新章激闘編第五十六話 戦乙女リュミリア光臨!②
ブレアとリュミーネが融合し、戦乙女リュミリアへと変貌を遂げた。彼女の武器、ルミナスブレードを握り締め、ベルとの最終決戦に挑むのであった。
「このルミナスブレードの威力・・とくと見せてあげましょう・・。」
リュミリアはその大きな剣を振り下ろすと、剣から光の刃が放たれ、ベルを掠めた。その威力は、魔導城の壁を貫く威力であった・・。
「これが貴様の力か・・俺の力も負けてはいないぜぇっ!!」
ベルは魔銃を手に取ると、すぐさまリュミリアに発砲する。しかし彼女はその大きな剣を収めると、すぐさま彼女は光の結界をはり、防御に出る。
「そんな魔弾・・・私には通用いたしませんわよ・・。私は剣技だけではなく光の術も精通している戦乙女よっ!!」
意訳（ブレア）：「そんなことより・・・解除したら死ぬってどういうこと!?」
意訳（リュミーネ）：「昔読んだ古代の本にこう書かれていたけど、残留思念と人間の融合には、とてつもなく危険なことなの・・。人間の体と思念体との融合には、人間の命と引き換えに力を得ることができるの。だから、迷惑だと思うけどその合体が解けるとあなたは私と同じになってしまうの・・。」
リュミリアは魔力を込め、一気にベルに攻撃を仕掛ける。彼女の周りから、すさまじい光があふれ出し、彼女を覆っていた・・。
「喰らいなさい!罪深き闇の眷属よ!!輝煌術（シャイニング・スペル）!!シャイニー・ブレイザー!!」
リュミリアが術を放った瞬間、まばゆい光がベルを包み込んだ。光がベルを覆いつくした瞬間、光は炎となり、ベルを焼き尽くした。
「グギャアアアアアアアアッ!この小娘・・こしゃくな真似をっ!!」
ベルは炎のダメージを受けていたが、すぐさま背中にはえた漆黒の翼を羽ばたかせ、炎の壁をかき消す。炎が消えた後、ベルは魔銃ベルゼクス・ダークブラスターを構え、一気にリュミリアに向ける。
「この魔銃で・・終わりにしてやるぜぇっ!!受けてみろ、フレア・ブラスター!!」
ベルの魔銃から灼熱の炎が放たれ、リュミリアを襲った。リュミリアはその炎をかわすべく、すぐさま大きな剣を立て、防御の体制に入る!
「まだまだぁっ!!」
ベルがそう叫ぶと、魔銃から放たれた炎は竜となり、防御の体制をとるリュミリアをじわじわと壁際に追い詰める。
「ぐぐっ・・・・銃から放たれた炎が炎の竜に変わるなんて・・なんという魔銃なのかしら・・。あの炎の竜を何とかしない限り、あいつに攻撃できないわ。」
リュミリアは一気に炎の竜から離れるが、その炎の竜は執拗にリュミリアを追跡する。リュミリアは水の術でその炎の竜を攻撃した。
「これでもどうっ!!アクア・スパイラル!!」
リュミリアは水の術を放つと、彼女を執拗に追いかける炎の竜に命中する。その攻撃を受けた炎の竜は、すぐに炎に戻り、跡形もなく消滅した。
「ちきしょうっ!!ベルゼクス・ダークブラスターの魔弾がひとつ無駄になってしまったじゃねぇか!最後のひとつはお前に止めを刺すための取って置きだっ!!いまから銃を使わず肉弾戦で勝負だっ!!」
ベルは銃を収め、拳を握り締めてリュミリアに向かってきた。
ベルはリュミリアの目の前まで来ると、その拳でリュミリアの剣をはじき返す。その衝撃で、リュミリアはその場に倒れた。
「きゃあっ!!」
その場に倒れたリュミリアに、ベルはさらに追撃を加えようとする。その様子を見た彼女は、体を動かして抵抗する様子を見せる。
「離しなさいっ!!汚らわしい魔物めっ!!」
リュミリアは手に光をまとい、ベルの目をくらませる。その隙に、彼女は地面に突き刺さった剣を引き抜くと、すぐさまその場から離れる。
「目・・目がっ!!光で目がくらみやがるっ!!」
ベルはリュミリアが放った光により、しばらく目を開けていられない状態であった。ベルがもがいている間に、リュミリアは光の剣で攻撃を仕掛ける。
「我が閃光の剣技・・見せてあげましょう。クレッセント・ブレイク!!」
意訳（リュミーネ）：「これは・・・リリシアの分よっ!!」
リュミリアは大きな剣から細身の三日月刀・クレセント・ファルシオンに持ち替え、一気にベルの目の前まで詰め寄った後、彼女の持つ三日月刀でベルの左腕を切り飛ばした!
