新章激闘編 第五十二話 突入!魔導城!!

 

 魔導城に戻ってきたベルとリリシアは、早速仮面の魔導士のいる実験室へと足を運ぶのであった。
「仮面の魔導士様・・、オーガの始末でたまたまリリシアと合流したので、一緒に帰ってきたぞ。」
ベルの言葉で、仮面の魔導士は残念そうな表情であった。
オーガという怪力の持ち主を失い、魔導城には力の弱い魔物しかいなくなったので、レイオスたちを始末するための戦力が減ってしまったことにひどく落ち込んでいた。
 「リリシア・・、遅かったな。さぁ、魔力強化をはじめようではないか・・。今から人間から奪ったエナジーを君の体に送る。そうすればあのリュミーネとか言う小娘に復讐ができるぞ・・。さぁ、椅子に座りたまえ。」
仮面の魔導士の言葉で、リリシアは近くにあった椅子に腰をかけた。
「座ったわよ・・。さぁ、魔力強化を始めてちょうだい。」
仮面の魔導士はリリシアの頭に手を当て、強く念じ始めた・・。
 「なにやら混沌の力が湧き上がって来る・・。人間の恨みや嫉妬のエネルギーが私の中に入ってくるわ!!
仮面の魔導士はリリシアに強力な魔力とエナジーを送り続けているが、一向に完全体に変貌する気配が感じられなかった。おかしいと思った仮面の魔導士は、すぐさまエナジーの放出を止めた。
 「なぜ・・なんで止めちゃうの・・仮面の魔導士様!!もっと・・もっとエナジーが欲しいのっ!!
リリシアは仮面の魔導士に縋りなくように仮面の魔導士に懇願した。
「しかし・・。これほどのエナジーを君に送ったが、完全体に変身しないとは・・。リリシア、これ以上君にエナジーを送ると、君の命が危ないのだ。だから分かってくれ・・。命を捨ててでもお前はリュミーネと決着をつけたいというのか!?
仮面の魔導士はリリシアにそう言うと、リリシアは決意を固めた表情で答えた。
「あの出来事以来、私は人間を捨てたのよ・・。だから、この命を捨ててでもリュミーネに制裁を加えてやるわ・・。私をコケにしたあの小娘だけは許さない!!
リリシアの言葉で、仕方なく仮面の魔導士はエナジーの放出を開始した。
 「やれやれだ・・。お前の命がどうなっても知らんからな俺は・・。」
仮面の魔導士は再びリリシアの頭に手を当て、エナジーの放出を始めた。
 「キャハハハハッ!!さらに混沌のエネルギーが私の中に入ってくるわ!仮面の魔導士様、もっと私に力を!!誰にも負けない力をっ!!
仮面の魔導士は以前送ったときよりも強力な魔力とエナジーをリリシアの体へと送る。その量はベルに送ったエナジーを越すほどの魔力が、リリシアの体の中に流れていった。
 「はぁ・・、これで限界だ。これ以上放出を続けると、俺のエナジーまでリリシアの体の中に取り込まれてしまう・・。」
仮面の魔導士は疲れた表情であった。これまでに人間から奪ったエナジーの30%をベルに、70%をリリシアに与えたせいで、心身とも疲労状態であった。
 「俺は疲れた・・。リリシア、ベルよひとまず疲れを癒すために栄養液に浸かるのでそこまで運んで欲しいのだ・・。俺の体力が回復するまで絶対に起こさないでくれないか?
仮面の魔導士の言葉で、リリシアが答えた。
「分かったわ・・。仮面の魔導士様からもらったエナジーで、私は必ずリュミーネを倒して見せるわ。おやすみ、そしてありがとう・・。仮面の魔導士様。」
リリシアはそう言うと、二人は仮面の魔導士を抱えながら回復室へと向かった・・。

 二人は栄養液の詰まったカプセルの中に、仮面の魔導士をその中に入れた。
「しばらくその中に入っていれば、数分あれば回復できるわ・・。」
「ほらよっ!!後は俺たちに任せろ。俺たちがレイオスたちを倒すから、仮面の魔導士はここでゆっくりと休んでくれ・・。」
二人はそう言うと、そそくさとその場を去っていった。
 二人が去った後、仮面の魔導士が一人呟いた。
「そうしてはいられん・・。私の魔力の大半がリリシアとベルに奪われてしまった・・。その間ここで仮眠を取って魔力を回復するとするか・・・。」
仮面の魔導士はそう言うと、目を閉じて瞑想にふけるのであった・・。

