蘇生の章第十一話 沈みゆく島々
ソウルキューブの手がかりを求め、エルザディア諸島にやってきたクリスたちは、精霊の鏡が映し出した場所である海神の神殿へと足取りを進めることにした。
「よし・・みんな、海神の神殿へと向かうぞ。」
ディオンの言葉で、全員は港町を後にし、海神の神殿へと向かうことにした。港町の外に出たクリスたちは、驚くべき光景が目の前に広がっていた。
「ええっ・・!?ここは島の外だけど・・ほぼ水に浸かっている。しかも魚泳いでるし。」
海水の量はクリスたちの足元まで迫って来ていた。今の状態では徒歩での移動が可能だが、満ち潮になれば危ない状態だ。
「海に面しているこの諸島は、満ち潮になると危険だわ・・。早いところ海神の神殿に向かい、海神の像を取り戻さないと、この島は沈んでしまいますわ・・。」
フィリスがそう言うと、ディオンが不安の表情で答える。
「しかし・・海神の像がある場所は普通の人間では入れない場所だ・・。このエルザディア諸島のどこかに村があるはずだ。その村に着いたら情報収集だ・・。さぁ、そうと決まれば村を探そう。」
ディオンがそう言った後、クリスたちは村を探すため、行動を開始した。すると突然、獰猛な海洋生物がクリスたちの目の前に現れた。
「ピギャアアッ!!」
イルカのような海洋生物だが、牙といい性格はイルカとは恐ろしいほど違っていた。その海洋生物を見た
フィリスは、クリスたちにそう言う。
「この海洋生物はイルカモドキという魔物です。優しいイルカのふりをして、近づく子供を食べてしまう凶暴な海洋生物よ・・。」
フィイリスの言葉に、クリスたちは戦いの態勢に入り、イルカモドキを迎え撃つ。
「吹き荒れる暗黒の風よ・・あの海洋生物を囲め!!」
リリシアが鉄扇を振り回すと、黒い竜巻がイルカモドキを囲み、宙へと舞い上げる。宙へと舞い上がったイルカモドキは、大きく地面へと叩きつけられた。
「ピギャアアアアアッ!!」
地面へと叩きつけられたイルカモドキは大きなダメージを受け、泣き声を上げながらのた打ち回っていた。
「いいわよリリシア!!後は私に任せて!」
クリスは青銅のシミターを片手に、リリシアの攻撃によりダメージを受けたイルカモドキに攻撃を仕掛ける。
「はあっ!!」
クリスのシミターが、イルカモドキの体を切り裂く。その一撃を受けたイルカモドキは、その場に倒れ動かなくなった。
「やったわ!さぁ、先を進みましょう。これから先また獰猛な海洋生物が現れるか分からないから、用心して進みましょう・・。」
イルカモドキを倒したクリスたちは、先を進んでいると小さな洞窟を発見した。クリスは洞窟のそばにある立て札を読むと、エルザディア諸島の構造が明らかになった。
「立て札を呼んでみたけど・・この島は・・洞窟を通って別の島に行くことができるみたいだわ・・。さっそくこの洞窟に入りましょう。この洞窟を抜けた先に・・きっと何かがあるはずよ・・。」
クリスがそう言うと、全員は洞窟の中へと入っていった。
洞窟の中は暗く、海の下を通っているせいか、じめじめしていた。フィリスの光の術のおかげで、暗闇を明るく照らしながらクリスたちは洞窟の奥へと進んでいく。
「うむ・・。海の下を通る洞窟か。どおりでじめじめしている訳だな。早くこの洞窟を抜けて、村を探さなければな・・。」
ディオンはそう言った後、クリスが歩きながら答える。
「村があるかどうかは分からないけど・・この洞窟を抜けるしか道はないわ。あっ、外へと続く階段があったわ!!」
クリスたちは階段を上がり、洞窟の外に出たときそこには人の姿がそこにあった。
「人がいるわ・・。どうやらここは海水が迫ってきていないようね。とりあえずその人に話をしてみましょう。」
フィリスは砂浜の近くにいる男に話しかけた。
「海神の神殿は何処にあるのですか・・?私たちはあの洞窟から来たの。港町のほうはすでに水が迫っていたわ・・。」
フィリスの言葉に、男は深刻な表情で答えた。
