新章激闘編第五十一話 脱走魔獣オーガ!!

 

 レイオスたちが第三の地下迷宮を進んでいる間にも、魔導城から脱走したオーガは地下迷宮にいる残りの5人衆を次々と丸呑みにし、第三の地下迷宮の出口付近までやってきた。
 「ブルオオオオッ!!ブルオオッ!!
オーガはうなり声を上げながら、地下迷宮を破壊しながらさらに奥へと進んでいく。
それを追うかのように、ベルもそのオーガの後をつけていた。
 「オーガの足跡がまだ残っている・・。どうやらこの先にいるようだな。俺様になついていれば捕獲、もし襲ってきたなら殺すしかないな・・。それもまぁ運命だ。」
ベルはそう言うと、すぐさまオーガの後を追った。

 一方リリーナイツとともにレイオスたちを待ち伏せしているリリシアは、地下迷宮の奥から大きな物音を感じ、リリーナイツを配置した。
 「まさか・・レイオスたちが来そうな予感ね・・。」
リリシアが大きな物音がしたほうに振り向くと、その目の先にはには大きな魔獣がいた。
「ま・・まさか・・・これって魔導城で飼われているオーガじゃない・・・!?
リリシアは驚いた表情で、オーガを睨んだ。
するとオーガはリリシアに目を向け、警戒しているようだ。
 「私を食べようとしている気ね・・。ここはリリーナイツ!あなたの出番よ!!
リリシアはリリーナイツに突撃命令を下した。
その命令を受け、リリーナイツはオーガに向かって特効を開始した!!

 「命にかけても、リリシア様を守れ!!
リリーナイツの掛け声で、一斉に攻撃を開始するリリーナイツだが、怪力巨躯のオーガには何のダメージも与えられなかった。
 「ブルオオオッ!!!
オーガの拳が、リリーナイツの軍勢をずたずたになぎ倒す
しかし、リリシアの命を守るため、リリーナイツはあきらめなかった。
 「は・・歯が立たん!!ここはいったん退却だ!!
リリーナイツの一人である魔導魚兵が弱気になったのか、退却を命令した!
すると、リリシアが怒りの表情を浮かべた!
 「退却ですって!?敵前逃亡は許されないわよっ!!弱音を吐いたものは私が直々に殺しにかかりますわよ・・。それでもまだ弱音を吐く気なのっ!!
リリシアの言葉で、魔導魚兵は正気を取り戻した
「すなまい・・。リリシア様。戦線に戻ります!!
魔導魚兵が戦線に復帰した瞬間、そこには無残な光景がそこにあった。
リリーナイツの全員が、一人残らずオーガに食い殺されていたのだ・・。
 「お・・俺が相手だ!!
魔導魚兵が震える手で銛を構え、オーガに向かって突撃した!
しかし、オーガの大きな手でつかまれた魔導魚兵は、あっけなく食われてしまった・・。

 その光景を見たリリシアは、恐怖のあまり物陰に隠れていた
「リリーナイツが一人残らず食われるなんて・・。あの魔獣の胃袋はどうなってるのよ!!あれだけ食ってもまだ食べようとするんだから、もうほんとに嫌になっちゃうわ・・。」
リリシアがそう言うと、物陰から出た。
するとオーガはリリシアのほうを睨んでいた・・。
 「す・・すでに狙われているとはね・・。よっぽど私のこの美しい体を食べたいようね・・。でもそうは行かないわ!!あなたはここで死ぬのですからね!!
リリシアの言葉に怒りを感じたオーガは、リリシアに襲い掛かってきたのだ

