蘇生の章第三十話 決着!!イクシードとリリシア
エルディーナとの戦いに勝利し、エルフの隠れ里を救ったクリスたちは、隠れ里の宿で一晩をすごしていた。クリスたちの行動を見張るかのように、イクシードは木の上から見ていた。
「奴らのおかげで隠れ里は救われたが……何かしら引っかかる物があるな。そうだ、今ここでリリシアと決着をつけなければならんな…。」
イクシードは木から降り、すぐさまクリスたちのいる宿へと向かう。しかし、クリスたちはすでに宿を出た後であった。
「すまぬ…。この宿に泊まっていた紫の髪をした耳の尖った女はどこだ…?」
「悪いがもうここを出て行った後だ。彼女なら隠れ里の出口へと向かっていったぞ…。」
宿屋の主人の言葉に、イクシードは怒りの表情を浮かべる。
「許せぬ…。この俺と決着を付けたくないのかっ…!!ならばこちらから奇襲攻撃を仕掛けてやる!」
イクシードはリリシアを追うべく、隠れ里の出口へと向かっていった。
一方クリスたちは隠れ里を出るべく、準備を進めていた。
「エーゼルポリスへと向かいましょう。エルーシュの野望を止めて超魔王の復活を食い止めなきゃね。」
クリスは旅立ちの準備を始めている中、リリシアはただならぬ気配を感じていた。
「何か…来そうな予感だわ。みんな気をつけてっ!!」
リリシアは鉄扇を構え、戦闘態勢に入る。すると草むらから大きな剣を構えたイクシードがリリシアに襲い掛かってきた。
「やっと見つけたぞ…リリシアっ!!いまここで決着を付けようではないか!」
突然のイクシードの登場により、クリスたちは混乱していた。ディオンはリリシアにイクシードの要求にこたえるようにそう言う。
「リリシアよ、イクシードの要求に答えてやってはくれぬか。今ここで決着をつけないとまた奴が襲い掛かってくる可能性があるから、ここではっきりさせよう。」
ディオンの言葉に、リリシアはしぶしぶその要求に了承した。
「仕方ないわね…。そんなに私と戦いたいのかしら……。まぁいいでしょう。こちらも本気を出させていただきますわっ!!」
リリシアが鉄扇を構え、イクシードの方へと走っていく。二人の因縁の決着をつける戦いが、たった今始まったのだ。
戦闘態勢に入った二人は、一歩も譲らぬ態勢であった。
緊迫した空気とただならぬ静寂の中、先手を取ったのはイクシードであった。
「リリシアよ、今ここでお前を倒す!!」
イクシードは大剣を振り上げ、大きく空中へと飛び上がった。リリシアの位置を確認すると、大剣を下に突き出し、空中から突き刺そうとする。
「隙が多すぎるわよイクシードっ!!こんな攻撃、猿でも避けられますわよ…。」
リリシアはイクシードに侮蔑の言葉を投げかけながら、イクシードの攻撃をかわした。態勢を立て直したリリシアは一気にイクシードに攻撃を仕掛ける。
「これでも…喰らいなさいっ!!」
――カキィンッ!!二人の武器がぶつかり合った瞬間、一瞬火花が散った。お互い鍔迫り合いの中、大剣を持つイクシードのほうが優勢であった。
「俺の大剣の力を…なめるなっ!」
大きな剣に全体重をかけ、鍔迫り合いの態勢からリリシアを大きく吹き飛ばした。吹き飛ばされたリリシアは咄嗟の判断で背中から翼を生やし、空中で一回転した後態勢を立て直した。
「今のは危なかったわ。大きな剣の一撃を喰らったら命の保障は無いからね…。さて、今度は私の番とでも行こうかしら…。」
リリシアは背中の翼で空中に浮かび、一気にイクシードのほうへと詰め寄る。リリシアは空中からイクシードに背後から奇襲攻撃を仕掛ける。
「ぐわあっ!!」
リリシアの鉄扇の一撃が、イクシードの背中を切り裂く。しかしイクシードはその場に倒れただけで、またすぐに態勢を立て直し、リリシアに向かっていく。
「フハハハハッ!!こんな攻撃で俺を倒せるとでも思っているのか…。だったら俺の最後の一撃でお前を葬ってやる!」
イクシードは大剣を突き刺し、自らの怒気を剣に込め始めた。十分に怒気が剣にたまったことを確認すると、剣を引き抜いた後、リリシアのほうに振り上げた。
「ならば私もこの一撃で終わりにして差し上げますわよ…。」
イクシードの最後の一撃に対抗すべく、リリシアはその手に魔導の力を集め始めた。魔姫は両手をイクシードに突き出し、最後の一撃を放つ態勢に入る。
二人は持てる限りの力を込め、最後の一撃で決着をつけるつもりだ。
両者が最後の一撃を放つ態勢に入ってから一分経った。リリシアが身構えるよりも早くイクシードが最後の一撃を放った。
「こいつで終わらせてやるぜっ!!受けてみろっ!イクシード・ブレイクッ!!」
怒気の十分たまった大剣を振り下ろされた瞬間、闇の衝撃波がリリシアに向けて放たれた。リリシアは魔導の力を最大限まで高め、魔姫の最後の一撃である魔導の術を放った。
「あなたの思い通りには行きませんわよ…。喰らいなさい我が闇の力をっ!ダークネスペイン・フルバーストっ!」
リリシアの手のひらから放たれた強大な闇の波動が、イクシードが放った闇の衝撃波とぶつかり合う。強烈な波動のぶつかり合いの末、リリシアの放った闇の波動がイクシードの衝撃波を打ち破った。
「俺の放った衝撃波が…打ち負けているとは!?しかしこのまま引き下がるわけにはいかっ…!?」
イクシードは再び大きな剣を振り上げ、衝撃波を放とうとした瞬間、リリシアの放った闇の渦波動がイクシードに命中した。
