新章第二十九話 ひとときの休息

 

レミアポリスで行われる会議が終わるまで、レイオスたちは一週間の休暇となった。
勿論、その間、冒険は出来ないのだ。

その@ レイオスの休息 〜レイオスの過去〜

レイオスは故郷であるルドリーに帰り、村長の家に駆け込んだ!
「村長、中央大陸で臨時会議があるので一週間だけだけど、ここに戻ってきたぜ!
レイオスの言葉に村長が答えた
「そうか、ご苦労じゃったな・・。しばらくここで旅の疲れを癒すが良い。」
村長がそう言うと、レイオスはベッドに転がり込んだ・・。
よっぽど旅の疲れを引きずっていた。
「おお、レイオスや、お前に話したいことがあるのじゃ・・。もう今のお前さんなら、真実を知っても悲しまないだろう・・。」
村長がそう言うと、レイオスが耳を傾けた・・。

「レイオスよ、聞くのだ。お前は昔赤ん坊のころ、ヴィクトリアスで暮らしていた・・。だがある事情でこのルディア地方のこの村にお前を預けたのじゃ・・。その理由は、ヴィンの血を最も受け継いでしまったのだからだ。その強大な力を隠すため、この辺境の地にお前をルドリーのとある女の元に預けられたのだ・・。」
村長がそう言ったとき、レイオスが答えた・・。
「そうだったのか・・・!俺はヴィクトリアスに生まれヴィンの血を継いで生まれてきたということか・・・。」
レイオスが村長に問いかけた・・。
「そうじゃ。お前は確かにヴィクトリアスの1000年前にベルフェルトと戦い、世界を救ったヴィンの血を受け継いでおるのじゃ・・。そのヴィンによく似た青い髪がその証拠じゃ・・。それより一番謎なのが、前髪だけが銀色に輝いておることじゃ・・。」
知られざる過去を知ったレイオスは村長にこう言った
「俺、ヴィクトリアスに行ってくるぜ!俺の過去をすべて知るために!!
そう言ってレイオスは村長の家を飛び出し、ヴィクトリアスへと向かった・・。

ヴィクトリアスに着いたレイオスは、早速王の間へと向かった・・。
「王様よ、俺の過去のことを教えてくれ!
レイオスはヴィクトリアスの王に問いかけた!
「わしはお前のことなど知らん、帰ってくれ!!
王様がそう言ったとき、王妃が現れた・・。
「もしかして・・、レイオスなのね・・。」
王妃がレイオスを見てこう言った
「王妃様、俺のことを知っているのですか・・。ならば過去のことを教えてくれないか?
レイオスは王妃にこう言うと、王妃はこう答えた・・。
「教えてあげましょう・・。あなたの過去の出来事を。17年前、あなたが産まれた日、王が私にこう言ったの・・。「この子はヴィンの血を多く受け継いでしまった・・。この子がヴィクトリアスにいると、また闇の者と戦う定めを背負ってしまう・・。」とのことでした。ヴィンによく似た青い髪と、私の聖なる力の象徴でもある銀色の前髪・・。王はあなたを闇の勢力との辛い戦いに巻き込むわけにはいかなかったの。だからあなたをルディア地方のルドリーの民間の家にあなたを移すことなったの・・。王はこのヴィクトリアス、このフェルスティア全土が平和であってほしいと願っているということなのよ・・。」
王妃の言葉にレイオスはこう答えた・・。
「王妃様、真実を言ってくれてありがとう・・。しかし今は世界の危機なんだ。今まさにベルフェルトが復活しそうなんだ!だから俺は戦う!この世界全てを守るために!!
レイオスの言葉に王様はレイオスの元に駆け寄った・・。
「許せ・・レイオスよ。わしがこのままヴィンの血筋を眠らせていれば、この世界は破滅に向かっていたであろう・・。だからお前は一刻も早くベルフェルトの野望を阻止し、世界の破滅を止めるのじゃ!これよりわしは中央大陸のレミアポリスでの危機対策会議があるので失礼する・・。また会おう、レイオスよ!!
王がそう言うと、王は移動呪文で中央大陸にワープした!
「王様・・、王妃様・・、俺は必ず世界を救ってやるぜ!!
レイオスは新たな決意を胸に、ヴィクトリアスを後にした・・・。

そのA ボルガの休息 〜病気のいとこを救え!!