 一方レイオスたちは、第三の地下迷宮である、大空洞の奥へと進んでいた。しばらく歩いていると、大きな空洞のある部屋にやってきた彼らは、レイオスの身長の何倍もの大きな魔物が倒れていた。
「何だこれは・・。これほど大きな魔物が動き出したら、俺たちひとたまりもないぜ・・。」
レイオスは倒れている大きなオーガを見て、そう呟く。
「バカね・・。この魔物はもう死んでいるわよ。心臓の鼓動も感じられないもの・・。」
リュミーネが倒れているオーガの腹に耳を当て、そう言う。
「これほど大きな魔物がこんなところに・・。これほど大きなオーガが地上界で暴れれば、島ひとつ制圧されてしまいそうだ・・。」
ブレアが倒れたオーガを珍しそうな表情で見ていた。これほど大きな魔物が見れる機会などめったにないので、彼は猛烈にオーガの周りを調べていた。
オーガの死体を珍しそうに見ていた3人の耳に、突然大きな地響きが起こった・・。
 「ん・・?何か大きな音が聞こえたような気が・・。みんな、気をつけろ!
レイオスは地響きの音に気づき、他の仲間に連絡する。
「私も聞こえたような気が・・。何かまた恐ろしいことがおきてしまう・・そんな気がするわ・・。」
リュミーネがそう言って地面を見ると、地面にひびが走っていた。
「地面にひびがっ!この床は今にも崩れそうだ!!僕たちと死んだオーガの体重で、もう限界なんだ!!!
ブレアがそういってレイオスたちを引っ張ろうとするが、引っ張ろうとした瞬間、突如地割れが起きた。
「しまった!!もう手遅れだ!
地面が割れ、レイオスたちは真っ逆さまに落下していった・・。

 レイオスたちは気がつくと、その目の前には大きな城がそびえ立っていた・・。
そう、それがレイオスたちの目指している魔導城である。
 「痛い・・・。レイオス、一体ここはどこなの?もしかすると天国っ!?
リュミーネは気がつくと、レイオスに話しかけてきた。
「落ち着けリュミーネ。ここは天国ではない・・。俺たちの目指す魔導城の前だ。あのときの地割れで、運よくここに落ちてきたんだ。」
リュミーネとレイオスの会話を聞いていたブレアが、話の中に入ってきた。
「あれ・・。みんな無事だったんだね。気がつくと目の前に大きな城が見えたんだけど、これって夢じゃないんだよね・・。」
ブレアがそう言うと、リュミーネと話をしていたレイオスが答えた。
 「おっ、ブレアも無事だったんだな・・。俺も一瞬夢かと思ったぜ。俺たちが死んでいないのも軌跡だ。あの死んだオーガと俺の周りの地面が落ちただけで、俺たちは無傷だった・・。それより、オーガの死体はどこに行ったんだ?
レイオスの言葉に、話を聞いていたリュミーネが疑問に思った。
「オーガの死体はどこにもないわ・・。一体どこに行ったのかしら・・?
レイオスたちは周りを見回したが、オーガの死体の姿がどこにも見当たらなかったのだ・・。

 しばらくした後、レイオスたちは魔導城に向けて歩き始めた。
「あの魔導城に、俺たちが倒さなくちゃならない仮面の魔導士がそこにいる!!今度こそ決着をつけてやるぜ!!
レイオスが決意の表情で、魔導城のほうを睨んだ。
するとレイオスの真似をするかのように、リュミーネが口を開いた。
「リリシア・・・。きっと私が戦わなくてはならない相手なのね。今度こそ決着をつけて差し上げますわ!!私だっていつまでも負けていられない・・。」
リュミーネがそう言うと、レイオスが答えた。
 「お前にも倒さなければならない相手がいるのか・・。まぁお互いがんばろうぜ!!
レイオスが深刻そうな表情のリュミーネを元気付ける。
「ありがとうレイオス・・。私もがんばるから・・必ず私たちと仮面の魔導士を倒しましょう!!
リュミーネがそう言うと、ブレアが話の中に入った。
「僕もがんばりますよ!!僕たちで悪を打ち倒そう!!
ブレアが手を出すと、レイオスとリュミーネが手を合わせた。
「俺たちで必ず仮面の魔導士を倒そうぜ!!なぁ、みんな!!今から魔導城に突入だ!!
全員が手を合わせると、レイオスが仲間たちにそう言うと、全員は魔導城へと向かっていった・・。

 魔導城の大きな門までやってきたレイオスたちの目の前に、門番の魔導兵が現れた。
「何だ貴様は!
魔導兵がレイオスたちの目の前まで来たとき、レイオスが門番の魔導兵を殴りつけた!!
「ぐわあっ!!
魔導兵はレイオスの拳の一撃を受け、その場に倒れた。
「さぁ、今のうちに城の中に入るぞ・・。あの門番を起こさないようにな・・。」
レイオスたちは門番が気絶している隙に、魔導城の中へと突入したのであった・・。

魔導城の中に突入したレイオスたち!
しかし魔力強化を受けたリリシアとベルが待ち受けているのであった・・。
さぁ、彼らはどう戦う!!

 

 

 

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