「グ・・グオオオオッ!私の左腕があぁっ!!」
左腕を切り裂かれたベルは、痛みのあまりうめき声を上げる。しかしそれに耳を貸すことなく、リュミリアが三日月刀から大きな剣・ルミナスブレードに持ち替えると、リュミリアは呪文を唱え始めた・・。
「我が眠りし光の力よ・・我に力を与えたまえ・・ブレイジング・ルミナシアス!!」
リュミリアが呪文を唱えた後、ベルの頭上に魔方陣が現れた。リュミリアの剣がその魔方陣を切り裂くように剣を振り下ろすと、ルミナスブレードが巨大な光の槍と化した。
「クハハハハッ!!左腕を失っても魔銃を撃てる右腕は生きているのを忘れたかっ!!俺の取って置きの魔弾で終わりにしてやるぜっ!!」
ベルは不敵な笑みを浮かべながら、右腕で魔銃に最後の魔弾を装填し、リュミリアに狙いを定める。そして、リュミリアを睨みながら魔銃の引き金を引いた。
「行くぞリュミリアっ!!最後の勝負だっ!!地獄で後悔するんだな!喰らえ、究極魔弾・ダークマター・ブレット!!」
ベルが引き金を引くと、真っ黒な球体が魔銃から放たれた。その球体は形を変えながら、周りの障害物を飲み込みながらリュミリアのほうへと向かっていく。
「この勝負、ここで決着をつけますわ・・。私はあなたによって殺されたリュミーネとリリシアの仇をとるため、この世に遣わされた戦乙女ですからねっ!!我が最終奥義、受けてみなさい!・ルミナス・エリシオン!!」
意訳（ブレア）：「これがっ・・・リュミーネの分だっ!!覚悟しろおおおっ!!」
リュミリアは巨大な光の槍と化したルミナスブレードを握り締め、そのまま一気に真っ黒な球体ごとベルの体を貫く。巨大な光の槍に貫かれたベルは、うめき声を上げながらその場に倒れる・・。
「グ・・グウオオオオオオッ!!」
ベルはその言葉を最後に、ぴくりとも動かなくなった。リュミリアの光の槍がベルの心臓を貫いたことで、完全に葬り去ったのだ・・。
ベルとの戦いに勝利し、安堵の表情を浮かべるリュミリアの体が、徐々に透けていくのを感じていた。
「もう・・そろそろ戻らなきゃいけないね・・じゃあね・・・。」
リュミリアの体が完全に消えた後、部屋には合体の解けたブレアがそこにいた。しかし、彼は二度と息をすることはなかった・・。しかし彼の顔には、万年の笑みを浮かべていた・・。それは愛する者の仇をとった喜びを表すかのように・・・。
一方レミアポリスでは、護衛のために遣わされた三人の戦士が、戦いを終えて王宮に戻ろうとしたその時、彼らの目の前にセディエルが現れた・・。
「これですべての魔物はいなくなりました・・。しかし油断は禁物です。また新たな魔物がこのレミアポリスを襲撃して来るかも知れません・・。」
セディエルがそう言うと、王宮の窓から一人の天使が彼らの目の前に舞い降りてきた。
「魔物がいなくなったと聞いたので、ここに来ました。私の名前はラキエルと申します。セディエルとは幼馴染で、子供のころよく天界で遊んでいました。私が地上界に密偵にきた理由・・・それは仮面の魔導士の動向を探るためです・・。」
ラキエルがそう言うと、ウォルティアの王女であるエルフィリスが話しかける。
「自己紹介が遅れたわ・・私はウォルティアの現王女であるエルフィリスと申します。レイオスとともに旅を続けているリュミーネに武術を教えた者です。たしかに、レミアポリスの魔物は私とその仲間たちで一掃しました・・。これでこのレミアポリスに平和が戻ってくるでしょう・・。」
エルフィリスが答えると、ラキエルが深刻そうな表情で答えた。
「最長老から聞いた話なんですが、エルジェから奪った禁断の書には、このフェルスティアを崩壊させるほどの混沌の闇を呼び寄せる術があるのです・・。その闇が迫り来るとき、この世界の海面は上昇し、やがてすべての大陸が水没するとの言い伝えが残されています・・。すなわち、崩壊へのカウントダウンはもう始まっているんです!!」
ラキエルの言葉に、全員は唖然となる。だが、仲間たちは崩壊のカウントダウンを止めるべく、すぐに立ち上がった。
「私たちがやらなきゃ、この世界は崩壊の一途をたどるのみです・・。一度王宮に戻り、全員で対策を立て直しましょう・・。」
フィリスが仲間に呼びかけると、すぐさま王宮に戻り、対策を考えるのであった・・。
この世界の崩壊のカウントダウンは、刻一刻と迫っていたのであった・・・。
一方魔導城の四階へとたどり着いたレイオスは、三階のほうで大きな物音が聞こえるのを感じた・・。
「どうやら下で決着がついたようだな・・。とうとう俺一人になってしまったが、仮面の魔導士を倒すためにも、先に進むしかないんだっ!!」
レイオスは決意の表情でそう言った後、仮面の魔導士のいる魔導城の玉座の間に向けて歩きだした。彼を先に行かせるために戦ってくれた仲間の意思とともに、彼は仮面の魔導士のいる玉座の間に向かうのであった・・。
「ブレア・・リュミーネ・・・、お前たちは俺を先に行かせるために知恵を絞ってくれた。その努力を無駄にしないためにも、俺はただまっすぐ突き進むしかないんだ・・。」
彼とともに旅を続けてきた仲間たちを失ったも、レイオスはあきらめなかった・・。彼は仲間たちの無事を祈りながら、先に進むのであった・・・。
参謀のベルを倒し、残すは仮面の魔導士一人!!
仲間の意思を胸に、レイオスは仮面の魔導士を倒すことができるか!?