ボルガはグリザ地域の獣人と人の暮らす集落に帰ってきた・・。
「みんな、帰ってきたぜ!
ボルガが大きな声でそう言うと、息子達やいとこがボルガに駆け寄った!
「うわ〜ん!!ボルガ兄ちゃ〜ん!早くしないといとこのジュアが死んじゃうよ〜!
兄弟がボルガを引っ張り、家に連れてきた・・。

「はぁ・・はぁ・・。」
そこには苦しそうに呼吸をしていたいとこの姿だった!
「ジュア!!大丈夫か!?
ボルガがジュアに声をかけた!するとジュアが苦しそうにボルガにこう言った
「ボ・・、ボルガ兄ちゃん・・。来てくれたんだね。」
その言葉を聞いたボルガは、ジュアを抱えて医者の所に向かった。
「医者はおるか!!この子が病気で大変なんだ!
騒々しい出来事に医者が現れた・・。
「おお、この子を診てほしいんじゃな・・。ちょっと待っておれ。」
医者がいとこのジュアを抱え、診察室に運んだ。
そして10分が過ぎ、診察が終わった。

「医者よ、ジュアの様子は!!
ボルガが医者にこう問いかけた。すると医者の反応は良い出来事ではなかった・・。
「残念ながらこの子は「悪呪熱」という病に冒されているようじゃ・・。この子の病気を治すためにはグリザ山の奥地にある洞窟の奥深くの地底湖の聖なる水を飲ませてやれば、この子は治るのじゃが、その地底湖へ続く道はとても危険で、凶暴な魔物も棲んでいるのじゃ。それでもお前は行くのか?
医者の言葉にボルガがこう言った。
「行くしかないだろ!!俺がジュアを守ってやるよ!
ボルガの言葉に医者はこう答えた・・。
「お前がそういうなら止めはせぬ・・。必ず生きて戻ってくるのじゃぞ!!出来ればこの大きな水筒にも聖なる水を汲んできてくれ。お前が湖に向かう間、この子の手当ては出来るだけやっておこう!
ボルガは医者から2本の水筒を受け取り、いとこのジュアを救うために早速聖なる湖を目指すのであった・・・。

ボルガは襲い来る魔物たちを蹴散らしながら、聖なる湖に向かっていた・・。
「ジュア・・、お前は俺が必ず守ってやるからな!!
ボルガはただひたすら走り続けた・・。
走り続けること一時間、ようやく聖なる泉があるといわれる洞窟にたどり着いた!
「ここが・・、ジュアの病気を治すことが出来るといわれている聖なる水がある洞窟だな・・。」
ボルガは一気に洞窟の中を進み始めた・・。
「くそっ、魔物と血吸いコウモリめ、俺の邪魔をするな!!
たとえ魔物に襲われても、飛んでくるコウモリに血をすわれようとも、ボルガは決して怯むことなく湖がある最深部へと行くために、必死で走り続けた・・・。

洞窟の最深部までやってきたボルガは、地底湖の水を汲もうとした・・。
しかし、大きな水竜が湖から顔を出した!
「この泉の聖なる水は渡さん!!愚か者め、死ぬが良い!!
地底湖の竜・レイクサーペントがボルガに襲い掛かってきた!

「悪いがお前にはここで倒れてもらうぜ!喰らえ、獣王乱舞!
ボルガの強い一撃が、レイクサーペントに大きなダメージを与えた!
「喰らえ、ハイドロブラスト!
レイクサーペントの口から強烈な水流がボルガに放たれた!
「ぐああっ!!
ボルガは水流に飲まれ、湖の中に落ちた・・。
その隙にレイクサーペントの長い体でボルガを締め付けた!
「ぐっ・・、ぐはぁっ!!
ボルガは締め付けられて身動きが取れない!!
「どうだ・・、このまま水の中で朽ち果てるが良い!
レイクサーペントがそう言うと、さらにボルガを締め付けた!
「このままだと・・・、ジュアを救えねぇ・・。」
ボルガが諦めかけた瞬間、心の中でジュアの言葉が聞こえてきた・・。
「ボルガ兄ちゃん、がんばって・・。」
その言葉を聞いた瞬間、ボルガの体にすさまじいほどの力が沸き起こり、レイクサーペントの体を振りほどいた!
「俺はこんなところで負けるわけにはいかないんだ!!受けてみろ、獣王烈火拳!
ボルガは凄まじい速さで連続パンチをレイクサーペントに放った!!
「グルオオオオッ!!
凄まじい速さの連続パンチを受け、ボルガはレイクサーペントを打ち破った!

