蘇生の章第十五話 死闘!ウォーターデーモン!!
ミニマムオーブの力で小さくなったクリスたちは、神殿の地下で海神の像を見つけたが、七大魔王の一人であるリヴェリアスの臣下であるシーモンキーによって守られていた。緊迫した表情の中、クリスたちとシーモンキーとの戦いが始まろうとしていた。
「ウキキッ!!5対1だとこっちが不利だ。こうなったら神殿の奥へと逃げ込んで他の臣下を呼び寄せてやるっ!リヴェリアスの臣下たちはどれも強力だからな…。お前たちが挑んでも勝てないかもなぁっ!」
海神の像を持ったシーモンキーは、クリスたちを挑発する言葉を言い残して神殿の奥へと去って行った。シーモンキーの奇襲攻撃を受けたフィリスは、クリスたちにそう言う。
「シーモンキーを追いかけましょう!この通路は地下の大広間につながっているわ。そこなら普通の体に戻れるわ!」
フィリスがそう言った後、クリスたちは大広間へと来た後、フィリスはすぐさま鞄からミニマムオーブを取り出し、魔力を念じ始める。
「ミニマムオーブよ……私たちを普通の体に戻したまえ!!」
フィリスがそう呟いた瞬間、オーブが光り輝き、クリスたちを照らす。その光を浴びたクリスたちの体が、見る見るうちにもとの身長に戻っていく。
「やっと普通の身長に戻ったわ。それにしてもあの猿……私から言うとなんか気に入らないのよね。とりあえずあの猿を追いましょう。」
カレニアは少々苛々した表情であった。シーモンキーの挑発的な態度が気に入らなかった。彼女いわく自分の手でシーモンキーを倒さなければ怒りが収まらない様子だ。クリスたちは大広間まで来たとき、広間の中心に獣のようなものが目に映った。
「あれは何かしら…?でも何か様子が変よ。まさか…私たちに向かってくる様子だわ!!みんな、ここから離れて!」
リリシアが獣のようなものをずっと見ていると、クリスたちを察知したかのか、こちらへと向かってきた。その獣はリヴェリアスの臣下の水獣であるウォーターウルフであった。クリスたちがその場を離れなければ、その鋭い爪の餌食になっていたであろう。
「グルルルルル……。」
水獣の一種であるウォーターウルフが、殺気立った目でクリスたちを睨む。シーモンキーの件で何かと不機嫌な表情のカレニアが、ウォーターウルフを睨み返す。
「いま私何かと怒ってるの。私たちはあの憎い猿を追っているの。早く道を開けないとあなた死ぬわよ…。」
怒りに燃えるカレニアが前に出た瞬間、ウォーターウルフは牙を剥き出しにしてカレニアに襲い掛かる。しかしカレニアは腕に炎の力を纏い、一気にウォーターウルフを殴りとばした。
「襲い掛かってくるつもり……。だったらこっちもやってやるわよっ!!喰らええええっ!!」
カレニアの怒りの鉄拳を受けたウォーターウルフは、壁に大きく激突し、力尽きた。まだ怒りが収まらないカレニアは、クリスたちにそう言う。
「リリシア…精霊の鏡でシーモンキーの居場所を突き止めて。一刻も早くあいつを倒さなければ怒りが収まらないの…お願い!!」
カレニアがリリシアに精霊の鏡の力でシーモンキーの居場所を突き止めるようにそう言うと、リリシアは精霊の鏡を取り出し、強く念じ始めた。すると精霊の鏡に、神殿を走っているシーモンキーの姿が映し出された。その後ろにはリヴェリアスの臣下が数人いるようだ。
「カレニア…シーモンキーの後ろには数人のリヴェリアスの臣下がいるわ。あなた一人を置いてはいけないわ。私たちと一緒に戦いましょう!」
リリシアの言葉に、カレニアが笑顔で答えた。
「ええ!一人よりも五人のほうが心強いからね!リリシアの意見に賛成ね!みんな、シーモンキーを迎え撃ちますわよ!!」
カレニアがそう言った後、クリスたちは再び大広間へと戻り、シーモンキーを迎え撃つ態勢に入る。このことをきっかけに、リリシアとカレニアとの絆が徐々に深まっていくのを魔姫は感じていた。
