蘇生の章第十四話 海神の像を取り戻せ!

 

海の裂け目を抜け、海神の神殿のある小さな島へとやってきたクリスたちは、早速神殿の門の前にやってきた。クリスは神殿の中に入るべく、門を開けようとするが、神殿の大きな門は開かなかった。
「私の力ではダメだわ。ディオンさん、手伝ってもらえますか?
クリスはディオンに門を開けるのを手伝うように言うと、ディオンは門に手を当て、力を込めて門を開けようとする。しかし、クリスとディオンが力をあわせても門は開かなかった。
「俺とクリスの力でも無理か…。どうすればこの門は開くんだ?
ディオンが悩んでいる中、フィリスが門の中央にある水晶の球体のようなものを見つけた。
 「あの門の中央にある水晶の球体、何か怪しそうですわね。試しに私があの水晶の球体に光の術を放ってみるから、みんな下がってて…。」
フィリスは門の中央にある水晶の球体に光の術を放った。水晶の球体に向けて放たれた光の術は、乱反射してクリスたちを襲った。
「きゃあっ!フィリス様でもダメだわ。やはりここは私が…。」
カレニアは右手に魔力を込め、門の中央にある水晶の球体に炎の術を当てようとした瞬間、何かに気付いたのかリリシアがカレニアを呼び止めた。
 「待ってカレニア。下手に魔法を放つと跳ね返ってくるから危険よ。だからここは私に任せて!ディテクト・アイズ!
リリシアが術を唱えた瞬間、リリシアの目が赤く怪しく光り、水晶の球体をじっくりと見つめ、門を開ける方法を探り始めた。数分後、しばらく水晶の球体を調べていたリリシアがクリスたちの前に出てそう言う。
「この水晶の球体…水の術に反応するみたいね。とにかくこの球体は『クリスタルオーブ』といって、特定の属性の術を当てると反応するものよ。違う属性だと魔力が反射してしまうので注意が必要よ。フィリス様、クリスタルオーブに水の術を放ってください。」
リリシアがそう言った後、フィリスはクリスタルオーブに向けて水の術を放った。するとクリスタルオーブが砕け散り、海神の神殿の大きな門が大きな音と共に開きはじめた。
 「すごいですわリリシア。あなたの術のおかげで助かったわ。さぁ、神殿の中へと向かいましょう!
フィリスがリリシアにそう言うと、クリスたちは海神の神殿の内部へと向かっていった。

 クリスたちが神殿のある島に来る前、海神の神殿の最奥の海に通じる洞窟で、七大魔王の一人であるリヴェリアスが臣下である水獣に餌を与えていた。リヴェリアスが海の移動に用いる海竜が口から魚を吐き出し、臣下の水獣に与えていた。
「よし!いい子だ。このエルザディア諸島が沈没するのも時間の問題だ。海神の像を奪ったのは私の臣下だからだ。シーモンキーよ、えさの時間だ!
リヴェリアスの言葉を聞いたシーモンキーが、海の底から上がってきた。鰭とみずかきがついた猿のような水獣が、リヴェリアスに餌をくれとおねだりをする。
 「リヴェリアス様、餌くれ!!魚はもう飽きた。他のものをくれ!
シーモンキーはいつも食べている魚に飽きたらしく、他の食べ物を要求する。その言葉を聞いたリヴェリアスは、仕方なく自分の鞄から魔物の肉を取り出し、シーモンキーに与える。
「仕方ない。私の肉を分けてやろう。シーモンキーよ、その代わりに海神の神殿から奪った海神の像を何処に隠したか言ってもらおう。」
リヴェリアスの命を受けたシーモンキーは、海神の像を隠した場所を教える。
「あの像のことか?入り口の近くの柱と柱の間にある穴の迷路の中に隠した。あれは一ヶ月前に俺が台座に祭られていた像を取ったら、なぜか海水が上昇し始めたんだ。危なそうだから早く戻したほうがいいのか!?
シーモンキーが心配そうな表情でそう言うと、リヴェリアスが高笑いを浮かべながら答える。
 「ハハハッ!!この像を戻す必要は無い。この島の人々に戦慄と恐怖を与えるのにちょうどいい。シーモンキーよ、像の見張りをしてくるのだ。もしかすると他の奴らが取ってしまいそうだからな…。」
リヴェリアスの言葉に、シーモンキーはにっこりした表情で了承のサインを送る。
「わかった。必ずや他の奴らにこの像を渡さないぜ。では行ってくるぜ。」
シーモンキーはそう言うと、海神の像がある柱と柱の間にある穴の迷路へと向かっていった。

