新章激闘編第五十七話 仮面の魔導王、現る!!

 

魔導城の4階まで来たとき、ついにレイオスだけになった。彼は仮面の魔導士のいる玉座の間を目指し、先を進んでいた。
「みんなのおかげで、俺はここまで来れた・・。だから、俺がみんなの気持ちにこたえる番だっ!!
レイオスはそう言うと、仲間の気持ちを無駄にしないためにも、仮面の魔導士を倒さなくてはならないということを決意した。そのを決意を胸に、彼は魔導城の玉座の間へと走り出すのであった・・・。

 レイオスは魔導城の玉座の間にやってきたが、そこに仮面の魔導士の姿はなかった・・。
「仮面の魔導士っ!!お前を倒すためにここまでやってきたぜ!!
レイオスがそう叫ぶ。しかし返ってくる言葉はなかった。その様子にレイオスは玉座の辺りを調べたが、特に変わった様子はなかった・・。
 「まさかあの野郎・・逃げたわけじゃあるまいな・・・。」
レイオスがそう言うと、いきなり目の前に仮面の魔導士が現れた。魔導戦艦で見たときとは違う姿であった。仮面の魔導士が玉座に座り、レイオスにそう言う。
「逃げたわけじゃあるまい・・。ちょいと魔力強化を受けていただけだ・・。お前にひとつ話す、二階と三階にいるお前の仲間は死んだよ・・・。私の部下と戦って相打ちになったんだがな・・。」
 その言葉で、レイオスの表情が唖然となる。
「嘘だっ!!ブレアとリュミーネが・・・・死んだだとっ・・・!?
仲間の死を聞かされたレイオスは、受け入れがたいこの状況に絶望に屈したものの、すぐに立ち直って見せた。立ち上がった彼は仮面の魔導士を睨みつけた後、すぐさま攻撃態勢に入った。
 「よくも俺の仲間を・・・お前だけは許さないぞっ!
レイオスが武器を構え戦闘態勢に入ると、仮面の魔導士もすかさず戦闘態勢に入る。仮面の魔導士からはすさまじいエナジーと魔力が溢れていた。
「フハハハッ!!お前の仲間と死んでいった我が参謀の魔力を授かり、魔導王となった今、お前に勝ち目などないっ!喰らえ、我が魔力をっ!!
仮面の魔導王はそう言うと、すぐさまレイオスに攻撃を仕掛けてきた。