 完全に頭に血が上ったオーガは、今にもリリシアに攻撃する態勢であった
「ブルアアアアッ!!
オーガがリリシアを殴りつけようとした瞬間、鉄扇の羽がリリシアを覆った。
「ガアッ!!
「バカね・・。私のフェザー・アーマーは誰にも破られたことがないの・・。でも、あの小娘には一回だけ破られてしまったけどね・・。」
リリシアがそう呟くと、一気に離れたところから術を放つ態勢に入った。
 「私もあんたなんかに負けてられないわ・・。ここで決着をつけるわ!私の魔導術をなめてもらっては困るわ・・。」
リリシアがそう言うと、その周りには混沌のエネルギーが体からあふれていた・・。
あふれ出す混沌のエネルギーが、彼女の体を包み込んでいた。
 「さぁはじめようかしら・・。迸れ邪悪!!吼え狂え混沌の力!この私をなめたこと・・徹底的に思い知らせてあげるわ!!魔導術・ディオ・デストラス!!
リリシアが術を唱えた瞬間、凄まじいほどの混沌の力がオーガを襲った!!
「ブルアアアアアアアッ!!
「はああああああああっ!!
リリシアはオーガを倒すべく、さらに魔力を込める!
しかし、オーガもその混沌の力をはね退けようと、必死であった。

 「ガアアアアッ!!
リリシアの術が、オーガに大きなダメージを与え、オーガは大きな音ともに地面に倒れた。
「これで終わりね・・。さっさと倒れなさい・・。」
リリシアがそう言った瞬間、オーガの体が再び動き始めた・・。
「な・・なんですって!?私の術が効かないなんて・・。このままでは私が食べられてしまうわ・・。このまま一気に逃げるか、もう一度最大級の術を放つ・・・でも今の私の魔力はもう残ってないわ・・。」
リリシアがあきらめかけたその時、オーガを追っていたベルが現れたのだ!
 「リリシア!!そこをどいてもらおう。そいつは俺の獲物なんでな・・。」
リリシアがその声のほうを向くと、いつもとは言葉遣いといい体格が違うベルの姿がそこにあった
そう、彼は仮面の魔導士の魔力強化を受け、数倍にパワーアップしたのだ。
 「ベ・・ベルなの・・・。そこにいるのは?
リリシアの言葉に、ベルが答える
「ふっ・・。俺の名はベルゼビュートだ。いつもどおりのベルって呼んでくれ。俺はオーガを追って地下迷宮に来たのだが、運がいいことに、リリシアと合流できたようだ。一緒に戦おう!お前だけの力ではあいつには勝てん!俺と力をあわせるんだ!!
パワーアップしたベルが、一気にオーガに攻撃した!
「受けてみろ我が魔弾!!デモニック・ブレット!!
ベルがベルトから魔銃を取り出し、オーガめがけて発射した!!
発射された魔弾は、オーガの体を貫いた!
「グギャアアアッ!!!
体を貫かれたオーガは、痛さのあまりうめき声をあげて暴れだした
「リリシア、奴の動きを止めるぞ!!術を放て!
ベルの言葉で、リリシアが術を放つ態勢に入る!!
「わかったわ!!魔導術・ダークネス・バインド!!!
リリシアの術が、オーガの動きを止めた。
その瞬間、ベルが魔銃を構え、オーガに狙いを定めた!
「あばよ・・オーガ!!喰らえ、ハートブレイク・ショット!!
ベルの放った魔弾が、オーガの心臓を貫いた!!
その瞬間、オーガは地面に倒れ、息絶えた。

 オーガとの勝負の後、リリシアはベルと話し合っていた。
「魔銃の威力は凄まじいほどだわ・・。ベルも強くなったわね・・。」
リリシアがそう言うと、さりげなくベルが答える
「あの魔銃は魔力強化を受けて変身した時点で持っていた・・。この銃は自分の体内で蓄えられたカオスエネルギーを弾にして発射する力を持っている。使いすぎれば、しばらく強力な弾が撃てなくなるからな・・。オーガに放ったハートブレイク・ショットは、かなりの量のカオスエネルギーを消費する大技だ。一度使えば自分にも反動が喰らうが、相手の心臓を確実に貫ける能力を持っているぜ!さぁ、リリシア、魔導城に戻ろうか・・。仮面の魔導士が首を長くしてお前の帰りを待ってるぜ・・。」
ベルがそう言うと、二人は魔導城へと帰っていったのであった・・。

リリシアとベルの活躍により、オーガを完全に葬り去った。
魔導城にたどり着くため、レイオスたちは歩き続けるのであった・・。

 

 

 

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