蘇生の章第四十一話 それぞれの攻防
クリスたちは龍の山の風穴にある魔界への扉を開け、魔界へとやってきた。その道中でフォル・エクリスの町にルーズ・ケープ行きの魔列車があるということをガルフィスから聞いたクリスたちは、早速フォル・エクリスの町の中にある駅へと行き、ルーズ・ケープ行きの魔列車に乗るべく切符を買うことにした。しかし、魔界王であるメディスがルーズ・ケープへの移動手段を完全封鎖したせいで、ルーズ・ケープ行きの魔列車に乗る事ができなかった。一方ルーズ・ケープの王宮では、地上界を制圧するための魔物が生み出されているということを、クリスたちはまだ知らないのであった……。
ルーズ・ケープ行きの切符を買いに行っていたカレニアが、がっかりした表情でクリスたちの待つ駅前に戻ってきた。カレニアはがっかりした様子で、クリスたちにそう言う。
「駅員の話によると、メディスがルーズ・ケープへの移動手段を完全封鎖したせいで、魔列車が運休で、運行再開の見込みはないとか言っていたわ…。ああ!!一体どうすればよいのかしらっ!!」
ルーズ・ケープへと行く手段を失い、カレニアが頭を抱えるばかりであった。カレニアの言葉を聞いていたガルフィスが、なにかを掴んだのか、クリスたちにそう言う。
「みんな聞いてくれ…。魔列車が運休なら、線路を歩いていけば、ルーズ・ケープに行けなくても目的地のその近くの町まで行くことが可能だ。しかし運休でもいつ列車が走ってくるかはわからない。少々危険が伴うが、それでもよいかな…?」
その言葉に、クリスたちは悩んだ末、ガルフィスの作戦に賛成することになった。
「確かに線路を歩けば、いずれはルーズ・ケープへと行けるわね。とりあえず今日は休みましょう。」
クリスたちは一日の疲れを癒すため、フォル・エクリスにある宿で休むするのであった。
一方レミアポリスにの一角にある見晴らしの塔では、兵士の一人が上空の身回りをしていた。へいしの目に、大きな魔物の影が映る。
「ま…魔物だっ!!こっちに向かってくるぞ!そのことをアメリア様に連絡しなければ!!」
兵士の一人が見晴らしの塔を駆け下り、アメリアの待つ皇帝の間へと走っていった。しばらくして、アメリアの下に息を切らした兵士が入ってきた。
「はぁはぁ…アメリア様!!上空の見回り中に大きな魔物の影を発見いたしました。奴はこのレミアポリスへと向かってきます!!」
見回りをしていた兵士の言葉を聞いたアメリアは、。
「兵士たちに迎撃準備をさせるのだ!!準備はもうすでにしておる…。この王宮の櫓にバリスタと大砲を設置してあるから、それを使って魔物を倒すのだ!!」
アメリアの言葉を聞いた兵士は、大慌てで兵士の詰め所へと向かい、他の兵士たちに魔物がこちらに向かってくることを伝えた。そのことを聞いた兵士たちのリーダーである光迅将軍ファルスは、兵士たちに迎撃準備に取り掛かるように命じた。
「皆の者よ!!魔物の迎撃に向かうぞ。急いで配置につけ!!」
リーダーのファルスの掛け声で、兵士たちは一斉に迎撃準備に入る。それぞれバリスタ班、大砲班に別れ、レミアポリスを襲撃しようとする魔物を迎え撃つ態勢に入る。
「グルオオオオオォッ!!」
けたたましいまでの咆哮と共に、人間界を制圧するためにメディスが放った魔導獣ガルデ・アルカディスがレミアポリスの王宮の前に現れた。ファルスは兵士たちに命令を送り、アルカディス迎え撃つ。
「バリスタ班よ、バリスタを放て!!」
ファルスの命令で、バリスタから弾が放たれた。バリスタから放たれた弾が、アルカディスに命中したものの、たいしたダメージは与えられなかった。
「バリスタ一発程度では歯が立たん!!大砲を放てっ!」
ファルスが大砲班にそう言うと、砲弾を大砲の中に入れると、アルカディスに狙いを定める。
「この一撃で…決めてやるぜ!」