 クリスたちはリリシアの持つ精霊の鏡に映し出された場所である柱と柱の間にぽっかり空いた穴にやってきた。フィリスは鞄から女王アリから貰い受けたミニマムオーブを取り出し、強く念じる。するとクリスたちの身体がどんどん小さくなっていく。
「小さくなったわ。これであの穴の中に入れそうだね。はやく海神の像を取り返してもとあった場所に置かないと、このエルザディア諸島が沈んじゃうからね。」
クリスたちが穴の中に入ると、そこは洞窟さながらの光景が広がっていた。どうやら鋭い爪を持つ動物が開けたほらあなのようだ。
 「確かに、何者かが海神の神殿に穴を開けたとしかいえないわね。とにかく穴を開けた魔物がこの洞窟に住んでいるかも知れないわ。早く進みましょう。」
フィリスがそう言って先を急ごうとしたとき、ドリルのような角と鋭い爪を持つモグラのような動物が目の前に現れた。ツノモグラはクリスたちを見ても、襲ってくる気配が無かった。どうやら性格は温厚のようだ。温厚な性格のツノモグラに、リリシアがツノモグラに近づき、そう言う。
「襲ってこないわね。このツノモグラがなぜここに住み着いているのか聞いてみるわね。それと私たちの目的も話しておかなくちゃ。」
リリシアはツノモグラを見つめ、ツノモグラがなぜここに住んでいるのかを尋ねた。するとツノモグラはこう答えた。
 「私はこの穴の中に一年ほど住んでいましたが、少し前にこの穴に水が押し寄せてきたせいで、この穴を出たいのだが、むかし神殿にいる人が門にクリスタルオーブの結界を張ったせいで出ように出られない状態なんだ……。仕方が無いから海神の神殿に穴を開けて巣を作っているんだ。俺だけなんだけどね。」
ツノモグラの言葉に、リリシアが首を縦に振り答える
「クリスタルオーブの結界は外したわ。門が開いているからそこから外に出られるわ。」
リリシアの言葉を聞いたツノモグラは、嬉しそうな表情でクリスたちにそう言った。
「ありがとうございます。これで家族のいる巣に帰れます。みなさま、どうもありがとうございます。そうだ、神殿の地下に通じる近道まで送ってやるから、俺の背中に乗りな!!
クリスたちがツノモグラの背中に乗った瞬間、ツノモグラは角を回転させ、地面を掘り進む。鋭い爪で固い地面を掻き分けさらに神殿の奥へと進んでいった。
 「海神の像の反応があったのはここから先の道だ。神殿に続く穴だが、ここから塩のにおいがひどく、ここから先俺は行けないんだ。では俺はこの辺で帰るぜっ!!
クリスたちを地下へと案内したツノモグラは、こう言葉を残して帰っていった。
 「あのモグラのおかげで、ずいぶんと時間が短縮できたわ。この穴を抜けると、神殿の地下に来るわ。」
フィリスがそう言った後、クリスたちは穴を抜け、神殿の地下へとやってきた。しかし普通の人間のサイズでは通れない道であった。しばらくその道を進んでいると、大きな像のようなものがそこにあった。
「あれは海神の像なのでは!さっそくミニマムオーブで縮小させ持って行きましょう!!
フィリスが海神の像に手をかけた瞬間、猿のような水獣がフィリスに襲い掛かってきた!!
 「きゃあっ!!あの魔物は一体!?
シーモンキーに不意打ちを受けたフィリスは、その場に倒れたが、再び立ち上がった。シーモンキーはクリスたちを睨みつけ、そう言う。
「に…人間が何故ここにっ!?この像が取られてしまったらリヴェリアス様がどれだけ怒るか…。こうなったらお前らを倒してやる!
シーモンキーが言ったリヴェリアスという言葉に、リリシアはふと何かを思い出し、答える。
 「あなた……もしかしてリヴェリアスの事を知っているの?知っていることがあれば話してもらえる。」
リリシアの言葉に、シーモンキーはリヴェリアスのことについて話し始めた。
「そうさ。俺はリヴェリアスの臣下だ。リヴェリアスはこの神殿の最奥、海の洞窟にいるぜ。でもこの海神の像がほしければ、力ずくでもこの俺を倒してみなっ!!
シーモンキーは牙を剥き出しにし、怒りを露にしている。クリスたちが戦いの準備をしている中、リリシアがシーモンキーにそう言う。
 「そう…あなたはリヴェリアスの臣下ね。私は魔王を抜け、クリスたちの味方についた。だから、悪い奴は倒さなくちゃいけない。あなたを倒した後、リヴェリアスを倒すわ!
リリシアが怒りの表情でシーモンキーにそう言った後、全員はシーモンキーに立ち向かっていった。

数々の苦難を乗り越え、ついにクリスたちは海神の神殿にたどり着いた。
海神の像を取り返すため、クリスたちはシーモンキーに挑む!!

 

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