新章激闘編第五十八話 崩壊のカウントダウン@

 

 レイオスとの戦いで、仮面の魔導王の顔を隠している仮面が壊れた。仮面の魔導王の正体は、実は魔界の人型の魔物であったのだ。彼は魔物であることを隠すため、特殊な魔術で体を整形し、整形できない口を除く顔の部分は仮面をつけることでその姿を隠してきたのだ。
「わ・・私の仮面が・・私の仮面がっ!!
 仮面の魔導王であったバルバトーレは怒りの表情でレイオスを睨みつける。彼は壊れた仮面を再び顔の元に持ってくると、すぐさま顔に仮面をつけたが、すぐ顔から落ちてしまった。その一部始終を見ていたレイオスが笑いをこらえながら見ていた。
「割ったんだから、仕方ないだろ。」
 レイオスは半ばバカにしている表情でバルバトーレにそう言う。その言葉にバルバトーレはさらに怒りの表情を浮かべる。
「貴様ぁっ!!七大魔王の一人であるこの私に喧嘩を売りおったな!よかろう・・誰に喧嘩を売ったのかそのおまえ自身の体で思い知るがいい!!
 バルバトーレは鮮血の魔杖を持ち、すぐさまレイオスに殴りかかってきた。そのことを察知したレイオスは、すぐさま双剣を握り締め、バルバトーレを迎え撃つ態勢に入る!!
「侮辱して何が悪いというのだっ!!貴様はエルジェから禁断の書を奪い、この地上界を崩壊しようとしているお前だけは、絶対に倒さなきゃいけないんだっ!!
 レイオスは双剣を握り締め、一気にバルバトーレに向かっていく。しかしバルバトーレの魔力のせいで、彼にダメージを与えることができなかった。
「魔導王・・そして強欲の魔王という二つ名を持つ私を、この程度の攻撃で私を倒そうというのかねっ!!
 バルバトーレはすさまじい闇の波動を放ち、レイオスは大きく吹き飛ばされた。レイオスが倒れている隙に、バルバトーレはレイオスのすぐそばまで来ていた。
「く・・・くそっ!!立て、俺の体よっ!!
レイオスが立ち上がろうともがいている所に、バルバトーレは手に持った鮮血の魔杖でレイオスを思い切り殴りつけた。
 「喰らえ、ロッド・ブレイカー!!
バルバトーレの杖の重い一撃が、レイオスの鳩尾に炸裂した。その一撃により、レイオスはダメージを受けたものの、立ち上がり反撃の態勢に入る。
「うぐぐぐ・・。魔導術に加え、杖の一撃も強烈だ・・。今は間合いをとり、奴を倒す方法を考えなければ、仲間の仇をとることはできないな・・。」
 レイオスは一気にバルバトーレから離れると、双剣を鞘に収め、バルバトーレを倒す方法を考えることにした。彼が離れた理由・・それは敵の攻撃をかわしながら弱点を探る作戦であった。無謀だと思われるその作戦であったが、今やるべきことはそれしかないのだ・・。

 レイオスが離れた瞬間、バルバトーレは一気に魔導術で離れた場所にいるレイオスに攻撃を仕掛けてきた。
「喰らえ、魔導術・テスタメル・デスエナジー!!
バルバトーレの手に持った杖から、邪悪なるエネルギーがレイオスにめがけて放たれた。しかし、レイオスはその攻撃を素早くかわし、すぐさま彼は波導の術を放つ態勢に出た!
 「今だっ!波導の術・聖風波!!
レイオスが術を唱えると、聖なる竜巻がバルバトーレを飲み込む。しかし、その邪悪な魔力の結界により、彼は無傷であった・・。
 「無駄だ・・。この私を倒すことはできんといっただろうに・・。お前はここで死ぬのだからなっ!
バルバトーレはそう言うと、レイオスに杖を向けた。するとその杖の先から暗黒エネルギーの塊でできた魔弾が現れた。
 「これは倒れていったベルの技だ!喰らえっ!!デモニック・ブレット!!
バルバトーレが杖をレイオスのほうに突き出すと、杖の先にある魔弾がレイオスのほうに放たれた。レイオスはその魔弾をかわそうとするが、その魔弾は執拗に彼を狙ってきた。
「この闇の塊・・俺を狙ってきやがる!こんなもの、俺の法衣で防いでやる!!
 レイオスは法衣に力を込めると、法衣がレイオスの体を覆った。魔力が込められたこの法衣のおかげで、魔弾の直撃は免れた・・。
 「まだまだあっ!!喰らえ、フェザー・ニードル!!
バルバトーレは杖を振ると、白く鋭い羽がレイオスに向かって放たれた。その鋭い羽は、魔力が込められたレイオスの法衣に突き刺さる。
 「魔力を込めた俺の法衣に突き刺さるほどの威力だな・・。」
レイオスがそう言うと、彼の目の前に鋭い羽の一部が見えた。
「うわっ!!早く解除しないとこの法衣が破れてしまう!!
レイオスは急いで法衣にかけられた魔力を解除すると、すぐに法衣は元に戻った。レイオスは法衣に突き刺さった羽を抜くと、その羽をバルバトーレめがけて投げつけた!
 「お前にされたことをそっくりそのまま返すぜ!!喰らえ、フェザー・ダーツ!!
レイオスは鋭い羽をバルバトーレのほうに投げると、その羽はバルバトーレの結界に突き刺さった。突き刺さった羽のおかげで、バルバトーレの結界が見えた。
「しまった!!奴の投げた羽のせいで、私の結界が見えてしまった!!
バルバトーレはすぐさま羽を取ろうとしたその時、レイオスが双剣を構えると、一気にバルバトーレのほうに振り下ろした!
 「喰らえ、聖光波斬!
レイオスがその双剣を振り下ろすと、光の刃がバルバトーレのほうに放たれた。その光の刃の一撃により、バルバトーレの体を覆う結界が破壊された。
「わ・・私の結界が破られるとは・・・。貴様・・許さんぞぉっ!!
 バルバトーレがそう言うと、杖を地面に突き刺し、レイオスにそう言った。
「禁断の書を奪った理由・・それはこの世界を崩壊の予言がこの本に書いてあったからだ・・。この本にはこう書かれていた・・。滅びの予言の発動の呪文を唱えたとき、世界は闇に飲み込まれ、海の底に沈み、世界は終焉に導かれる・・。その術の名は「ワールド・オブ・リコンストラクション」だ。つまり、今の世界を壊し、私が王の新世界を作るのだっ!!
 バルバトーレがそう言うと、咄嗟にレイオスが叫ぶ。
「やめろっ!!その術だけは唱えてはならないっ!!
レイオスのその言葉に耳を貸すことなく、バルバトーレはついに滅びの予言の術を唱えるのであった。
 「フハハハッ!!こうしてくれるわっ!ワールド・オブ・リコンストラクションッ!!!
バルバトーレがそう言った瞬間、滅びの予言はついに発動された。その時、地上界では異変が起こりつつあった・・。

