牙をむくとは愚かなり。わらわはこの黄金郷を統べる創造神を飲み込み、万物をつかさどる存在となったのだ。神であるこの私に逆らったことを…地獄で後悔するがいいっ!!

ニルヴィニアは無数の光輪を飛ばし、鉄扇を構えて向かってくるリリシアを切り裂いていく。無数に飛ばされた光輪はリリシアの体を切り裂いた後、光輪が魔姫の体を締め付けて身動きを封じる。

「うぐっ…あいつが飛ばしてくる光輪が早すぎて避けきれないっ!!しかも光輪のひとつが私の体を締め付けているせいで身動きが取れないわ…追撃を喰らう前に早く抜けださないとっ!!

リリシアは全身に魔力を込め、身動きを奪う光輪をほどこうとする。しかし頑丈な光輪はリリシアの力では振りほどくことができず、身動きを封じる光輪はさらにリリシアの体を締め付ける。

「創造神の持つ光輪は実に便利だな…相手を切り裂くこともできるし拘束もできる。神に刃向かう貴様の勇気に免じて、この神たる私が止めを刺してやろう…光栄に思うがよいっ!!

リリシアが光輪によって身動きを封じられている中、ニルヴィニアは光の剣を作り出しリリシアの方へと放つ。ニルヴィニアの手から放たれた光の剣がリリシアの心臓を貫こうとしたその瞬間、アストライアの盾を構えたクリスが前に立ち、光の剣の一撃を防ぐ。

 「リリシア…私も加勢しますっ!!

クリスは魔力相殺(ディスエンチャント)を使ってリリシアの身動きを奪う光輪を破壊した後、天帝の剣を構えて戦闘態勢に入る。

「くっ…貴様の邪魔が入ったせいで殺し損ねたか。まぁよい、貴様から先に葬ってやろう!!

ニルヴィニアは素早い動きでクリスに詰め寄り、激しい蹴りの連打を食らわせる。クリスはアストライアの盾を構えようとしたが、運悪くニルヴィニアの蹴りの一撃を受けてしまう。

「ここは盾を構えて防御の体勢を…きゃあっ!!

「おっと…余計な真似をされては困る。創造の神に刃向かう不届き者はこの場で処分してくれるっ!!

嵐のように繰り出される蹴りの応酬に、クリスは盾を構えることすらできず連続で攻撃を受けてしまう。

「くっ…もう見ていられないわっ!!みんな、私はクリスの加勢に向かうので、援護をお願いっ!!

その光景に怒りを感じたカレニアは仲間たちに援護するようにと命じた後、剣を構えてニルヴィニアの方へと向かっていく。カレニアが先陣をきってニルヴィニアの方へと向かった後、他の仲間たちはカレニアを援護するべく、彼女の後に続く。

「クリス、ここは私が奴をひきつけるから…その間に安全な場所に移動してっ!!

ニルヴィニアをひきつけている間に安全な場所へ移動するようにとクリスに伝えた後、カレニアは構えた剣に爆ぜる魔力を注ぎ込み、背後からニルヴィニアを斬りつける。

「爆ぜる爆発の剣技…受けてみるがいいっ!!

カレニアが爆ぜる魔力が込められた剣でニルヴィニアを斬りつけた瞬間、斬りつけると同時に次々と爆発が巻き起こり、ニルヴィニアにダメージを与えていく。カレニアがニルヴィニアと激戦を繰り広げる中、クリスはその間に安全な場所へと移動し、傷の回復に入る。

「うぐぐ…虫けらの分際でなかなかの強さを持っているようだな。よかろう…ならば本気で行くぞっ!!

「先ほど私が放った剣技は『爆斬剣』とでも名づけようか。さて、無駄話が過ぎたわ…さて、どこからでもかかってきなさい。私が相手になって差し上げますわっ!!

その言葉の後、剣を構えたカレニアはニルヴィニアに攻撃を仕掛ける。しかしニルヴィニアは全身の皮膚を硬質化し、カレニアの斬撃を防ぐ。

「そ…そんな!!さっきまで私の斬撃が通っていたのに…まったく効いていない!!

「わらわは創造神を飲み込んだ存在…自らの肉質を鋼のように硬化させることなど容易いことだ。どうやら私の力を甘く見すぎたようだな…虫けらがぁっ!!

ニルヴィニアは口から凄まじい衝撃波を放ちカレニアを吹き飛ばした後、目にもとまらぬ素早さでカレニアの背後へと回り込む。

 「くっ…背後に回り込まれてしまったみたいね。態勢を立て直して…っ!?

