蘇生の章第四話 衝突、そして・・・

 

 魔導城で発見された髪飾りを見て、すべての真実を思い出したリリシアは、彼女が七大魔王だという事実を知ったフィリスと衝突し、彼女は泣きながらレミアポリスの王宮を飛び出してしまった。リリシアとフィリスがいなくなった皇帝の間には、クリスたちとアメリアだけが残った。
 「アメリア様・・私たちも一緒にリリシアさんを探しましょう!
クリスがそう言うと、深刻な表情でアメリアが答える
 「うむ・・クリスの言うとおり、リリシアを探し出さねばならぬ。なら王宮の外に出るのだ。まだこの町の外には出てはおらんはずだ!!
アメリアの言葉で、全員は王宮を離れ、レミアポリスの町へと向かうのであった。

 レミアポリスの王宮から町へとやってきたクリスたちとアメリアは、早速リリシアを探すべく、行動を開始するのであった。
 「ディオンさん、カレニアさん!!お願い、リリシアさんを探し出して!あの娘はレミアポリスの町の中にいるはずよ。私はそっちを探すから、あなたたちはあっちを探して!!
クリスの言葉で、ディオンとカレニアはリリシアを探すべく、それぞれ町の方へと向かっていった。クリスはアメリアは、その場に立ち止まり、クリスにそう言った。
 「クリスよ・・リリシアという娘がなぜリュミーネのことを知っているのか・・。それが私にもよく分からぬが、あの娘にとって何よりも大切な存在なのかも知れぬな・・。」
アメリアがそう言うと、クリスは複雑な表情で答える。
 「リリシアさんはきっと・・リュミーネさんと何か関わりがあったかもしれないの・・。私にはあの娘の抱えている悩みがあるはずよ・・。さぁ、アメリア様・・早くリリシアさんを探しましょう!!
クリスとアメリアはリリシアを追うべく、町の中を探すのであった。

 一方真っ先にリリシアを追っていたフィリスは、彼女を追う内に郊外の山道まで来ていた。そしてついに、崖のほうでリリシアを見つけた。
 「はぁはぁ・・・ここまで来れば誰も追って来ないはずよ・・。私はもう人間に振り回されたりはしないわ・・。私は自由に生きるわ!!
リリシアはそう言って辺りを見回すと、見覚えのある姿が彼女の目に映った。それは紛れもなく皇帝の間でであったフィリスの姿であった。
 「リリシア・・やっと見つけたわよ。さぁ、一緒にレミアポリスに帰りましょう・・。アメリア様も心配してあなたの帰りを待っているのよ・・。」
フィリスがリリシアにレミアポリスに帰るように説得したが、彼女はその言葉に耳を貸さなかった。
 「私は人間じゃないって言ったでしょっ!!私はフェルスティア七大魔王の一人なのよ・・。私はもうレミアポリスには帰らない!!私には私の生き方というものがあるのよ!!
リリシアがそう言うと、再びフィリスがリリシアに説得を始める。
 「私の心が折れぬ限り・・私はあなたに説得し続けるわ。だから・・あなたが心を開いて、レミアポリスに帰ってくれるまで、私はここにいるわ・・。」
フィリスの度重なる説得に、リリシアは半ばうんざりした表情であった。
 「私が魔王だって事が知れたら、クリスや他の仲間たちだって私のことを敵としか見なくなる・・。私はもう一人になるのが怖い・・。だったらあなたを殺して私も死んであげるわっ!!
リリシアは髪飾りを鉄扇に変え、一気にフィリスを攻撃する態勢に入る。
 「あなたは一人じゃない・・。レミアポリスに来るまでに、クリス、ディオン、そしてあなたを治療してくれたカレニアがいるのよ・・。真相を知ったって、あなたのことを敵だとは思わないわ!
フィリスがリリシアにそう言うと、今にもフィリスに襲い掛かろうとしているリリシアが答える。
 「嘘だわ・・。綺麗事ならいくらでも言えるわっ!!私の真相を知った時点で、あの人たちはもう私の敵なのよっ!今レミアポリスに戻っても、あの人たちはもう私の仲間じゃないのよっ!!
リリシアはそう言うと、鉄扇を握り締め一気にフィリスに襲い掛かる。しかし、フィリスはリリシアの攻撃を振り払うと、リリシアの目の前に来て、彼女の頬に平手打ちを放った。
 「あの人たちは・・敵じゃない!!あなたの味方なのよっ!真相を知ったからって、みんながあなたの事を敵だとは思わないわ・・。さぁ、リリシア・・一緒に帰りましょう。」
フィリスの平手打ちを喰らったリリシアが、頬を押さえながら答える
 「私のこと・・本当に仲間だと思ってくれる人がいた・・。もしフィリス様の言っていることが本当なら・・私・・みんなに・・謝りたい!!
リリシアの目から涙が溢れ、彼女はついに泣き出してしまった。フィリスは涙を流すリリシアを抱きしめると、彼女の耳にそう囁いた。
 「泣きたいのなら・・私の胸で泣いてもいいのよ。あなたの涙が枯れるまで・・私がそばにいてあげるわ・・。」
フィリスの言葉を聞いたリリシアは、泣きながらフィリスにそう言う。
 「私・・本当に人間・・なんだよね。本当に思ってくれるなら・・本当のことを話すわ。私は・・リュミーネと初めて出会ったとき、私を捨てた母親に似ていて憎んでいた・・。あの人と戦うたびに・・私が間違っているということを思い出してしまう・・。リュミーネを倒せば・・私はあの苦しみから解放されると思った私は、甘さを捨ててリュミーネに再び戦いを挑んだが、負けてしまった・・。ボロボロになって初めて分からされたわ・・人間の持つ優しい心というものをね・・。あの時私が皇帝の間を飛び出したのも、あなたたちに迷惑をかけたくなかったから・・ごめんね・・ごめんねっ!!
リリシアが涙を流しながらそう言うと、フィリスが答える。
 「リリシア・・あなたが人間から受けた精神的な痛み・・私にも分かるわ。だから今は心を落ち着かせて、私と一緒に帰りましょう・・。」
フィリスがそう言った瞬間、リリシアはすでに泣き疲れて眠っていた・・・。
 「しょうがないわね・・。さぁ、私が背負ってあげるわ・・きゃっ!
フィリスは眠っているリリシアを背負ったそのとき、嫌な音がして、二人は一気に海へと落とされた。