大砲班の兵士が導火線に火をつけた瞬間、爆発と共に大砲から砲弾が放たれた。その砲弾はアルカディスの頭部に命中し、大きなダメージを与える。
「今の一撃で奴は怯んだ!!バリスタ班よ、怯んでいる隙を狙って奴の目を狙えっ!!」
ファルスの言葉を聞いたバリスタ班は、弾を補填しアルカディスの目に狙いを定める。全神経を集中させ、感覚を研ぎ澄ました狙撃手の一撃が、アルカディスの右目を捉える。
「攻城戦では失敗は許されないな。奴の目を狙うなら……今しか無いっ!」
狙撃手の言葉と共に、バリスタから弾が放たれた。放たれた弾はアルカディスの右目めがけて飛んでいき、アルカディスの右目を貫いた。
「ギシャアアアアアアアァッ!!!」
右目を潰されたアルカディスは、痛みのあまり暴れだした。怒り狂ったアルカディスは、王宮に攻撃を仕掛けてくる。
「奴め、この王宮を潰す気だ!バリスタ班よ、一気に奴に放てっ!!」
怒り狂っているアルカディスを足止めするべく、バリスタ班が一斉にバリスタの弾を放った。その一撃が功を奏したのか、アルカディスはその場に倒れ、うめき声をあげながらもがき苦しむ。
「バリスタ班よ、もういいぞ。後は私が止めを刺す!!」
ファルスは光迅槍を手に、王宮の櫓からアルカディスの背中に飛び移る。アルカディスの背中に着地したファルスは、アルカディスの背中に槍の一撃を放つ。
「これで終わりだ……!!喰らえ、波導究極槍術・覇光滅龍槍!!」
光を纏ったファルスの槍が、アルカディスの心臓を貫く。ファルスの槍術を喰らったアルカディスは、最後の咆哮を最後に、動かなくなった。
「ふぅ…意外と手こずったけど、撃破完了だな。」
アルカディスを葬ったファルスがそう言った瞬間、共に戦った兵士たちがファルスに喝采を送る。
「さすがはファルス将軍!!完璧な戦略だったぜ!!」
兵士たちの喝采に、ファルスは兵士たちにこう言葉を返した。
「私がこの魔物に勝てたのは、ひとえに兵士たちの協力があったからだ。バリスタと大砲のコンビネーションが我々を勝利へと導いてくれたのだ!それでは休息のため詰め所に向かおう……。」
アルカディスを倒すために戦ったファルスと兵士たちは、しばらく兵士たちの詰め所へと向かい、しばしの休息を取るのであった。
一方フォル・エクリスの宿で一晩を過ごしたクリスたちは、駅へと向かい、駅員のいない隙を狙い、線路へと侵入した。
「いいかクリスたちよ、ここからまっすぐ行けば次の駅に到着するはずだ。しかし次の町に向かうためにはトンネルを抜けなければならない。暗闇の中では何も見えないので、君たちの力を貸してはくれないか……。」
ガルフィスはクリスたちにそう言うと、フィリスがガルフィスの前に出た。
「私なら光の術が使えます。役に立てることなら何でもしますわ…。」
フィリスの言葉を聞いたガルフィスは、嬉しそうな表情でこう答える。
「ありがとう…。ではよろしく頼むぞ。さぁ、トンネルを抜けて次の駅へと向かうぞ!!」
クリスたちはルーズ・ケープを目指すべく、次の駅へと続いているトンネルへと足を踏み入れた。しかしトンネルの中は暗く、仲間の姿が見えないほどであった。フィリスはトンネルの中を照らすべく、光の呪文を唱える。
「光の精霊よ、闇を照らせ…。ライトニング・ウイスプ!」
フィリスが詠唱を終えると、光の球体がフィリスの手のひらから現れた。光の球体は意思を持ったかのようにフィリスの手のひらを離れ、仲間たちを明るく照らす。
「おお…明るくなったな。これなら無事に次の町に行けそうだな…。」
暗闇のトンネルの中を照らしながら、クリスたちは次の町へと向かうべく、トンネルの奥へと進んでいく。そして歩き続けること一時間後、ようやくトンネルの出口付近までやってきた。
「ふぅ…、一時間ほどでトンネルの出口付近まできたな。このトンネルの出口からしばらく線
