新章第四十話 死者の谷を越えろ!


ベルフェルトを倒すため、レイオスたちはダークシュライネに向けて旅を続けていた・・・。
あと2〜3時間で到着するぐらい距離であったが、まだ油断は出来ない。
魔の大陸に生息する凶暴な魔物がうろついており、これから危険な道を行くことになるのだ・・。

レイオスたちはダークシュライネに向かう道の3つの難関のうちの一つである死者の谷にいた。
「あと少しで到着だ!みんな行くぞ!
レイオスが一歩足を踏み入れた瞬間、地面に穴が開いた。穴の底には濃硫酸のたまった死の落とし穴だった!!
「うわぁっ!死ぬかと思ったぜ。」
「どうやらこの辺には侵入者を防ぐため、あちこち罠や落とし穴が配置されているようだね。きっとベルフェルトが仕掛けた罠みたいだ。」
ファルスがそう言うと、レイオスが答えた。
「これじゃあ進もうにも進めないじゃないか。どうやって罠や落とし穴があるかどうか確認できるんだ?
レイオスがそう言うと、ファルスは槍で地面をつついた。
すると地面に埋まった罠が浮き出してきた。
「武器や長いものを使って、自分の周りをつついてみな。罠や落とし穴が出てこなかったら通れる証拠だ。みんな、俺の後に続け!
ファルスは地面をつつきながら、レイオスたちは死者の谷を進んでいく。
「さすがに疲れる・・・。レイオス。代わってくれないか。」
ファルスは疲れたのか、レイオスに槍を持たせた。
「お前の言うとおりに槍で地面をつつけばいいんだな・・。」
「そうだ。ためしに一回やってみな。」
ファルスがそう言うと、レイオスは槍で自分の周りをつついた。
すると周りに落とし穴や罠が姿を現した。
「その調子だ。一気に進んでいくぜ!
ファルスがそう言うと、レイオスは地面をつつきながら歩いていった・・・。

「疲れた・・・。代わってくれ」
レイオスはボルガに槍を手渡した。
「まずはこうして・・・・・。」
レイオスはボルガに罠の見つけ方を教えると、ボルガはこう答えた
「槍はいらん。俺の鼻は罠や落とし穴を見分けられることが出来るんだ。」
その言葉を聞いてレイオスたちは吃驚した。
「おいおい、そんな能力を持っているなら早く言ってくれよ。」
ボルガはその優れた嗅覚で、罠や落とし穴を見つけ、ようやく死者の谷を抜けた。

死者の谷を抜けた先には、周りを崖に囲まれた円形の広い所に出てきた。
「気をつけろ、ここにも罠があるかもしれない!!
ボルガが罠の匂いをかいだが、罠の気配など無かった・・。
「罠はない。まっすぐ進むぜ!!
レイオスたちが出口を目指そうとした瞬間!女の姿をした魔物が空から降りてきた・・・。

「よく罠地獄をぬけてここまで来たわね・・・。私の名は超魔将軍メルフェレウスよ。炎と氷の巨竜を2体も倒してしまうなんてなかなか骨のある奴ね。だが、ここで終わりにしてあげるわ・・。」
メルフェレウスはそう言うと、腕を上に上げた。
すると地面から罠が現れた!!
「やべぇ!中央の安全地帯に逃げるぞ!
レイオスたちは急いで中央の安全地帯に移動した!

「私は1000年前のベリアルの怨念の姿であったが、ベルフェルト様に強力な闇の力を注ぎ込まれ、強くなったのよ・・。でも本来ならば男のままだったんだけどベルフェルトの些細なミスのせいで女になっちゃったわけなのよ!さぁ掛かってきなさい!安全地帯から出れば、罠地獄名物強力地雷によってあなたの体はバラバラに吹き飛ぶわよ。まず肉を投げるから良く見てなさい・・。」
メルフェレウスは安全地帯の外に肉を投げつけると、罠が発動し肉は跡形も無く燃え尽きた。
これはもう焼肉って言うレベルじゃない。
「これで分かったでしょう・・・。あなた達を強力地雷の餌食にして差し上げますわ。」
メルフェレウスはレイオスたちに襲い掛かってきた!

