蘇生の章第四十二話 いざ出撃!!

 

 ルーズ・ケープへの通行手段がすべて封鎖され、フォル・エクリスの駅から運行しているルーズ・ケープ行きの魔列車に乗ることが出来なかったクリスたちは、仕方なく線路を辿ってルーズ・ケープへと向かうことにした。トンネルを抜け、ジャド・エスペラに到着したクリスたちは、情報収集の為に酒場へと向かった。酒場のマスターから、メディスに不満を持つ者たちが集まって結成されたレジスタンスの住処があることを知ったクリスたちは、ジャド・エスペラから少し進んだ先にあるトンネルに向かった。レジスタンスの集団がクリスたちを取り囲む場面もあったが、リリシアがレジスタンスのリーダーが同じ魔導学校出身だということを話してくれたおかげで、レジスタンスたちはクリスたちをメディスの手下ではないことを確信したようだ。クリスたちとレジスタンスたちは、メディスを倒すべく、共闘を誓うのであった……。

 

 クリスたちはルーズ・ケープへと向かう作戦を練るべく、レジスタンスと共に話し合っていた。レジスタンスの中には爆発物等を取り扱う者や、闘いで負傷したレジスタンスを癒すための薬などを調合する者など、幅広い分野に精通する人々がそこにいた。

「先ほどアジトを出た偵察班を乗せた大怪鳥が戻ってきたようだ。聞いた話だが、ルーズ・ケープの周辺にはメディスの魔界重兵たちが警備していたようだ。迂闊にその軍勢の中に入れば命の保障は無い…。心配するな、私たちには突入するための物を用意しておいた…。」

クリスたちにそう告げた後、ディンゴはクリスたちを連れ、トンネルの奥へと案内する。すると目の前に大きな魔列車のような物がそこにあった。

 「こ…これはっ!?もしかして…魔列車!?

トンネルの奥に、大きな魔列車が停車していた。

「見てくれ…こいつは旧式の魔列車だ。機械に詳しいレジスタンスの奴らが修理してくれたおかげで、線路の上ならず陸上でも移動可能だ。車輪を改良したからな……。」

ディンゴがそう言った後、メンテナンスを終えたレジスタンスの隊員が魔列車から降りてきた。

「魔導エンジン・魔導砲設置完了しました。これで対魔物の準備が完了しました。ディンゴ隊長…試運転のほうはどういたしますか…?

メンテナンスを終えた隊員の言葉を聞いたディンゴは、魔列車のほうを向き、そう言う。

 「メンテナンスご苦労であった……これでルーズ・ケープへと向かう準備はOKだな。みんな、そろそろ試運転を開始するんだが、一緒に来るかい…?

ディンゴがクリスたちにそう呼びかけると、魔列車のドアを開け、中へと入る。クリスたちはディンゴの後を追うように、魔列車の中へと入る。

「コントロールルームへと向かおう。試運転の結果次第では準備が整い次第、ルーズ・ケープへと向かうぞ!!

