蘇生の章第四十八話 王宮防衛戦!帰ってきたボルガ!!

 

 自分の中に眠る赤き炎の力を使いこなし、リリシアはついに獄炎竜を打ち破った。獄炎竜を打ち破ったクリスたちは、ルーズ・ケープへと向か旅路でテントを張り、暫しの休息を取っていた。クリスたちが休息を取っている間、レミアポリスの王宮ではメディスの放った三角獣により、攻撃を受けていた。そのことを聞いたファルスは王宮魔導士たちと合流し、三角獣を討つべく王宮前へと駆けていくのであった…。

 

 王宮前に着いたファルスたちの目に飛び込んできたのは、三つの角を持つ獣が角を突き出し、王宮を破壊しようとしている姿であった。それを見かねたファルスが、槍を構えて三角獣に向かっていく。

「貴様…これ以上王宮を破壊しようとするなら、俺はお前を許さんっ!!

槍を構え、三角獣の足元へと潜り込み、三角獣の足に一突きを放つ。足に一突きを喰らった三角獣は、足元に居るファルスを振り払うべく、尻尾を振り回して反撃を仕掛ける。

「ファルス様…ここは私がっ!

尻尾がファルスに命中する前に、王宮魔導士の一人が放った防壁の術のおかげで、尻尾のダメージが軽減され、ファルスはすこし吹き飛ばされただけで、無傷であった。

「ありがとう。あなたの魔力が無ければ俺は大ダメージを受けていたところだった。奴は今まで王宮をお襲ってきた奴とは違う…。奴には非常に好戦的なうえ、死角が全く無い。出来るだけ防御力を上げてから突っ込まないと、大ケガでは済まされないからな。」

 ファルスは再び槍を構え、戦う準備に入る。王宮魔導士たちはファルスに防御力を上げる術を唱え始めた。王宮魔導士たちの術により防御力が上がったファルスは、再び三角獣に攻撃を仕掛ける。

「防御力はある程度上がった。再び奴の足元に潜り込み、一気に攻撃を仕掛ける!!

三角獣の足元へと潜り込もうとするファルスに、大きな尻尾が再び襲い掛かる。ファルスは大きく空中に飛び上がり、間一髪大きな尻尾の一撃をかわし、足元へと潜り込む。

「喰らえっ!!

三角獣の足に、ファルスの三段突きが炸裂する。足を負傷した三角獣は、その場に倒れもがきだした。

 「今が攻撃のチャンスです!!弱点は氷ですので、あの魔物が倒れている隙に氷の術を集中的にぶつけるのです!!

王宮魔導士たちは氷の力を集め、もがいている三角獣に向けて氷の術を一斉に放った。王宮魔導士たちの氷の力が一点に集まり、強力な氷の刃となって三角獣に襲い掛かる。

「グルアアアアアアアァッ!!

氷の刃が三角獣に突き刺さった瞬間、三角獣の周りが凍りつき、動きを封じる。

「ファルス様!!今がチャンスです。あの魔物に槍術を放ってくださいっ!その前にあなたの持つ槍に氷の属性を付加します…。」

王宮魔導士がファルスの持つ槍に手をかざし、術を唱え始める。すると槍の先端に氷の魔力が纏わり、先端が青く輝きだす。

 「これで奴の弱点を突くことが出来そうだっ!王宮魔導士たちよ、俺の身に何かあったときは援護を頼むっ!

氷の魔力が宿った槍を構え、一気に身動きが取れない三角獣の頭部に氷の一突きを放つ。

「喰らえっ!!光氷槍っ!

ファルスの持つ光の力と、槍に付加された氷の力を先端に集中させ、三角獣の頭部に槍を突き刺した。槍が突き刺さった箇所から、三角獣の体が徐々に凍り付いていく。

 「グルアァッ!!グルア……!!

その咆哮を最後に、三角獣の体は完全に凍りついた。ファルスは三角獣の頭部に突き刺さった槍に力を送り込み、一気に凍りついた三角獣を砕く態勢に入る。

「うおおおおおぉっ!!

大きな叫び声と共に、凍りついた三角獣に力のエネルギーが注がれていく。しばらく力のエネルギーを送り込んだ後、ファルスは槍を引き抜き、王宮魔導士たちの下へと向かう。

 「王宮魔導士たちよ、離れてくれっ!