コポコポ・・・・
ボルガは水筒に水を汲み始めた・・・。
「さぁ、聖なる水を入手したことだし、集落に戻ろう・・。ジュアが俺の帰りを待っている・・。」
ボルガは病に苦しむジュアがまっている集落へとダッシュで来た道を戻って行った・・。

もう夜も更け、ボルガはやっとの思いで集落に戻ってきた。
「医者よ、聖なる水を手に入れてきたぞ!!はやくこの水をジュアに飲ませてくれ!
ボルガは医者に水筒を手渡した。医者はその水筒に入っている聖なる水をジュアに飲ませた・・。
「私の熱が・・・、治った!
ジュアが喜びながらそう言った!その言葉にボルガはこう答えた。
「良かった・・。本当に良かった!
その光景をみた医者が、ジュアにすべての経緯を告げた・・。
「お前の病を治すため、ボルガがたった一人で山奥の聖なる泉に向かい、病気を治す聖なる水をとってきてくれたのじゃ。お前の病気が治ったのは、すべてボルガのおかげじゃ・・。」
その真実を知ったジュアは、ボルガの元に駆け寄り、感謝の意を表した。
「ありがとう・・・。ボルガ兄ちゃん・・。」
その事情を影で聞いていた息子達がボルガに駆け寄った。
「ボルガ兄ちゃん!ジュアを助けてくれてありがとう!!
「これでまたジュアちゃんと遊べるんだ!君がいなかったらジュアちゃんともう遊べなくなっていたよ!
「ボルガさん、ジュアの命を救ってくれてありがとう・・・。」
こうしてボルガはジュアの命を救ったことにより、酋長から表彰され、一躍村のヒーローとなった!

その一日後、ボルガは酋長の家にやってきた。
「酋長よ、俺は絶対に世界を救って見せるぜ!!俺の大切な家族を守るために!
ボルガの言葉に酋長はこう答えた・・。
「行って来い!ボルガよ。必ず生きてこの集落に戻って来い!!わしはいつでもお前の帰りをまっておるぞ!!
酋長がボルガの後姿を見ながら、こう言った・・。
ボルガは、あと6日間、トレーニングに明け暮れるのであった・・・。


そのB ブレアの休日 〜火口に潜みし怪物〜

フレイヤード城に帰ってきたブレアは、早速城の自分の部屋に入り、眠りに着いた・・。
しかし、大臣がブレアの自室に入り、ブレアに話しかけてきた。
「ブレア、大変じゃ!火口の空洞で何かが起こっているようじゃ!このままだと噴火が起こりこのフレイヤードがマグマに飲み込まれてしまう!!
突然何が起こったのかを知らないブレアはこう答えた・・・。
「ふあ〜。一体何なのですか?火口の洞窟を調べてきてくれと・・・。」
ブレアがそう言うと、大臣がそう言った。
「この国の一大事じゃ。頼む!
大臣の言葉に押され、仕方なくブレアは火口の洞窟に向かうことになった・・・。

「このはしごを降りると、火口の洞窟に入れるはずだ。ブレアよ、頼んだぞ。」
ブレアははしごを降りて火口の洞窟の中に入った・・。
その洞窟の中は、いままで探索に行ったものがいない前人未到の洞窟であった。
「この奥に何かいそうな感じがするんだが・・・。」
そう言うとブレアは火口の洞窟の中を進んで行った。
進んだ先には、目の前にマグマの海が広がっていて、とても危険な一本道で、落ちれば跡形も無く溶けてしまう高熱の溶岩の海であった。
「こりゃ危ないな。だから誰も行ったことがないのか?
そう言ってブレアは一本道をダッシュで進んでいく・・。
しかしマグマの海から溶岩竜フンババが現れた・・。
「邪魔をするな!!これでも喰らえ、フレイムピラー!
ブレアが炎の柱をフンババに向けて放った!するとフンババは一瞬動きが止まった。
「よし、今のうちに最深部に進むぞ!
ブレアはそう言うと、一本道の先にある最下層に続く階段を降り、最下層へとやってきた・・。

「ここが最下層のようだな・・。ここの奥底に怪物がいるって聞いたが・・。」
ブレアが辺りを見回すと、その怪物が居た・・!!
「グルオオオ・・、我が眠りを妨げるものは誰じゃ・・。」
火口の洞窟の主であるフレイガがブレアに襲い掛かってきた!!