「そうか・・。海神の像が盗まれてからもう一年ぐらい経ったな。今では一ヶ月に水位が上昇し手いる現状だ。この状態が続けばこの平和なクラーダ島が沈んでしまう。そうだ、その先に村があるから、そこで話をしよう。長老ならこの現状をよく知っているはずだ・・。では私についてきてください・・。」
男はそう言うと、クリスたちを村へと案内した。
男の案内で、クラーダ島の北にある村の長老の家へとやってきたクリスたちに、長老が話しかけてきた。
「ほう・・港町のはずれにある洞窟からこの村に来た客人は何年ぶりだろうか・・・。ここはエルザディア諸島の東の島、クラーダ島だ。他の島は海水が迫ってきているが、唯一この島は無事のようだが、港町のほうはどうじゃったか?」
村長がクリスたちにそう言うと、フィリスが前に出て答える。
「私が話しましょう・・。エルザディア諸島の人々は、生きるためにこの島を離れていきました。私たちが乗った船が最後だったようです。もうこの港町には船は来ないみたいですわ・・。そんな堅苦しい話はここまでにして、ここからは私たちがここにきた理由を話しましょう。私たちは大切な人の魂が封じられたソウルキューブを探しにこのエルザディア諸島にやってきました。村長さん・・リリシアの持っている精霊の鏡の力でソウルキューブの場所を映し出して差し上げましょう・・。」
フィリスがリリシアにソウルキューブの場所を探し出すように言うと、リリシアは精霊の鏡を取り出し、強く念じ始めた。
「それでは村長さん・・鏡を見てください。鏡よ・・ソウルキューブの場所を示せ!!」
リリシアがそう言って鏡に魔力を込めると、鏡にはどこかの神殿のような場所が映し出された。鏡を見た村長はびっくりした表情であった。
「おおっ!!ここは海神の神殿ではないか・・。海神の神殿は沈没の危機に面している危険な場所だ。それでも行くのか!?一年前に聞いた話では、海神の像が盗まれたせいで水位が上がっているという話だが、そこの娘さんよ・・海神の像の場所を探し出してくれぬか・・。」
村長はリリシアに海神の像の場所を探し出すようにそう言うと、リリシアは再び鏡に魔力を送ると、鏡に神殿の内部にある人は通れないような小さな穴が見えた。
「たしかに・・海神の神殿に像はあります。ですが・・私たちの大きさでは通れそうに無いわね・・。小さくなる道具さえあれば、中に入って取ってこれるのにね・・。」
リリシアが村長にそう言うと、村長が何か思いついた表情で答える。
「やはりお前たち・・海神の像を取り返してくれるか・・。そうだ、君たちよ、床を見てくれ。そこに小さな穴があるだろう・・。どうすれば入れると思う?」
村長の問いかけに、クリスが不安そうな表情で答える。
「やはり・・小さくなるしかないですね・・。でもどうやって?」
クリスの言葉に、村長が両手をクリスたちにかざし、こう答える。
「その穴に生き物を小さくしたり元に戻したりできる道具が隠されている。私が術を唱えて君たちを小さくすれば、この床の穴に入れるはずだ。では・・準備はいいか?」
村長の言葉に、フィリスが首を縦に振り答える。
「ええ・・。準備はいいですわ。では村長さん、お願いしますわ。」
フィリスが了承のサインを送ると、村長は術を唱えた。
「行くぞ!!身体変化術(トランススペル)!!ミニマム・クラウド!」
術を唱えた瞬間、村長の手から煙が噴き出し、クリスたちを覆いはじめた。煙が消えた瞬間、クリスたちの体が小さくなっていた。
「えええっ!?村長さんが大きくなってる!!」
「この部屋全体が広くなったみたいだわ・・。」
クリスたちの目には、さっきまでフィリスの身長まであった村長が、小さくなった今ではフィリスの何十人分のサイズであった。村長は小さくなったクリスたちを身ながら、そう言った。
「これは私が大きくなったのではない。君たちが小さくなっただけだ。小さくなった今、この床の穴に入れるだろう。さぁ、入ってみろ・・。」
クリスたちは村長の言われるがまま床の穴に入ると、フィリスが村長にこう叫んだ。
