蘇生の章第九話 ソウルキューブを求めて・・・
ヴォルカス・トータスを倒し、レミアポリスを守ったクリスたちは、リリシアの回復を待つと共に、ひと時の休息を取っていた。
その頃魔界ルーズ・ケープの王宮では、ヴォルカス・トータスと共に人間界へと放った魔物が全滅したとの報告が魔界王メディスの耳に入る。そのことを知ったメディスは、怒りを露にして魔界の強き者にそう言い放った。
「ええい!役立たたずめ!!ヴォルカス・トータスのみならず他の奴らもやられた!一体これはどういうことなのだ・・。そこで、お前たちにいい情報がある。これよりリリシアに懸けられた賞金を上げることにした。三万DG(デモンゴールド)から二倍の額の6万DGにする。これならお前らも必死になってやってくれるであろう・・。お前たちは強くなるための二日間の猶予を与える。さぁ強き者たちよ、この二日間で力を蓄え、リリシアの首を持ってくるのだ!!」
メディスの言葉に、魔界の強き者たちが武器を片手に叫ぶ。
「賞金が上がるって言うなら、俺たちも強くなって奴の首を狩ってやるぜぇっ!!」
「今すぐにでも地上界に行き、リリシアをぶっ殺して首を持ち帰り、名でも上げるとするかぁ・・。」
魔界の強き者たちがそう言う中、メディスが魔界の強き者たちにこう話した。
「そうあせるなお前たちよ・・。奴が生きている限り、首を狩るチャンスはいくらでもある。二日間後、お前たちの力を見せてもらうぞ・・。」
メディスはそう言った後、宮殿の大広間を後にし、玉座の間へと向かおうとしたその時、目の前に二人の人影が目に映った。
「誰じゃ!!まさかリリシアでなく私の首を狩るものかっ!!」
メディスは双頭の大鎌を手に、その声のほうに振り向く。
「わしじゃ!!デモリックだ・・。フェルスティア七大魔王の一人だ。早くそのおっかない大きな鎌を島ってくれ。わしはメディス様の首を狩ろうとは思ってはいない!!」
その声の正体は、フェルスティア七大魔王の一人であるデモリックであった。彼は魔界のマッドサイエンティストで、魔界の発明家である。彼の能力は人間を魔物や蟲に変えてしまう恐ろしい術を持つ憤怒の魔王と呼ばれている男であった。
「おお・・。デモリックか・・私はてっきり首を狙うものだと勘違いしていたな・・。」
メディスはそう言って双頭の大鎌をしまうと、デモリックの隣にいるかっこいい男の人に話しかけた。
「お前はリヴェリアスではないか・・。今まで何処をほっつき歩いていたのだ・・。」
メディスがリヴェリアスにそう言うと、何食わぬ表情でリヴェリアスが答える。
「すまないメディス様・・・。今まで私は人間として遊びすぎていたようだな。さてと・・この七大魔王の中に裏切り者がいるようなんだけど・・それは誰だい?」
デモリックの隣にいたかっこいい男の名はリヴェリアス。多くの水獣を我が臣下とし、裕福な人間を妬む冷静なる魔王である。リヴェリアスがそう言った後、メディスが答える。
「エルーシュは何処だ・・。奴の消息は分からないままなのだが、知っているものはいるか・・。」
メディスが七大魔王の一人であるエルーシュについて尋ねると、デモリックが答える。
「奴に関しては謎に包まれているが、確か七大魔王の中でも最強の力を持っているということだけを聞いた・・。その後のことは知らない・・。」
デモリックがエルーシュについて話したあと、今度はリヴェリアスがメディスにそう言う。
「私もエルーシュについて何か知っていることがあるので言っておこう。極秘事項なんで・・誰にも言ってはいけませんよ。奴はかつて天界の熾天使であったが、あることをきっかけに堕落してしまったという話です。確か魔界の王との戦いに敗れ、六枚あった羽のうち右側の三枚が折れ、権力と力を奪われたのことです。身も心もボロボロになった彼は、憎しみと悲しさのあまり、魔界王に服従を誓い、魔界王から黒き三枚の翼を得て、堕天使となったのです。落ちぶれて以来、この世界のすべてを憎んでいる性格の荒み切った傲慢なる魔王だ・・。私の知っていることはここまでだ・・。」
リヴェリアスの言葉に、メディスは頭を抱え、その場に蹲る。
「うう・・頭が痛い・・。頭の中に何かが浮かんでくる!!天使見たいな奴と私が戦っている様子が・・。そうだ・・今すべてを思い出したぞ・・エルーシュと戦ったのはこの私だ・・。私がエルーシュを闇へと葬ったのだ・・。」
すべてを思い出したメディスの言葉に、二人が唖然となる。
「何ぃ!!あのエルーシュと戦ったのがメディス様だったとは・・。今すべてが分かりましたぞ。」
