新章激闘編第五十三話 デーモニック・エクスピアシオン@
仮面の魔導士を倒すため、ついに魔導城へと突入したレイオスとその仲間たちは、いよいよ最後の戦いの舞台である魔導王の間へと急いでいた。
「魔導城の中は何が起こるかわかりません。用心していきましょう!!僕たちは必ず生き残り、三人で仮面の魔導士を倒すんだ!」
ブレアがそう言うと、全員は足を進める。しかし、全員が歩いている中、リュミーネだけが不安そうな表情であった。
「ん・・?どうしたんだリュミーネ、元気がないぞ。」
レイオスの言葉に、リュミーネは暗い表情で答える
「なぜか不安がこみ上げてくるの・・。私にはあの娘の気持ちが分かるような気がするの・・。
リュミーネがそう言うと、全員が振り向く。
「あの娘って・・、まさかリリシアのことか・・。あの娘には気をつけたほうがいい。あの娘はかなり毒々しいまでの闇のオーラが見えた。あいつと戦う場合は、すべての力を出し切って勝つんだ。」
レイオスがリュミーネのほうを振り向き、そう言う。その言葉に、リュミーネは少しだけ笑顔を取り戻したようだ。
「分かったわ。私は必ずリリシアに勝って見せるわ・・。みんな・・、リリシアとの勝負は、私だけで行かせてほしいの・・・。」
リュミーネが決意の表情でそう言うと、全員が納得した。
「わかった。なるべく無理だけはするなよ・・。みんなお前のことが心配なんだからな・・。」
レイオスがそう言うと、全員は魔導王の間を目指し、再び歩き出した。
仮面の魔導士とリリシアとベルは、レイオスたちの行動を水晶玉で見ていた。
「レイオスたちが門番を破り、この城に突入してきた。まずはリリシア・・、二階にてレイオスたちを迎え撃ってほしい。お前の力なら、あの憎きリュミーネを倒せるはずだ・・。レイオスたちよりも、お前と因縁のある仇敵、リュミーネを一方的に攻撃を加えるんだ・・。」
仮面の魔導士の言葉で、リリシアが答える。
「分かりました・・。仮面の魔導士様、必ずやリュミーネを倒して見せます・・。ベル、あなたの助太刀は要らないわ・・。私一人で十分よ。」
リリシアはそう言うと、すぐさまレイオスたちを迎え撃つべく、三階へと続く階段の前にある大きな部屋で、レイオスたちが来るのを待つことにした。
三階へと続く階段の前の部屋で、リリシアが一人呟いていた。
「ここで待っていたら、必ずやレイオスたちが現れるわ・・。さっさと来なさいっての・・。」
リリシアは少し不機嫌そうな表情で、レイオスたちを待ち伏せするのであった。
急ぎ足で二階へとやってきたレイオスたちの耳に、不気味な声が聞こえてきた。
「フフフ・・。三階へは行かせないわよ・・。どうしても行きたいと言うのなら、あなたたちには死んでもらうわよ・・。特にリュミーネ・・、あなただけは許さないわ。必ず殺してあげるからね・・。」
不気味な声の言葉に、リュミーネは怒りの表情を浮かべる。
「その声はリリシアっ!!早く姿を見せなさいっ!!」
リュミーネが怒りの表情で叫んだが、返事はなかった・・・。しかし、不気味な声はもう一度レイオスたちに話しかけてきた
「私は・・・三階へと続く階段の前の部屋にいるわ・・。倒せるものなら、倒してみなさい・・。」
その言葉を聞いたレイオスたちは、早速三階へと続く階段の前にある部屋を目指し、走り出した。
三階へと続く階段の前にある部屋へとやってきたレイオスたちの前に、リリシアの姿がそこにあった。
「見つけたわよ、リリシア!!」
リュミーネがリリシアに向かって叫ぶ。しかしリリシアはその言葉に有無を言わさず、鉄扇の刃先をリュミーネに向けた。
「ここがあなたの死ぬ場所になるわよ・・。そして、あなたたちも・・・。リュミーネを倒した後、あなたたちも倒してあげるわぁ・・。」
リリシアがそう言うと、リュミーネがレイオスたちの耳に小声で呟いた。
「私が隙を作るから、あなたたちは三階へと向かうのよ・・。ここで私が止めないと、みんな死んじゃうわ・・。だから、二人は迷わず突き進んで!!」
リュミーネの言葉に、二人は不安を隠せない表情であった。
「さぁリュミーネっ!仲間との話は終わりよっ!」
リリシアは鉄扇を振り下ろし、リュミーネに襲い掛かってきた。リュミーネは鉄扇の一撃をかわし、すぐさま槍を構え、臨戦態勢に入る!!
「リリシア・・、今ここであなたと決着をつけるわ!!」
リュミーネは槍を握り締め、リリシアに宣戦布告した。
「受けてみなさい・・。魔導術、グレイシアス・ブレイジャス!!」
リリシアが呪文を唱えると、彼女の手のひらから吹雪が吹き荒れ、リュミーネを攻撃する。しかし、リュミーネはその素早さを生かし、すぐさま回避した。
「魔導術を使いこなしているわね・・。私の波導の術であなたを攻撃するわっ!!」
リュミーネはそう言うと、術を放つ態勢に入る。しかし、それを阻止しようとリリシアが鉄扇をリュミーネのほうに向けて投げつけてきた!!