クリスたちはディンゴに連れられ、魔列車のコントロールルームへとやってきた。ディンゴは発進レバーに手を掛け、クリスたちにそう言う。

 「この部屋が魔列車のコントロールルームだ。今から魔列車の試運転を開始する。みんなしっかり掴まっていろよ…。」

ディンゴが発進レバーを引くと、魔列車が轟音と共に動き始める。魔列車が動き出した瞬間、クリスたちは大きな揺れに襲われた。

「す…すごい揺れでしたね。たしかに掴まっていないと転んでしまいそうだわ…。」

大きな揺れが起きた瞬間、クリスたちは柱につかまっていたおかげで、なんとか耐えることが出来た。魔列車の試運転を終えたディンゴは、リリシアを呼び出す。

 「リリシア、君にも魔列車の試運転をさせてあげよう。発進の方法は私がいろいろと教えてやるから安心したまえ…。さぁレバーを握りたまえ…。」

ディンゴに発進の仕方を教えてもらい、リリシアは魔列車のレバーを引き、魔列車をエンジンを稼動させる。ディンゴとクリスたちは、心配そうな目でリリシアを見守る。

「私は本当に心配だ……。リリシアに魔列車の運転を任せていいのだろうか…。」

レバーを引いたあとのリリシアの動向が気になるのか、ディンゴは不安そうな表情であった。ディンゴの声を聞いていたリリシアが、ディンゴの方に振り向き、そう言う。

 「何よその暗い表情は……。私はちゃんとできるんだから、心配しないでよね。」

自信満々のリリシアがそう言った後、アクセルに足を掛ける。すると魔列車がゆっくりと前進の態勢に入り、前へと進み始める。

「はぁ…。思ったより上手だな。リリシアよ、ブレーキに足を掛けて停止するんだ…。」

魔列車を運転するリリシアに、ディンゴは停止の仕方を教える。リリシアは落ち着いてその言葉のとおりブレーキを足を掛け、魔列車を停止させる。

 「はぁ…一時はどうなるかと思ったわ。とりあえず試運転は終わりのようね。早くルーズ・ケープへと向かいましょう!!

リリシアの行動に一同はハラハラさせられたものの、何のハプニングも無く魔列車の試運転が終わった。クリスたちがホッと肩を撫で下ろす中、カレニアがディンゴにそう言う。

「はやる気持ちは分かるが、今日はもう夜だ。みんな、アジトに戻るぞ……。」

魔列車の試運転を終えたクリスたちは、レジスタンスのアジトへと戻っていった。

 

 アジトに戻ったクリスたちは、ひと時の休息をとっていた。

「ルーズ・ケープに着いたら、みんなで笑い会える時間がなくなるから何故かさびしくなるね…。しかしそんなことは言っていられないわ。メディスを倒すまでは地上界には帰れないからね…。」

クリスが仲間たちにそう言うと、リリシアが答える。

 「心配しないでクリス…。みんなで力を合わせれば、きっとメディスにだって勝てるわ。だから、今は進むしか無いわね…。」

クリスとリリシアが話し合っている中、ディンゴがクリスたちの前に現れた。

「ルーズ・ケープに行く前に、君たちの装備を整えなければならん。一緒に武器防具がたくさんあるの倉庫に来てくれるかね…。」

ディンゴの言葉に、クリスたちは首を縦に振り、了承のサインを送る。

「確かに今の装備では危なそうだわ。みんな、倉庫へと向かいましょう。」

クリスたちは来るべきルーズ・ケープ突入の為の装備を整えるため、ディンゴと共に倉庫へと向かった。全員が倉庫に到着すると、ディンゴが倉庫の鍵を開け、中に入る。

 「ここが武器や防具などが置いてある倉庫だ。いろいろの装備を取り揃えている。装備品について困ったことがあれば、俺に聞いてくれ…。」

ディンゴがそう言った瞬間、クリスがディンゴにそう言う。

「私の鎧のことなんですが…女騎士の鎧より強い鎧はここにありませんか?

クリスはディンゴに今身に着けている鎧より強い鎧があるかどうかを尋ね始めた。するとその話を聞いていたディンゴが、クリスにこう答える。l

「確かにこの鎧では魔界兵の攻撃に耐えられないな…。よくこんな鎧で数々の戦いを勝ち抜いてきたな…。よしわかった!女性用の鎧を持ってくるから待っててくれ…。」

ディンゴはそう言うと、女騎士の鎧よりも耐久力のある鎧を探しに行った。しばらくして、ディンゴが鎧を手に、クリスの元へと戻ってきた。

 「ほらよっ、今の奴よりも強い鎧を持ってきたぜっ!!こいつは聖鎧ノヴァ・アステラだ。こいつは光の力を持つ者にしか装備できないんで、俺たちレジスタンスの連中には無用の長物だから、これをお前に譲ろう。この聖なる鎧があれば魔界兵の攻撃に十分耐えられそうだぜっ!

ディンゴから新しい鎧を手渡されたクリスは、早速新しい鎧に着替え始めた。クリスが鎧を着ようとした瞬間、聖なる光が放たれ、クリスを包み込む。

「なっ…何が起こっているの…。鎧から光が……!?

突然の出来事に驚くクリスに、

「おおっ!!聖鎧ノヴァ・アステラが光を放っているとは……。どうやらお前を持ち主に選んだみたいだな。魔界学校で聞いた噂では、『魔力ある装備は、持ち主を選ぶ…』って聞かされたが、まさか本当だったとはな…。」

聖鎧ノヴァ・アステラから放たれる光に包まれるクリスを見たディンゴは、その光景に唖然となっていた。クリスは聖鎧ノヴァ・アステラを身に着けると、ぴったりと体にフィットした。どうやらクリスを持ち主と認めたようだ。

 「聖なる力を使えるお前になら、この聖なる鎧を着こなせるようだな。どうだ、着心地はいいか?