クリスたちがシーモンキーを迎え撃つ態勢に入ってから数分後、シーモンキーが数多くの臣下を引き連れてやってきた。さっき倒したウォーターウルフのほか、中級水獣のマーマンソルジャーたちが列をなしていた。
「ウキキキキッ!!お前たちを倒すためにわざわざ戻ってきたぞ!お前たちにこの数多くの臣下を相手に出来るかな?まぁお前らには無理だけどな…おしりペンペーン!!」
シーモンキーは自分のお尻を叩きながら、クリスたちを挑発する。その様子に気に入らないのが一人、シーモンキーの挑発的な態度に対して怒りの炎を燃やしているカレニアであった。怒りの表情を浮かべるカレニアは、両手に炎の魔力を込め、術を放つ態勢に入る。
「あなたたち……よくもこの私を怒らせてくれたわね…シーモンキー!この怒り……あなたの体で思い知らせてあげるわあっ!!」
カレニアが両手を交差させた瞬間、激しい熱風の波が巻き起こり、シーモンキーたちに押し寄せる。ウォーターウルフとマーマンソルジャーの集団は熱風の波に飲まれ息絶えたが、シーモンキーは大きく飛び上がっていたため、無傷であった。
「ウキッ!!お前の技なんて当たらないぜ…。それより、あの女のせいでリヴェリアス様から貰い受けた臣下の魔物が全て倒されてしまった……。リヴェリアスにどう説明すれば分からない気分だ。ええい!!こうなったらこの海神の像の力を使ってでっもお前たちを倒してやる!!」
シーモンキーは海神の像に身体変化の術を唱えて像を小さくした後、口の中へと放り込もうとする。
「あの猿、海神の像を食べる気なの!?口の中に入る前に取り返さなくちゃ!喰らえ、ファイア・ボール!!」
カレニアは手のひらから炎の弾を飛ばし、シーモンキーの手に持っている海神の像を弾いた。だがしかしシーモンキーは尻尾で像を弾き返し、口の中へと放り込んだ。
「しまった!!」
シーモンキーの行動に、クリスたちは唖然となる。海神の像を飲み込んだシーモンキーは徐々にその体を凶暴な魔獣の姿に変貌させていく。
「多くの臣下を倒されてしまったというこの状況を知ったら、俺はリヴェリアス様から殺されてしまうだろう。殺されてしまうぐらいなら、お前らを倒してやる!そうすればリヴェリアス様も許してくれるからなぁっ!!このみなぎる力、最高だっ!!これが海神の像の力…。」
シーモンキーは海神の像の力で、魔力を備えた上級水獣ウォーターデーモンに変貌を遂げた。海の悪魔を思わせるようなその姿は、シーモンキーとは恐ろしいほど違っていた。
「あ…あれがシーモンキーなの!?海神の像の力がこれほど恐ろしい物だったとは……。やはりここは一旦引きましょう!」
クリスはウォーターデーモンの姿を見て、全員に一旦退くように言う。その言葉を聞いたフィリスが、クリスを元気付ける。
「クリス、逃げ出したい気持ちは分かりますが、ここは海神の像を取り返すためにも戦わなければいけません。あれ……カレニアの姿が見当たらないのですが、どこに行ったのかしら?」
フィリスはクリスたちのまわりを見回したが、どこにもカレニアの姿はなかった。もしやと思ったフィリスがウォーターデーモンのほうを振り向くと、そこにはウォーターデーモンとカレニアが戦っている姿が目に映った。
「貴様…カレニアとか言ったな。言っておくが、お前の全てが気に入らない。だから今ここで殺してやるぜ!覚悟しろ、小娘!!」
ウォーターデーモンがカレニアを睨みつけながらそう言うと、カレニアが睨み返す。
「私もあなたの全てが気に入らないわ。今私の怒りは頂点に達しているのよ。今私に何かしたら黒焦げになるわよ……。」
カレニアはウォーターデーモンを小馬鹿にする態度でそう言うと、ウォーターデーモンは魔方陣を呼び出し、水獣を召喚する態勢に入る。
「出でよガルムよっ!!クリスたちを襲うのだっ!ガルムよ、くれぐれもリリシアだけは殺すなよっ!あの女だけは生けどりにするのだっ!」