 魔導王の魔力をかわしたレイオスは、すぐさま反撃にでる。
「俺たちの仲間の仇を討つ!!喰らえ、聖迅波斬!!
レイオスは剣を振り下ろすと、光の刃が放たれ、仮面の魔導士を襲った。しかしその攻撃も、仮面の魔導士の魔力によってわずかしかダメージを与えられなかった。
 「何ぃっ!?俺の聖迅波斬が・・・ぜんぜん効いていない・・・。」
レイオスの攻撃は、仮面の魔導王の圧倒的な魔力の前には無力であった。だがしかし、彼はあきらめない表情であった。仲間の仇を討つまでは、彼は負けられないのだ。
「さぁ跪け!私の魔力の前には無力なのだ・・。さぁあきらめて私の眷属として働いてもらおう・・。」
仮面の魔導王の言葉に、レイオスは怒りの表情でこう言い返した。
 「誰がお前の眷属なんかになるものかっ!!お前の眷属になるんだったら、死んだほうがましだ!俺はお前を倒すため、ここまでやってきたんだ!
レイオスはそう言いながら剣を握り締め、一気に仮面の魔導王を斬りつける。仮面の魔導王は杖を構え、すぐさまレイオスの攻撃を受け流す態勢に入る。
 「我が鮮血の魔杖の威力、受けてみるがいい!!
仮面の魔導王は杖でレイオスの攻撃を受け流した後、すぐさまレイオスに杖の一撃を食らわす。その一撃を受けた彼は、大きく壁に激突した。
「ぐわあっ!!
壁に激突したレイオスであったが、すぐさま態勢を立て直し、仮面の魔導王を迎えうつ態勢に入る。しかし仮面の魔導王はレイオスの目の前まで来ていた。
 「止めだ・・・レイオスっ!!このまま私に殺されたくなければ、おとなしく我が眷属となってもらおう・・。」
仮面の魔導王の要求に、レイオスは首を縦に振ることはなかった。死んでいった仲間のためにも、こんな所で屈したりしてはいけないのであった。彼はすぐさま仮面の魔導王のほうに手を向け、強力な光を放った!!
 「これでも・・・喰らいやがれっ!
レイオスの手から光が放たれ、仮面の魔導王の目を晦ませる。その隙を見て彼は、すぐさま仮面の魔導王との距離を離し、安全な場所に移動した。
「ううっ!!目が・・目がっ!!この野郎・・私に何をしたっ!!
仮面の魔導王は目を開けていられない状態であった。レイオスは離れた場所から光の刃を放ち、仮面の魔導王に攻撃した。
 「今だっ!!喰らえ、聖迅波斬!!
レイオスが放った光の刃が、仮面の魔導王を捉えた。眩い光により目を開けていられない仮面の魔導王は目が見えるようになった瞬間、視界にはレイオスが放った光の刃がそこにあった。
「し・・しまった!!もっと早く目を擦っておけば・・こういうことにはならなかったはずだっ!!それは私の重大なミスだ・・ミスだっ!!
仮面の魔導王がそう言うと、光の刃が仮面の魔導王を切り裂く。
 「があああああっ!!
仮面の魔導王はレイオスの攻撃を受け、その場に倒れる。その衝撃で、仮面の魔導王の顔を隠していた仮面が真っ二つに割れてしまっていた・・。
「これで・・勝ったのか・・。」
 レイオスは半ば不安な表情であった。こんなにも強大な魔力を持つ仮面の魔導王が呆気なく倒されることはなかったような気がしたのだ。レイオスが振り返ったとき、再び仮面の魔導王が割れた仮面を拾い上げながら立ち上がり、レイオスにこう言った。
「うぐぐぐ・・よくも私の顔を隠している仮面を壊してくれたな・・。死ぬ前にひとつ教えてやろう、私は七大魔王の一人、バルバトーレだ・・。そんなことより見ろ、この顔をっ!!
 その言葉を聞いたレイオスは、バルバトーレの顔を見た。すると口の周りを除く外観が魔物のような風貌であった・・。
「お・・お前・・。まさか魔界の魔物なのかっ!?じゃあ今まで人間のふりをしていたのかっ!!、」
レイオスがそう言うと、再び戦闘態勢に入る。その瞬間、バルバトーレがレイオスの方を振り向き、こう答える。
 「私は人型の魔物として生まれ、いままで人間のように過ごしてきたが、その顔のおかげで人々に憚られるのが嫌だから、仮面をつけるようになった。特別な魔術で口も体も人間のようにしてもらったおかげで、今の私にいたるというわけだ。それ以上は特に話すことはない・・お前はここで死ぬのだからなっ!!
バルバトーレはそう言うと、全身に力を込め、みるみるうちにその体を変貌させていく。人間だった魔導士が、徐々に魔王形態へと変化していった・・。

 その一部始終を見ていたレイオスは、その変形に唖然となっていた。
「これが私の正体・・強欲の魔王バルバトーレだっ!!この世界を我が物とし、地上界のすべての人間を我が眷属に加えてやろうぞ!!地上界を制圧した後、次は魔界を制圧するとするか・・。」
バルバトーレがそう言うと、その大きな翼で空中に浮かぶ。レイオスはその姿に一度は怯んだが、またすぐに立ち上がった。
 「仮面の魔導王・・いや、バルバトーレよ・・。今ここで決着をつけるぞ!!俺の仲間とこの世界の為にも、ここで負けるわけにはいかないんだっ!!
レイオスは光の双剣を握り締め、今最後の戦いに挑む!!

ついに正体を現した仮面の魔導士!!
魔王バルバトーレへと変貌を遂げた魔導士に、レイオスはどう戦う!?

 

 

 

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