「そ…そんなバカな……。この俺がこんな小娘に負けるとは……。」
こうして両者の長く険しい因縁の戦いは、リリシアの勝利に終わった。
二人の因縁の戦いが終わり、傷ついたイクシードが立ち上がり、リリシアのほうへと歩き出した。リリシアは傷ついたイクシードに手を差し伸べ始める。
「俺の負けだ…。お前の強さをいやと言うほど思い知らされたぜ…。」
「あなたもなかなか強かったわ。油断できない戦いだったわ…。」
二人はお互いの実力を認め、握手を交わした。クリスたちはエルフの隠れ里を後にしようとしたとき、イクシードが旅立つクリスたちを見送る。
「また機械があれば…勝負しろよなっ!」
「今度戦うときは、私ももっともっと強くなってあなたを倒してやるから覚悟しなさいよね…。」
イクシードの言葉を聞いたリリシアは、自信満々な表情でそう言った。リリシアの言葉を聞いたイクシードは、すこし苦笑いを浮かべながら呟く。
「フフフ…。隠れ里が平和になったから、また普通の日々になるか…。」
イクシードがそう呟いた後、イクシードはエルフの隠れ里へと戻っていった。
エルフの隠れ里を後にしたクリスたちは、再びエーゼルポリスへと足取りを進めていた。しばらく歩いていると、なにやら大きな荷物を抱えた行商人らしき人物に出会った。
「あっ!あれは魔界の行商人だわ。とりあえず何か役に立つ物を探しましょう。」
リリシアは魔界の行商人に交渉し、何か役に立つ物がないかと尋ねた。リリシアの言葉を聞いた魔界の行商人は、クリスたちの武器を見て、リリシアの手に何かを手渡した。
「これはフェルタイト※といって、武器を強化できる特殊な金属なんだ。試しにあの女の持っているシルバーシミターにその鉱石を当ててごらん…。」
リリシアは行商人から手渡されたフェルタイトをクリスの武器であるシミターに当て始めた。するとフェルタイトは突然光り輝き、シミターの中に吸い込まれていった。
「えっ!?何が起こっているの!!石を当てた瞬間、武器が光って…。」
シミターから光が消えた瞬間、クリスの持つシルバーシミターは、さらに強力な武器であるメタルシャムシールに変化していた。
「これは…すごい代物ですね。ぜひ私たちに売ってくれませんか?」
武器を強化できるというすばらしい鉱石『フェルタイト』の魅力に惹かれたクリスは、その石を売ってくれるように頼んだ。すると行商人は了承のサインを送った。
「こいつは一つ2500Gだ。フェルスティアにあるグリザ鉱山の炭坑でしか取れない貴重な代物なんでな。多少値が張るけどいいかい…?」
行商人の言葉を聞いたクリスたちは、仲間たちといろいろ話し合った結果、5個買うことにした。クリスは財布の中から12500Gを行商人に手渡し、フェルタイトを5個を受け取り、鞄の中に入れた。
「いい買い物をしたあなたたちに、感謝の気持ちを込めて、これもお渡しいたします。」
行商人は感謝の気持ちとして、なにやら札が貼られた石のような物をクリスに手渡した。するとリリシアがその石を手に取り、見定め始める。
「これは結界石だわ。札をはがせば魔物を寄せ付けない結界を作る道具ね。この石を使えば魔物の襲撃にあわずに休息できるわね。行商人さん、いい物をありがと…あれ?」
リリシアがお礼を言おうとした瞬間、魔界の行商人はすでに居なくなっていた。
武器を強化できる鉱石『フェルタイト』を手に入れたクリスたちは、早速武器を強化することにした。「おおっ!!俺の大きな剣が…光り輝いているっ!?」
ディオンがツヴァイハンダーにフェルタイトを当てた瞬間、ツヴァイハンダーが光り輝き、ツヴァイブレイカーに変化した。
「俺の武器の切れ味にさらに磨きがかかったようだ。フィリス様、あなたの武器はどうなりましたか…?」
ディオンがフィリスのほうを向くと、フィリスは自分の持つクレイモアにフェルタイトを使い、武器の強化を終えた後であった。
「私はクレイモアからダンシングブレイドに変化しましたわ。身軽な私にはかなり使いやすいですわ。それより、カレニアの武器はどう変化したのかしら…?」
カレニアは自分の持っているウェアバスターにフェルタイトを使い、武器の強化を始めた。カレニアの持ウェアバスターが、とてつもない光が溢れた。
「うわっ!!まぶしいわっ!」
あまりの眩しさに、クリスたちは目をつぶっていた。しかしカレニアは目を閉じず、武器をじっと見つめていた。
「この眩しさに耐えれば。私の武器に更なる力が得られるわっ!!」
しばらくして、カレニアの持つウェアバスターから光が消えた。ウェアバスターはフェルタイトの力により、太陽の剣、サンブレードに変化していた。
「すごい…闇を照らせるほどの光を宿した太陽の剣…それがサンブレード!何日も炎の力を溜め込んだ甲斐がありました。あはは…。」
カレニアは密かに、何日も武器に炎の力を込めていたのだ。その結果、フェルタイトと武器に込められた炎のエネルギーが融合し、超新星のような光とともに、サンブレードが誕生したのだ。
「みんな、武器の強化は終わったわね。さぁエーゼルポリスに向かうわよ。新たな武器で強くなった私たちなら、きっとエルーシュを倒せるわ!!」
クリスたちは武器の強化を済ませ、再びエーゼルポリスへと向けて足取りを進めるのであった……。