ウォーターデーモンが召喚した二体のガルムは、クリスたちを襲うべく向かっていく。猛スピードで走ってくるガルムを見たクリスたちは、武器を構えて戦う準備をした後、カレニアにそう言う。
「カレニアっ!!二体のガルムは私たちに任せて!二体のガルムを倒した後、協力するわ!」
クリスの言葉に、カレニアがクリスたちのほうを振り向き、こう答える。
「わかったわ!!ウォーターデーモンのほうは私にお任せを。さてと……怒りの炎の力も溜まってきたから体が熱くなってきたわ。ウォーターデーモン!どっからでもかかって来なさいっ!!」
怒りの表情を浮かべるカレニアの体の周りに、炎のオーラが発せられていた。ウォーターデーモンはカレニアに向けて水の波動を放ったが、炎のオーラの前には無力であった。
「そんな水ごときで私の炎のオーラをかき消せるとでも思ったかしら…。ならばこちらから行かせてもらいますわ!!」
カレニアは空中に飛び上がり、一気にウォーターデーモンの真上まで来たと同時に、一気に術を放つ態勢に入る。
「炎の力で強化された身体能力なら、この程度朝飯前ですわ!愚かな魔物よ、熱に苦しむがよい!!パイロ・ドーム!」
カレニアが上空からウォーターデーモンに手をかざした瞬間、炎のバリアがウォーターデーモンを包み込む。炎のバリアに閉じ込められたウォーターデーモンに、高熱の嵐が襲い掛かる。
「あ…熱いっ!!ここから出せ…ぐおおおっ!!」
ウォーターデーモンあは熱さに悶えている中、カレニアが炎のバリアの前に来てそう言う。
「私の炎のバリアの中、熱そうだねぇ…。ここから出して欲しい?それなら『許してくださいカレニア様』と言ったら出してあげるわ。もし言わない場合は、どうなるかわかってるわね……。」
カレニアの要求に、熱さに悶え苦しむウォーターデーモンが口を開いた。
「ぐおお……許して…ください……カレニアさ…!?」
ウォーターデーモンが最後の一言である『ま』を言おうとしたそのとき、カレニアが指を鳴らした。その瞬間、炎のバリアがすさまじい熱と共に大爆発を起こした。炎のバリアの中にいたウォーターデーモンは爆発の衝撃で砕け散った。
炎のバリアが消え、ウォーターデーモンの残骸と海神の像だけが残った。
「うふふ…。時間切れね♪あなたなんて許す気はもともとなかったの。悪く思わないでね。それより、クリスたちのことが心配だわ。海神の像を持って早く行かないとね♪」
海神の像を手に、カレニアがすがすがしい笑顔でクリスたちの下へとやって来たとき、クリスたちはすでに襲ってきた二体のガルムを倒していた。
「カレニアが戻ってきたわ。私たちもガルムを倒して今から協力しようと思ったのだが、すでに決着がついていたわ。まさかウォーターデーモンを一人で倒しちゃったの…!?」
リリシアがびっくりした表情でカレニアにそう言うと、うれしそうな表情で答える。
「私が勝てた理由は、リリシアとの絆が深まったことで強くなれたような気がした。ねぇリリシア…改めて言うんだけど、これからもよろしくね。」
カレニアの言葉に、リリシアが笑顔で答える。
「ええ。これからもあなたたちの味方よ。それより、あなたの剣、なんだか光ってない?カレニア、剣を出してみて…。」
リリシアの言うとおりに、カレニアは鞘から剣を引き抜こうとした瞬間、目も眩むほどのすさまじい光が溢れた。しばらくすると、その光は消えた。
「魔界で読んだ本で見たけど、強力な魔物が持つエネルギーはたまに武器の力になるって言っていたわ。もしかするとウォーターデーモンを倒したときにエネルギーが剣に吸い込まれたんだわ。そんな話はさておき、クリス、はやくその像を元の場所に戻しに行きましょう!!エルザディア諸島の運命は私たちにかかっているのよ!」
リリシアがそう言った後、クリスたちは台座の間へと向かうのであった。
ウォーターデーモンを倒し、海神の像を取り戻した。
エルザディア諸島の希望は、いままさにクリスたちにかかっている。