「喰らいなさい・・波導の・・・きゃあっ!!」
リリシアの鉄扇が、リュミーネの体に刺さる。その痛みにより、リュミーネは術を放てなかった。
「術を放つ暇は与えないわよ・・。だってあんたはここで死ぬのだからね・・。」
リリシアはそう言うと、リュミーネの体に刺さった鉄扇を手に取る。すると彼女は鉄扇についたリュミーネの血をなめ始めたのであった・・。
「やっぱり人間の血が最高にうまいわ・・。倒した後、あんたの血をすべて吸ってあげるわ・・。」
リリシアがリュミーネの血を舐めつくし、至高の表情を浮かべる。その表情に気分を害したのか、リュミーネはもう一度術を放つ態勢に入る!
「何度やっても無駄よ・・。私の鉄扇で何度でも阻止できるんだから・・。」
リリシアはもう一度リュミーネに鉄扇を投げつける。しかし、術を放つ態勢だったリュミーネは、槍で飛んでくる鉄扇を弾いた。
「な・・、何ですって!?術を放つ態勢なのに・・?」
リュミーネは術を放つふりをして、リリシアが攻撃する瞬間を待っていたのだ。リュミーネはすかさず鉄扇を拾うと、鉄線は髪飾りに変わった・・。
「鉄扇が・・髪飾りに変わった!!なぜなのっ!?」
リュミーネがそう言うと、リリシアが答える
「私の髪飾りはね・・。私の魔力を込めると鉄扇に変わるの・・。それより早く私の髪飾りを返しなさいっ!!」
リリシアはリュミーネが持っている髪飾りを奪おうと、一気にスピードを上げた走り出した。するとリュミーネは、髪飾りをレイオスのほうに向けて投げた。
「レイオス、その髪飾り持って急いで扉の前まで来て!!扉まで来たら私のところに投げて!!」
リリシアの髪飾りを手に、二人は猛烈なスピードで扉の前まで走る。しかしリリシアは髪飾りを取り返すべく二人に照準を合わせた。
「そこの二人・・。私の髪飾りを返しなさいっ!!今すぐ返せば痛い目を見なくてすむわよ・・。」
リリシアの言葉に、レイオスとブレアは耳を傾けないまま、扉の前まで走った。そして、扉の前まで来た後、レイオスがリリシアの髪飾りをリュミーネのほうに放り投げた!
「リュミーネっ、後は頼んだぜっ!!俺たちは三階に行ってくるぜ!!」
レイオスとブレアは、その隙に扉を開け、三階へと向かって行った・・。
そして部屋には、リリシアとリュミーネの二人だけになった。
「レイオスたちはいなくなったわ。さぁ、ここからが真剣勝負よ・・。」
リュミーネはリリシアを睨みつけ、そう言う。するとリリシアも、リュミーネを殺気立った目で睨み、答える。
「邪魔な奴は消えたわ・・。二人だけの真剣勝負と行きましょう・・。」
リリシアは鉄扇を拾うと、すぐさま二人は戦闘態勢に入った。
緊迫した表情の二人であったが、先手を取ったのはリリシアだった。先手を取ったリリシアはすかさずリュミーネに鉄扇を投げつけてきた!!
「喰らいなさい!!煉獄投扇興!!」
リリシアは地獄の炎をまとった鉄扇をリュミーネに向けて放つ。高速で放たれた鉄扇は、まさに弾丸のようにリュミーネを捉える。
「キャハハハハッ!!この技で死んじゃいなさい・・。」
リリシアは高笑いを浮かべながら、リュミーネのほうを見る。リュミーネは間一髪その攻撃をかわし、リリシアの背後まで詰め寄る。
「な・・何っ!?なぜ私の後ろにいるのっ!!」
リリシアが驚いた表情でそう言って辺りを見回すと、その後ろにリュミーネの姿がそこにあった。リュミーネはすでに必殺の槍術を放つ態勢に入っていた。
「さぁリリシア、これで最後よっ!!喰らいなさい、シャイン・シェイバー!!」
リリシアが身構える前に、リュミーネの光の槍術がリリシアの体を貫いた。
「うぐぐ・・・。負けたくない・・。私は・・あの小娘を・・殺すのよっ・・。人間を滅ぼすのよ・・。」
リュミーネの放った槍に貫かれたリリシアは、すぐさま闇の力を集め、傷を癒そうとする。すると、リリシアの周りに、すさまじい混沌のエネルギーが巻き起こっていた。
「人間なんて・・人間なんて・・・私が滅ぼしてあげるわああっ!!!」
荒れ狂う闇のエネルギーが巻き起こり、リュミーネは大きく吹き飛ばされた。闇のエネルギー球体の中心で、リリシアの体がどんどん変貌していく・・。
「何なの・・・あれはっ!?」
リュミーネは闇の球体のほうを向くと、そこには闇の魔王と化したリリシアの姿があった。闇の魔王へと変貌を遂げたリリシアは、リュミーネにそう言った・・。
「私は・・、混沌と色欲の魔姫・・・リリシア・・。この世界を支配する魔王・・いや魔姫だ・・。この力さえあれば、あなたなんてすぐに殺して差し上げますわ・・。」
混沌の魔姫とかしたリリシアが、リュミーネに襲い掛かってきた。
混沌と色欲の魔王・・いや、魔姫と化したリリシア!
リュミーネはこの強敵を相手に、どう戦う!!