 ――地上界・レミアポリスでは・・・
「みんな!!海のほうを見て、海面が徐々に上昇してきているわっ!このままでは中央大陸が沈没してしまうわ。島の全員をレミアポリスの地下シェルターに避難させましょう!!
エルフィリスの命令で、ファルスとディオンはすぐさま中央大陸にいるすべての人間を避難させるべく、急いでレミアポリスの市外地へと走り出した。

 ――地上界・ルディア地域
ルディア地域にいる人は、すぐさま異変に気づき、避難に向かっていた、そんな中、レイオスの幼馴染であり水晶術士のクリスだけが、一人レイオスの無事を祈っていた・・。
 「レイオスさん・・この窮地を救ってください・・。今はあなただけが頼りの綱なのです・・。」
クリスの水晶玉でも、レイオスの動向を見ることはできなかった。闇の力により、水晶玉の力が阻害されていたのだ。
「水晶玉でも彼の動きを見ることができないなんて・・。ひょっとしたら彼は・・・!!
クリスは不吉な予感を感じ、竜の社から外に出ると、その目の先には紫の雲が立ち込めていた。
 「なんなのっ…これはっ!!この状況をアメリア様に伝えなければ!
クリスはそう言うと、レミアポリスへと移動を開始した。

 滅びの予言が発動され、バルバトーレは高笑いを浮かべる。
「ハハハハハハハッ!!!これで世界は私の物だっ!!今の世界を壊し、私が王となる新世界を築き上げるのだっ!レイオスよ、この世界の滅びの予言は止められんのだよ・・・。世界が崩壊するまで戦おうではないか!!
 バルバトーレの言葉に、レイオスは静かに口を開いた。
「お前を倒し、この世界を守ってみせるっ!!お前なんかに・・俺の仲間たちの住む世界を壊させてたまるかっ!
レイオスのその言葉に、バルバトーレが彼を見下ろしながら答える。この世界を守るためには、この勝負で負けは許されないのである・・。
 「フハハハッ!!私を倒せば滅びの予言がなくなるとでも思っていたのか・・・。私の体が滅びても、この予言は変えられん!!もはや私を倒しても、世界の破壊は防げないということだよ・・。」
バルバトーレはもはや戦わなくても勝利は決まっているような目で、レイオスを見つめる。その言葉に、レイオスはさらに怒りを募らせていた・・。
 「そ・・・そんな!?滅びの予言は止められない・・だと!?
絶望的な状況に立たされたレイオスには、もはや返す言葉などなかった。こうなればやることはただひとつ、この最後の勝負に勝ち、残りの時間で滅びの予言を止める方法を考えるしかないのであった・・。
 「ならば・・・この勝負に勝ち、この世界の運命を・・・変えてみせるっ!!
レイオスは仲間たちの無念を晴らすため、双剣を手に、真の最終決戦に挑む!!

禁断の書に記されていた滅びの予言が発動された・・。
世界崩壊まで、5時間・・。残り時間で彼は世界の崩壊をとめることができるか!?

 

 

 

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