ファルスは王宮魔導士たちを避難させた後、槍を地面に突き刺し、念を込めはじめる。すると三角獣の体に送り込まれた力のエネルギーが暴走し、氷漬けとなった三角獣の体は粉々に砕け散った。

「これで討伐完了だ。王宮に戻るとしよう…。」

三角獣の討伐を終えてファルスが王宮に戻ろうとしたその時、背後から何者かの攻撃を受けた。蹲るファルスの目の前に、メディスの側近であるヘモアが目に映る。

「く…くそっ!!体の力が抜けていく……。」

背後から攻撃を受けたファルスは、だんだん体の中から力が抜けていくのを感じる。どうやらヘモアの武器には、神経を麻痺させる毒が塗られていたのだ。

 「おのれ……!私の計画を邪魔した貴様だけは許さん!地上界での失態が知れたらメディス様は確実に私を見限るだろうな……。」

体が麻痺して動けないファルスに、ヘモアが近づいてくる。ファルスの声を聞いた王宮魔導士たちは、ヘモアを取り囲む。

「よくもファルス様をっ!

「魔界の者よ、ここはあなたの来る場所ではありません…。帰りなさいっ!

王宮魔導士たちは一斉に魔力を集め、ヘモアに放つ。しかしヘモアは魔導士たちの術を受けたのにもかかわらず平気な顔をしている。

「お前らの攻撃など…痛くもかゆくも無いわっ!これでも喰らって地獄に落ちやがれっ!メガ・エクスプロード!!

ヘモアの周りに、炎の粉塵が舞い上がり、王宮魔導士たちを包み込む。ヘモアが指を鳴らした瞬間、巨大な爆発が巻き起こり、王宮魔導士たちは大きく吹き飛ばされた。

「きゃあっ!!

王宮魔導士たちが、次々と爆風によって吹き飛ばされる。ファルスは槍を構えて立ち上がろうとするが、神経の麻痺により体の自由がきかず、立ち上がれなかった。

 「うっ…こんなところで……終わるものかっ!地上界を…お前の自由にはさせない!!

抵抗することも出来ないファルスにヘモアが近づき、嘲笑する。

「動けない貴様に…何が出来るというのだっ!!お前を攻撃した武器には、神経を麻痺させる毒が込められた短剣だ。刃に塗られた毒は、傷口から侵入し体の自由を奪う。最後には心臓の筋肉が麻痺し、死に至る猛毒だ。王宮にいる兵士たちには悪いが、貴様はここで死んでもらおう…。ハハハハハッ!!

ファルスを嘲笑うヘモアは、武器をファルスの首に近づけ、切り裂こうとする。その瞬間、背後からエネルギー弾を受け、吹き飛ばされる。

 「ぐおおおっ!

吹き飛ばされたヘモアの眼に、獣人の姿が目に映る。ファルスはその姿を見た瞬間、何かを思い出したのか、そう問いかける。

「お…お前はもしかして、ボルガなのかっ!?

その言葉に、ヘモアに攻撃を仕掛けた獣人が振り向き、そう言う。

「ファルス…久しぶりだな。ボルディアポリスの皇帝のアルメリアと共に、このレミアポリスへとやってきた。ファルス、あいつは俺に任せろ!

ボルガと一緒に王宮に来たアルメリアがファルスを安全な場所へと移動させると、王宮魔導士たちに手当てをするように命じた後、再び戦いの場へと戻ってきた。

「ボルガ…ファルスはあなたの仲間ですね。今王宮魔導士たちが治療にあたっています。幸い毒は心臓まで到達しておらず、命に別状はありません。時間が経てば戦いに戻ってこれるでしょう。今は私たちでファルスが戦えるようになるまで時間を稼ぎます!!

アルメリアは杖を手に取り、戦いの準備に入る。

 「援軍が来たか……。まぁよい、まずはお前らから始末してやるとしよう!!

戦闘態勢に入ったボルガとアルメリアは、ヘモアに立ち向かっていく。ボルガは気力を集め、再びヘモアにエネルギー弾を放つ態勢に入る。

「アルメリア様、俺が奴に攻撃するからできるだけ補助をお願い!

「わかりました!私が補助呪文を唱えるので、あなたは攻撃に専念してくださいっ!

アルメリアが補助呪文を唱え、ボルガの力と守備力を強化させる。ボルガは精神を集中させ、手のひらをヘモアの方へと向ける。

 「喰らえっ!!轟王弾!

ボルガの手のひらから、気力のエネルギーが放たれ、ヘモアに襲い掛かる。しかしヘモアはエネルギー弾を両手で受けとめ、必死に防御する。

「こんな攻撃…はじき返してくれるわっ!!