「まずはこれでも喰らいなさい!ダークフェザー」
メルフェレウスが翼から闇の羽を飛ばし、レイオスたちを安全地帯の隅に追いやっていく!
「まずいな。このままだと俺たち落とされて木っ端微塵にされてしまう!
レイオスたちが反撃の態勢に出た。
「喰らえ、エレメンタルバースト!!
レイオスの持つ二つの剣から、強力なエネルギー弾が迸った!
「フフフ・・、そんなもの私には喰らわないわ。」
メルフェレウスがレイオスのエネルギー弾を避けた!
「この技は簡単にはかわせないぜ!
レイオスが剣を振ると、エネルギー弾がメルフェレウスを追尾した!
「ギャアアッ!!
メルフェレウスはエネルギー弾の攻撃を受け、罠地獄に落ちていったが、片方の翼で強力地雷への接触を免れた。

「ふぅ、危なかったわ・・。あと少し遅かったら木っ端微塵に爆発していたところだったわ。」
メルフェレウスはレイオスの攻撃を受けても平気な表情であった。
「なんてやつだ!俺の攻撃が全く効いていない!
レイオスが困惑しているとき、頭の中で誰かが語りかけてきた・・。

「レイオスよ・・、奴の弱点は背中だ!背中さえ狙えば動きは止まる!動けなくなった隙に必殺技を出せ!結界が張っているため、天界からテレパシーで話している。結界が消えたら、幻影としてお前の元に現れるであろう。では、レイオスよ!この勝負、絶対に勝ってくれ!
その声の主はヴィンだった。
彼はどうやら天界からテレパシーでレイオスの脳に語りかけていたのだ。

「みんな、奴が後ろを向いたときがチャンスだ!奴の弱点は背中だ!
レイオスは全員にメルフェレウスの弱点を耳元で教えた。
「そんなヒマがあったら、掛かってきなさい!!
メルフェレウスがレイオスに向かって急降下をしたとき、咄嗟にリュミーネがメルフェレウスの背中をやりで力任せに突いた!!
「キャアアアッ!!
メルフェレウスの動きが止まった!
「こいつでフィニッシュだ!おりゃああああっ!!
レイオスは勢いをつけて、メルフェレウスに捨て身のタックルで安全地帯の外に吹っ飛ばした!!
罠地獄に落ちたメルフェレウスは、強力な地雷で体が木っ端微塵に焼き尽くされた!!
「ギィヤアアアアッ!

「うわぁっ!!
レイオスは攻撃の反動を受けたが、超魔将軍の一人、メルフェレウスを打ち破った!!
「ちくしょう・・。覚えてなさい!ベルフェルト様の所に行けば何度だって復活してくれるんだから!
メルフェレウスの魂が体から抜け出した。
「私に任せて!!
リュミーネが槍を天にかざし、光の力を槍の先に集中させた。
「これで成仏してあげるわ!浄光波!
槍の先から放たれた浄化の光が、メルフェレウスの魂を打ち抜いた!!
「キャアアッ!!ベルフェルト様ぁ〜!!
メルフェレウスの魂は浄化され、成仏した。

「はぁはぁ、この技を使うと魔力の消費が激しいので、あまり使いたくなかったのにぃ〜!!
リュミーネがそう言うと、鞄の中からマジックポーションを取り出し、一気に飲み干した。
「でもよかったじゃないか。成仏させなかったら、また復活して襲ってくるかもしれないところだったよ。」
ブレアがリュミーネにこう言った
「さぁ先を進もう!あと二つの難関を抜ければ、ベルフェルトの待つダークシュライネに突入できるぜ!みんな、気を引き締めていくぞ!
ファルスがそう言うと、レイオスたちはまた歩き出した。

「メルフェレウスがやられたか・・・。まぁいい。あと2体の超魔将軍がいるからね。彼らはダークシュライネに辿り着く前に超魔将軍の2体に殺されているかもね・・・。」
ベルフェルトが不敵な笑みを浮かべると、玉座の間を去った・・・。

せまりくる超魔将軍!!たちはだかる難関!!
レイオスたちの旅は、より過酷なものへと変わっていく・・・。

 

 

 

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