クリスたちはトンネルの出口からしばらく歩き続けると、駅のようなものが見えてきた。どうやらこの駅こそが、ジャド・エスペラの駅であった。
「みんな、あれがジャド・エスペラの駅だ!!早速ルーズ・ケープへと向かう方法を聞きだそう。」
ジャド・エスペラの町に到着したクリスたちは、ルーズ・ケープへと行く方法を探るため、情報収集を開始した。人が多く集まりそうな酒場にやってきたクリスたちは、さっそく行動に入る。
「すみません…。ルーズ・ケープへと行きたいのですが、どうすれば行けるのでしょうか?」
クリスが酒場にいる人たちに問いかけると、酒飲みの男が答える。
「ルーズ・ケープに行きたいのか…。この間メディスの奴がルーズ・ケープへの通行手段を完全封鎖したおかげで、魔列車は運休しちまったんだ。どうしても行きたいのなら、歩いて行くしか方法はないぜ……。」
酒飲みの男の言葉に、酒場のマスターがクリスたちにそう言う。
「確かに、列車が運休した今、歩いてルーズ・ケープに行くしか方法がないな。しかしある情報によれば、メディスのやり方に不満を持つレジスタンスがいるという話だぜ。ここから先にあるトンネルの中に、彼らの住処があるはずだ。」
酒場のマスターの言葉を聞いたクリスは、感謝の表情を浮かべながら答える。
「いい情報をありがとうございます。まずは協力してくれるかどうか交渉する必要があるわね…。」
酒場を出たクリスたちは、早速レジスタンスの住処へと向かった。トンネルに入った瞬間、何者かがクリスたちを取り囲む。
「なになにっ!?一体どうなってるのよっ!!」
突然の事態に困惑するクリスたちに、次々と武器を構えた人々が取り囲んでいく。クリスたちを取り囲んだ後、レジスタンスの一人がそう言う。
「貴様っ!!メディスの手下かっ!?」
その言葉を聞いたクリスは、レジスタンスの人々にメディスの手下ではないと伝えた。しかしレジスタンスは疑り深い表情でクリスたちを見つめてくる。
「この人たちはメディスの手下では無いわ!私たちはメディスを倒すためにここにやってきたんだからっ!!」
疑り深いレジスタンスの態度を見ていたリリシアは、怒りの表情を浮かべながらクリスたちを取り囲んでいるレジスタンスたちにそう言い放つ。するとレジスタンスのリーダーらしき男がレジスタンスたちをかき分け、クリスたちの前に現れた。
「メディスの手下ではないようだが、なにか怪しい匂いがするな…。お前ら、この者たちをアジトの中に入れろっ!!」
レジスタンスのリーダーがそう言った瞬間、リリシアが反論する。
「ちょっと!!私たちをアジトに連れ込んで何するつもり…。変なことしたらただでは済まさないわよ……。」
その言葉を聞いたレジスタンスのリーダーは、リリシアのほうを向く。リリシアの顔を見た途端、レジスタンスのリーダーは何かを思い出したような表情でそう叫ぶ。
「あっ!?もしかしてお前は…リリシアではないか!!」
レジスタンスのリーダーがそう言うと、リリシアはレジスタンスのリーダーのほうを向くと、彼女もまた何かを思い出した表情であった。
「あなた…魔界学校では私に悪さばかりしていたディンゴじゃない!!みんな、紹介するわ。こいつは昔私と同じだったディンゴって言うのよ。彼ならきっと私たちに協力してくれるわ!!」
リリシアの勝手な発言に、ディンゴは赤面する。
「あのなぁ…勝手に事を決めるなよ!まぁいい、お前ら、メディスを倒すとか言っていたな。俺たちはルーズ・ケープへの行き方を知っている。まずは私のアジトに来たまえ……。お前ら、アジトに戻るぞっ!!」
レジスタンスのリーダーであるディンゴがリリシアのことを知っていたおかげで、クリスたちがメディスの手下では無いことが証明された。ルーズ・ケープへと向かうべく、クリスたちはレジスタンスと協力するのであった……。