 一方町の中を探すクリスたちと合流したディオンとカレニアは、町中を探したが、リリシアの姿を見つけられなかったようだ。
 「アメリア様・・リリシアの姿が何処にも見当たらないわ・・。もしかすると・・町の外に出ちゃった・・・!?
カレニアがそう言うと、アメリアは目を閉じて瞑想を始めた。
 「うむ・・、見えたぞ。リリシアとフィリスは郊外の山道にいる。その山道にリリシアはおる!!さぁ、皆の者、山道へと向かうぞ・・。」
アメリアがそう言うと、全員はレミアポリスの郊外にある山道へと向かった。山道を進むにつれ、アメリアの魔力反応が徐々に強くなっていく。
 「おお・・確かこの辺りだ。この辺りに強い魔力を感じ・・あれ?
アメリアの魔力反応が示しているのに、リリシアとフィイリスの姿は何処にもいなかった。心配したアメリアが海のほうを見ると、砂浜に倒れている二人の姿を発見した。」
 「あれはもしかすると・・フィリスとリリシアではないか!一体何が起きたのだ・・、とりあえず二人が倒れている場所へと向かうぞ。二人の命が危ない。」
アメリアとクリスたちは急いで二人が倒れている砂浜に向かった。砂浜に到着した瞬間、カレニアとディオンは二人の無事を確認する。
 「大丈夫だ・・。リリシアはまだ生きている。気を失っているようだ。」
ディオンがリリシアの胸に耳を当て、心臓の音を聞くと、心音は正常であった。ディオンと同様に、フィリスの胸に耳を当て、心臓の音を確認すると、カレニアが全員にそう言う。
 「こっちも大丈夫よ。心音も正常よ・・。」
二人の無事を確認すると、二人は目を覚ました・・。
 「ううん・・あれ、ここは一体・・?私たちは確か崖が崩落して海へと落ちたはずなのに・・。二人とも生きているなんて・・そんなことよりアメリア様、そしてみんな!なぜここが分かったのですか!?
びっくりした表情でフィリスがそう言うと、アメリアが答える。
 「リリシアの魔力を追っていくと、こんなところまで来てしまった。心配した私はクリスたちと共にここへとやって来たのだ。さてと、私の能力でレミアポリスに帰してやろう・・。一瞬でな。」
アメリアが念じた瞬間、全員はあっという間にレミアポリスの皇帝の間へと戻ってきたのであった。

フィリスの説得により、リリシアが徐々にその心を開き始めた。
その事を気に、彼女の中で何かが変わりつつあった。

 

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