リヴェリアスがそう言うと、メディスが二人にそう言う。
「さてと・・一ヶ月前に魔導城の跡地で手に入れたソウルキューブを出してもらおう。」
メディスの言葉で、二人は懐から魔導城の跡地で手に入れたという四角いものを取り出した。そう、それが魔導城の戦いで死んでいったレイオスたち三人の魂が封じられたソウルキューブである。
「あれ・・三つあったという報告がデモリックからあったのだが、三つあるうちのひとつは何処へ行ったのだ・・。」
メディスの言葉に、リヴェリアスが俯きながら答える。
「それが・・三つのうちのひとつは・・突然現れたエルーシュに取られてしまいました。私は、ソウルキューブを手に、魔界へと向かう途中の草原で、偶然彼と出会ったのです。彼は何も言わず、私とデモリックを殴りつけた後、私が持っていた二つのソウルキューブのうちのひとつを奪って逃げていったのだ・・。」
リヴェリアスがそう言った後、デモリックが怒りを露にして答える。
「誠に許しがたい!!ソウルキューブを盗んだあいつだけは許せん!」
怒りを露にする二人を宥めるかのように、二人に問いかける。
「落ち着けお前ら・・今は争っている暇ではない。今は地上界に赴き、ソウルキューブを守るのだ。やがてそのソウルキューブを求めて、五人の勇者がやってくる・・。そいつを倒すのだ。決してソウルキューブを奴らに渡すな!!」
メディスの命令により、二人はソウルキューブを守るため、地上界へと赴いた。リヴェリアスが持っているのは、リュミーネの魂が封印されている水のソウルキューブ・・デモリックが持っている物は、ブレアの魂が封印されている炎のソウルキューブ・・エルーシュがリヴェリアスから強奪したものは、レイオスの魂が封印されている光のソウルキューブ・・現在三つのソウルキューブが魔王の手にあるという状態であった。
二人の魔王が人間界へと向かった後、メディスは思いついた表情でそう呟いた。
「しまった!デモリックとリヴェリアスにリリシアの首を狩って来いというのを忘れていた!!まぁよい、リリシアが人間の仲間なら、いずれはソウルキューブを求めて魔王の元へとやってくるであろう・・。まさに一石二鳥だ・・。もう疲れた・・今日は寝るぞ。」
メディスは自室のベッドに転がり込むと同時に、眠りに着いたのであった・・。
魔界では魔界王が眠りに着いた時、フェルスティアに夜が訪れた。クリスたちは王宮の入浴場で戦いでの汚れを洗い流すと共に、一日の疲れを癒していた。その後、クリスたちは王宮の皇帝の間に集まり、これからの旅の会議をしていた。
「アメリア様・・ヴォルカスの言う話では、リリシアはメディスとか言う奴に賞金を懸けられているだとか首を持ち帰れとか言うんだけど・・。やはり私たちがリリシアを守るために、魔族と戦いの日々だな・・。だが心配は要らない。そんな奴は俺たちが倒してやる!!」
ディオンが心配そうな表情でそう言うと、アメリアが答える。
「そうだな・・これから先、魔族の追撃に晒される彼女を守っていかなければ、彼女は魔族に首を狩られてしまう。それがお前たちに課せられた使命なのだからな・・。」
アメリアがクリスたちにそう話した瞬間、突然黒き影が現れ、クリスたちの目の前に現れた。突然の強襲に全員は武器を構え、攻撃の態勢に入る。
「誰だっ!!」
ディオンが前に出てそう言うと、黒き影は人間の姿になり、こう答える。
「私たちは君たちを倒そうというつもりは無い・・。自己紹介が遅れた。私の名は魔皇帝ガルフィスと申す。君たちに話したいことはふたつ、魔界王から賞金をかけられたリリシアの首を狙うため、魔物がこちらに向かっていると聞いた。後は七大魔王の残りの三体がフェルスティアに侵攻を開始した。奴らはそれぞれ魂石(ソウルキューブ)なるものを持っている。その魂には、魔導城で倒れたレイオスたちの魂が封印されていることを聞いたのだが、何か心当たりはあるかね?」
ガルフィスの言葉に何かを感じたのか、クリスが答える。
「レイオスたちの魂・・・。もしかすると、レイオスさんが生き返る可能性があるのですか!!私はレイオスさんを生き返らせる方法を探すために旅を続けているのです!何か教えていただけますか!?」
クリスがガルフィスにそう言うと、ガルフィスは残念そうな表情で答える。
「悪いが・・ソウルキューブには天界にいるオーディンと言う者が死者の魂を封印する目的で作ったもので、ソウルキューブの魂を開放できるのは、天界にいる創造神だけだ・・。私たち魔族が持っていても、何の役にも立たないのだからな。なんせ魔王は綺麗なものがだいすきだからな・・。悪いがクリス殿よ、私にできることはこれまでだ・・。では私はこれにて失礼する・・。」