新しい装備を身につけたクリスはとても着心地がよかったのか、笑顔の表情でディンゴに感謝の眼差しを送る。

「ありがとうございます。ディンゴさん、仲間たちの装備もお願いします……。」

クリスのその言葉に、ディンゴは苦笑いを浮かべながら答える。

 「お前の仲間なら、もう新しい装備を探して身に着けたようだ。もう寝るためにアジトへと戻ったようだ。さぁ、明日に備えて今日はもう寝るぞ……。」

来たるべきルーズ・ケープへの突入に向けて、クリスたちは仲間たちのいる部屋へと向かい寝る準備を始める。寝る準備を済ませ眠ろうとするクリスに、カレニアが話しかけてきた。

 「ねぇクリス…あなたはどんな装備を身に着けたのかしら…?少し教えてくれないかな。私は炎鎧フレイ・デル・ソル、ディオンは竜鎧ドラグレイダス、フィリス様は光鎧アスタミニオンをそれぞれ身に着けたわ。」

カレニアの言葉を聞いたクリスは、レジスタンスの装備倉庫で手に入れた聖鎧ノヴァ・アステラをカレニアに見せる。その鎧の聖なる煌きを見たカレニアは、驚きを隠せなかった。

「私はこの聖鎧ノヴァ・アステラを貰ったわ。身に付けてみたところ、私の体にぴったりだったわ。カレニアの身に着けている炎鎧フレイ・デル・ソルも素敵ね。」

クリスのほめ言葉に、カレニアは少し赤面する。

 「へへっ……クリスにそう言われるとなんだか照れるじゃないの…。じゃあ今日はもう寝ちゃおうか。他の人たちはもう寝ているからね…。」

二人の話が終わり、クリスとカレニアはベッドに寝転がり、眠りについた。

 

 そして夜が過ぎ、朝が来た。クリスたちは旅の準備と朝食を済ませ、魔列車の前にやってきた。ディンゴはレジスタンスたちを引き連れ、クリスたちの前に現れる。

「皆の者、よく聞けっ!これよりルーズ・ケープへの突入作戦を実行する!

精悍な表情のディンゴの言葉を聞いたレジスタンスの隊員たちは、拳を天に掲げ、雄雄しき声で叫ぶ。

 「うおおおおおおおおぉっ!!

レジスタンスたちの雄々しき叫びに、クリスたちは威圧感のあまり唖然となる。ディンゴはレジスタンスたちを魔列車の中に入れると、クリスたちを魔列車の中へと案内する。

 「さぁ乗りたまえ…。新たなる装備を得た君たちにならメディスを討つことが出来そうだ…。何かあったら援護を頼むぞ!!

ディンゴの言葉を聞いたクリスは、首を縦に振りながらこう答える。

「わかりました…。私たちに出来ることがあれば、喜んで協力いたします。私たちが魔界に来た理由は、メディスを討つためです!!

クリスがそう言った後、ガルフィスが前に出てディンゴにそう言う。

 「ディンゴ殿、少し驚くかもしれんが聞いてくれないか…。私は元々はメディスの下で魔皇帝として働いていたのだが、奴がリリシア討伐を決めた頃から嫌気が差し、メディスの下を離れ、地上界に放たれたリリシアの首を狙う者を片っ端から倒すことを決意したのだ…。今では、リリシアとクリスたちの味方だけどな。」

ガルフィスの話を聞いたディンゴは、な表情でこう答える。

「ガルフィス様、かつてメディスの下で仕えていたあなたがいれば、敵の情報を知ることが出来そうだ!!ぜひとも私と手を組んでくれぬかっ!!

ディンゴは目を煌かせながら、ガルフィスに手を差し伸べた。するとガルフィスはディンゴを敵ではないことを確信し、ディンゴの手を握り、堅い握手を交わす。

 「ディンゴ殿よ、喜んで手を組もう。ディンゴ殿、ルーズ・ケープへと向かおうではないかっ!

二人が堅い握手を交わした後、ディンゴは魔列車のコントロールルームへと急ぎ、魔列車を走らせる準備に取り掛かった。メディスを倒すべくクリスたちはレジスタンスと共に、メディスの待つルーズ・ケープへ向けて魔列車は走らせるのであった……。

 

 

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