カレニアがニルヴィニアの方へと振り向こうとした瞬間、カレニアは突然全身を拳で殴られたような痛みに襲われる。正体不明の攻撃を受けたカレニアが地面にうずくまる中、ニルヴィニアはゆっくりとカレニアのほうへと近づき、止めを刺そうとする。

「うぐぐ…今の一撃はなんなのよっ!!攻撃の正体がまったくつかめないわ…。」

「冥土の土産に教えてやろう。今の不可視の一撃はわらわの『神速』だ。わらわが貴様の背後に回る際に高速で多段攻撃を仕掛け、時間差で貴様の体に拳の一撃を叩きこむことができるのだ。さて…そろそろ息の根を止めてやろう。」

ニルヴィニアは光輪に魔力を集め、あらゆるものを破壊する光線を放つ。しかしカレニアはすぐさま態勢を立て直し、ニルヴィニアの放った光線をかわし一気に懐へと詰め寄る。

「うぐっ…まだまだよ。あなたなんかに…地上界は渡さないっ!!フレイム・リジェクションっ!!

ニルヴィニアの懐へと詰め寄ったカレニアは圧縮された炎の魔力を手のひらに集め、ニルヴィニアに炎の衝撃を浴びせる。一点に集中させた炎の衝撃は硬質化した肉体にダメージを与え、大きく後ろへと後退させる威力であった。

「うぐぐ…まだ貴様にそんな力が残っていたとは驚いたぞ。だが創造の力を得た私にはあらゆる手を尽くしても勝てん。貴様たちはここで負ける定めなのだ!!

カレニアの炎の衝撃を受けて後ろへとのけぞったニルヴィニアは全身に魔力を込めた瞬間、光輪から無数の聖なる光弾が生み出され、ニルヴィニアの周囲を漂い始める。

「このままでは済まさんぞ小娘よ…創造の神に背いた裁きをうけるがいいっ!!創造の秘奥義…裁きの礫(パニッシュメント・レイン)!!

ニルヴィニアが全身に込めた魔力を解放した瞬間、頭上に浮かぶ無数の聖なる光弾がカレニアめがけて向かってくる。カレニアはニルヴィニアの無数に飛んでくる光弾を相殺するべく、魔力を集め早口で詠唱を始める。

 「相反する陰と陽のエネルギーを用いて、全てを吸い寄せる磁場を生み出さんっ!!古の秘術(グランスペル)・双極磁場(アーラ・マグネルガ)ッ!!

カレニアは全てを吸い寄せる磁場を生み出し、ニルヴィニアの放った無数の聖なる光弾を吸い寄せようとする。しかし聖なる光弾はカレニアの磁場の影響を受けず、容赦なくクリスたちに裁きの礫が降り注ぐ。「そ…そんなっ!!私の作った磁場でも奴の光弾が吸い寄せられないなんてっ!!

その言葉の後、カレニアは聖なる光弾の一撃を受けその場に倒れる。ニルヴィニアは傷つき倒れたカレニアに近づき、光輪に魔力を集め術の詠唱を始める。

「無駄なことを…そんな磁場ごときでわらわの裁きの礫を吸い寄せられると思っていたのかっ!!神に逆らう不届き者めが…裁きを受けるがいいっ!!創造の秘術…石の棺(ペトロナス・コフィン)!!

ニルヴィニアが詠唱を終えた瞬間、光輪から不気味な光が放たれる。その光を浴びたカレニアは体が石化し、一歩も動くことができなくなる。

「私の体が動かないっ…何が起こっているのよっ!!

「わらわの光輪から放たれた光を浴びた者は…生きたまま石になる。神に背きし愚かなる者は石となり、永遠に続く地獄を味わうがいいっ!!

ニルヴィニアの言葉の後、カレニアの体は完全に石化してしまった。

 「どうだ…これが神に逆らった者の末路だ!!わらわに逆らう者は完膚なきまでに痛めつけた後…生きたまま石に変えてやろう。」

これまで共に強敵と闘ってきた仲間であるカレニアを石にされ怒りに震えるクリスは、剣を構えてニルヴィニアのほうへと向かっていく。

「よ…よくもカレニアをっ!!もう許さないわ…私が相手になってやるわっ!!

天帝の剣を構えこちらの方へと向かってくるクリスを前に、ニルヴィニアは不敵な笑みを浮かべながら光輪に魔力を込めて戦闘態勢に入る。

「ほっほっほ…あの小娘のように石にされたいみたいだな。よかろう…神に逆らう愚かな者はわらわが軽くひねってくれるわっ!!

ニルヴィニアは光輪の魔力を聖なる刃に変え、クリスに襲いかかる。仲間であるカレニアを失い怒りに燃えるクリスは、創造神の能力を手に入れたニルヴィニアに勝つことができるのか!?

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