ガルフィスはそう言葉を残すと、闇へと消えていった・・。
「会議は終わりだ。明日またこの場所で会おう。お前たちは客人用の部屋で休むがよい。では私も寝るとしよう・・。」
アメリアが眠りに着くため、自室へと向かっていった。クリスたちは客人用の部屋に行き、就寝の準備を済ませ、眠りに着いた・・。
クリスたちが寝静まった頃、再びガルフィスが現れた。ガルフィスは手に鏡のようなものを抱え、眠りに着くリリシアの近くへと来る。
「・・・ううん・・何ぃ・・?」
突然現れた人影に、寝惚けていたリリシアが呟く。
「リリシアよ・・私はこれからリリシアの命を狙う魔物を倒すために行動する。私はメディスにリリシアの首を狩りに行くといってフェルスティアにやってきたのだ・・。それでだ!お前にこれをあずかって・・・おいっ!!リリシア、寝るな!」
ガルフィスがそう言った瞬間、リリシアは再び眠りについていた。ガルフィスはリリシアを起こすと、寝惚けた表情でリリシアが答える。
「何よぉ・・ねむいよぉ・・。ん!?あなたはもしかして・・ガルフィス様・・。」
ガルフィスはリリシアに鏡のようなものを手渡すと、リリシアにそう言う。
「よく聞け!!この鏡は絶対誰にも渡してはいかんぞ・・いいな!こいつは精霊の鏡という秘宝だ。こいつには探している物の場所を映し出して教えてくれるものだ。これを使えばソウルキューブでも探し出せるぞ・・。それをうまく使え!」
ガルフィスがそう言うと、秘宝『精霊の鏡』を抱えながらリリシアが答える。
「ありがとう・・また・・どこかへ行くの・・?」
リリシアの言葉に、ガルフィスが深刻そうな表情で答える。
「ああ・・頼もしい仲間とともに、ソウルキューブを探すのだ・・。リリシアよ・・元気でいろよ・・。」
ガルフィスがそう言うと、夜の闇へと消えていった。ガルフィスの気配が消えたことを確認すると、リリシアは再び眠りに着いた・・。
夜が更け、フェルスティアに朝が訪れた。全員は準備を済ませ、アメリアの待つ皇帝の間へと集まる。全員が来たことを確認すると、アメリアが全員にそう言う。
「お前たちよ・・レイオスたちの魂が封印されたソウルキューブを探すために、ちょうどウォルティアの北の方角にあるエルザディア諸島へと向かえ。ソウルキューブの情報をひとつでも探すのだ!!」
アメリアがそう言うと、リリシアが昨夜ガルフィスからもらった精霊の鏡をアメリアに見せ、こう言う。
「これは・・昨夜ガルフィスからもらった秘宝『精霊の鏡』です。これを使えばソウルキューブのある場所を教えてくれるというすばらしい物よ・・。早速使ってみるわね。」
リリシアは鏡に強く念じ始めた。しかし、鏡には何の反応も無かった。
「中央大陸にはソウルキューブの反応は無いみたいだな・・。もしかするとエルザディア諸島に行って念じてみると、鏡に何らかの反応があるはずだ。さぁ、船着場から今エルザディア諸島へと向かう船が出ておる。早速船着場へと向かおう。私の転移呪文でな。」
アメリアがそう言った後、転移呪文を唱え、一瞬に船着場へとやってきた。船着場へと来たクリスたちは、乗船券を買い、船の甲板に向かい、アメリアを見送る。その瞬間、中央大陸との別れを告げる船長の声が船内にこだました。
「船が出るぞぉ!!」
船長の言葉の後、クリスたちを乗せた船がエルザディア諸島への航路を進む。アメリアはただ手を振るクリスたちを見送る。
「クリスたちよ・・元気でいてくれ。五人がいなくなった今、誰がレミアポリスを守るというのだ・・。」
アメリアがそう呟くと、後ろから誰かがアメリアの肩を叩く。アメリアが振り向くと、そこにはリリシアを見送りに来た臣下たちであった。
「アメリア様・・リリシア様からの命令で、アメリア様をお守りいたします!!家事は初めてだけど、先輩がたからいろいろ教わりながらがんばるぜ。だから・・アメリア様もがんばってくれ・・。」
リリシアの臣下たちがそう言うと、アメリアがこう答える。
「ありがとう・・お前たちがいればレミアポリスを守っていける。さぁてと、お前たちよ、レミアポリスに戻るぞ・・。」
アメリアはリリシアの臣下たちを引き連れ、レミアポリスへと戻るのであった・・。
クリスたちを乗せた船は、エルザディア諸島へと向かっていった。
エルザディア諸島で、彼らを待ち受けるものとは!?