ボルガのエネルギー弾を、ヘモアは両手に力を込め、はじき返そうとする。アルメリアが杖に魔力を込め、ヘモアに魔弾を放つ。

「そうはさせませんわよっ!喰らいなさいっ!!

杖から放たれた魔弾は、ヘモアの両腕に命中する。両手にダメージを受けたヘモアは、ボルガのエネルギー弾をまともに受け、その場に倒れたが、再び立ち上がる。

 「この程度で…終わると思うかあぁっ!!

再び立ち上がってくるヘモアに、ボルガはこう言葉を漏らす。

「しぶとい奴だな…。俺の最大級の気弾を受けてなお立ち上がってくるとはな…。」

怒りの眼差しで、ヘモアはボルガとアルメリアを見つめる。ボルガは再び気力を練り合わせ、再びエネルギー弾を放つ態勢に入る。

「アルメリア様っ!最大級の攻撃呪文を奴にぶつけてくれ!ここで一気に奴を畳み掛けるぞっ!!

アルメリアはヘモアに最大級の術を放つべく、魔力を最大限まで高める。

「最大級の術を唱えるためには、精神を集中する必要があります。奴から攻撃を受けてしまえばシンクロが乱れます。私が詠唱に専念できるよう戦ってくださいっ!

詠唱に専念できるよう、ボルガはヘモアに放つために練り合わせた気力を解き放つ。するとアルメリアの周囲にボルガの気力でできたバリアが張られた。

「この力は気力の結界『オーラバリア』だ。アルメリア様、しばらくはこのオーラバリアで奴からの攻撃を防げますので、詠唱に専念してください。」

ボルガはそう言うと、ヘモアに立ち向かっていく。オーラバリアによって守られているアルメリアは、呪文の詠唱を続けていた。

 「俺たちのリーダーに手ぇ出したんだ…。きっちりとケリつけてもらうぜっ!!

怒りの拳が、ヘモアを捉える。ヘモアは麻痺毒が塗られた短剣を握り締め、ボルガに一突きを放つが、素早いフットワークにより、ことごとくかわされてしまう。

「この獣人め…ちょこまかと動きよって!ならこれならどうだっ!

ボルガの素早さに翻弄されるヘモアは、短剣を手に持ち、力を込めてボルガに投げつける。しかしボルガは気力のオーラを纏わせ、飛んでくる短剣の勢いを弱める。

「今度は俺の番だ…。こいつを返してやるぜッ!!

地面に落ちた短剣を手に取り、ボルガはヘモアめがけて思い切り短剣を投げつける。ボルガの力が込められた短剣は、ヘモアの頑強な鎧を貫き、その身に突き刺さる。

 「ぐおおおおっ!!この野郎…何をしやがるんだっ!!

麻痺毒が塗られたナイフが突き刺さり、その場に倒れたヘモアは身動きがとれずもがいていた。身動きの取れないヘモアに、詠唱を終えたアルメリアの最大術が襲い掛かる。

「悪しき者よ…聖なる一撃で土に還らんっ!ホーリー・ボルテックス!!

アルメリアが手のひらを天に挙げた瞬間、聖なる光が白き雷となってヘモアを貫く。白き雷は激しさを増し、麻痺毒によって身動きのとれないヘモアに降りかかる。

「がああああああぁっ!!

荒れ狂う白き雷に体を貫かれたヘモアは、煙を上げながら倒れる。ファルスが戦いの場に戻ってきた時には、すでに戦いは終わっていた。

「ボルガよ、俺も助太刀する…ってもう終わっているな…。」

「戦いは終わったぜ、ファルス。奴はアルメリア様の最大級の術で死んじまったぜ。あれだけ雷に打たれりゃ死んだも同然だな…。ファルス、お前は王宮に戻るんだろ、だったら俺も連れてってくれよ。」

 戦いを終えた三人は、ヘモアを倒したことをアメリアに伝えるべく王宮へと向かおうとしたそのとき、雷を受けて倒れていたヘモアが立ちあがり、彼らにそう言う。

「貴様ら…このままで終わると思ってはいないだろうな……。ここで死んでしまってはメディス様に申し訳が立たぬ…。貴様らだけは生かしては帰さんっ!死ねぃ!!

その言葉の後、ヘモアの体が光りだし、巨大な魔物の姿に変貌し始める。ただならぬ雰囲気を察知したファルスたちは、再び武器を構える。

 「来るぞっ!

ファルスが戦闘態勢に入った瞬間、ヘモアは巨大な魔物の姿と化した。ファルスたちはこの強大な敵を打ち倒し、無事に王宮に戻ることは出来るのか!?

 

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