「入れましたわ!!では行ってきますわ・・。」
フィリスがそう言った後、全員は床の穴の洞窟を進んでいく。しばらく進んでいると、大きなアリに出あってしまった。
「これは私たちがよく見るごく普通の小さなアリですが、小さくなった今では強敵です。用心して戦うしかありません。」
クリスたちは武器を手にし、一斉にアリに向かっていく。しかし、クリスたちの攻撃はアリには通用しなかった。小さくなった分、敵が大きく見える上に攻撃力も大幅下がっていた。
「だめだわ・・。武器での攻撃は通用しないわ。一体どうすれば・・・」
カレニアが不安そうな表情でクリスたちにそう言うと、リリシアが前に出た。
「武器でダメなら・・魔法で攻撃すればいいじゃない。小さくなった今、武器を使ってもたいしたダメージを与えられないわ。魔法ならきっとあのアリにダメージを与えられるわ!!」
リリシアはクリスたちにそう言うと、リリシアは闇の力を集結させ、術を放つ態勢にはいる。
「闇の炎よ・・敵を焼き尽くしなさいっ!!」
リリシアが闇のエネルギーをアリに向けて放った。魔姫の手から放たれた闇のエネルギーは、アリの体に触れた瞬間炎と化し、アリを焼き尽くす。
「リリシアの言うとおり、小さくなったときは魔法で戦えばいいんだな!!この先役に立ちそうだ・・。ありがとうリリシアよ、お前のおかげで助かった。」
「確かに、私たちが小さくなったら武器の強さは下がるが、魔法の力は下がらないわ・・。リリシアが私たちと一緒についてきてくれて・・本当によかったわ。」
ディオンとフィリスがリリシアにそう言うと、リリシアが嬉しそうな表情で答える。
「そういってくれると嬉しいわ。さぁ、目的の道具を探すわよ・・。精霊の鏡に念じて場所を探してみるわ。みんな、私に集まって・・。」
リリシアは精霊の鏡に魔力を込めると、鏡は目的の道具のある場所を映し出す。大きなアリの後ろに強い魔力が感じられるようだ。
「大きいアリ・・つまり女王アリが守っている道具こそ、村長の言っていた道具なのかもしれないよ。そうと分かれば、先を急ぎましょう。」
クリスがそう言った後、全員は女王アリのいる場所へと向かっていく。しばらく進んでいると、リリシア持つ精霊の鏡が光りだした。
「精霊の鏡が光っている・・女王アリの住処はこの奥よ。道具を手に入れたら急いで村長のところへ戻らなくちゃね。」
リリシアがそう言った後、クリスたちは奥へと進むと、そこには女王アリのいる女王の間であった。クリスは早速女王アリに道具をくれるように交渉を開始した。
「すみません・・ここに生き物を小さくしたり戻したりできる道具があるのですか。もしよければひとつ私たちに渡していただけませんか?」
クリスがそう言うと、女王アリが静かに口を開き、答える。
「・・・ギギッ・・ギギギッ・・!!」
虫の鳴き声のような女王アリの言葉に、クリスは頭を抱えていた。女王アリの言葉を聞いていたリリシアが、全員に女王アリが何を言っているかを話した。
「私にまかせて。私が言っていることを通訳して上げるわ・・。あの女王アリは、『ようこそ、地上の客人よ・・。身体を変する道具は確かに私が持っている。だが、今は大変な状況だ。大きなネズミがどこからか入り込んで、兵隊アリを食っているのだ。そこでだ・・君たちに協力していただきたいのだ。あの大きなネズミは私の後ろにある穴に入っていった。今は兵隊アリが食い止めているが、いつこの部屋に入り込んで売くるか分からない・・。もしお前たちが行って大ネズミを倒してくれるのなら、身体変化の道具を差し上げましょう。』って言っているようね・・。女王アリの後ろにある穴に行って、大ネズミを倒せば、道具がもらえるわ!!さぁ、早く大ネズミがいる穴に向かいましょう。」
リリシアがそう言うと、クリスたちは大ネズミを倒すため、穴の奥へと進んでいくのであった・・。
身体変化の道具を手に入れるため、村長の家の床の穴からアリの巣へやってきた。
大ネズミを倒し、目的の道具を手に入れることができるか!?