「やめるんだ!!これ以上暴れると本当に噴火してしまう!!
ブレアがフレイガを必死に説得した!しかしフレイガは興奮しているのか、ブレアの言葉には全く耳を傾けることは無かった・・・。
「うるさい!お前などこれであの世に送ってやる!マグマボム!
フレイガの口からマグマの塊を吐き出した!!
「こんなもので僕は倒せないよ!受けてみろ、ヒートブラスト!
ブレアが得意の剣技でフレイガを斬りつけた!
「グハッ!!なかなかやるな、だがこの技を受けて燃え尽きるが良い、マグマストーム!
フレイガの口から吐き出されたマグマの嵐が、ブレアを襲った!
「うわぁっ!!
ブレアはマグマの竜巻により身動きが取れない!
しかしブレアは強力な炎の力を放ちマグマの嵐を消し去った!
「わしのマグマストームが敗れるとは・・。」
フレイガが驚いている瞬間、ブレアの炎の剣技がフレイガに炸裂した!
「受けてみろ、赤竜剣!!
ブレアの剣先から炎の竜が現れ、フレイガを焼き尽くそうとする
しかしフレイガもぶれなの炎をかき消すべく、マグマの嵐で対抗していた!
「火口の主フレイガよ、これ以上このフレイヤードの地を壊すことは許さん!怒りの心を静めるんだ!
ブレアの炎の力が、さらに強力になり、炎の竜がフレイガを飲み込んだ!
「ガアアッ!!」」
フレイガは炎の一撃を受け、地面に倒れた・・。

戦いが終わり、ブレアはフレイガに話しかけた。
「フレイガよ、なぜこの火口の洞窟で暴れていたのだ?
ブレアがフレイガに問いかけた
「わしはずっと一人だった・・。何百年、何千年も一人ぼっちだった・・・。我が悲しみと寂しさを紛らわすために、この火口の中で暴れ、噴火で国中の住人を苦しめることで鬱憤を晴らしていたのさ・・。」
その言葉にブレアはそう答えた
「ならば僕に力を貸してくれないか!今まさに1000年前に勇者ヴィンに倒されたベルフェルトが復活しそうなんだ!君はもう一人じゃないんだ!僕と一緒に戦おう!
その言葉にフレイガはこう答えた
「お前の強さは、良く分かった・・。よかろう、私の力、使うが良い・・。」
ブレアは火口の主フレイガと召喚の契りを交わし、火口の主であるフレイガを召喚できるようになった!!

「ともに戦おう、フレイガ・・。僕と力を合わせてベルフェルトの復活を阻止するんだ!!
ブレアはフレイガという召喚獣を従え、闇の勢力との戦いに挑む!!
因みに彼は残りの6日間は召喚術の練習に励むのであった・・・。

そのC リュミーネの休日 〜親戚大集合&河童の謎〜

2
ヶ月ぶりに自分の村に帰ってきたリュミーネは、早速自分の家に向かった・・。
ドアを開けた途端、玄関にたくさんの靴が散乱していた・・。
「さては私がいない間に親戚が上がりこんでいるのか・・・??
リュミーネが居間に入った時、予感は的中した!

「おっ、リュミーネじゃないか。事情があってしばらくの間この家にいることになったのじゃ・・。この五日間、宜しく頼むぞい・・。」
親戚のおじいさんが話しかけてきた。
「ええっ、なんでここに来ているのよ!
リュミーネが親戚のおじいさんに問いかけた。
「いやいや・・。謎の大陸が浮上したことによって危険だと判断した私達親戚は、すべての国にいる親戚を集め、このウォルティアの実家に集まることに決めたのじゃ・・。」
その言葉にリュミーネがこう言った
「わかったわ・・・。親戚が集まる緊急事態ならいいわ。」
リュミーネがそう言った瞬間、大勢の親戚が現れた・・・。

「やぁリュミーネ、元気してたか。」
「リュミーネ元気してた!!私も元気してたよ!
「おっす!姉ちゃんがんばってるか?
たくさんの親戚が、リュミーネを出迎えた・・。
「私も元気してたわ・・・。でもね、今は冒険の最中で皇帝アメリアから危機対策会議のため一週間休暇になったの。」
リュミーがそう言うと、親戚のおじいさんがこう言った
「すまんがリュミーネ、君に頼みたいことがある。この山奥の上流のあたりに、河童の住むといわれている洞窟があるのじゃが、その洞窟の中にある地蔵様の前にこの地で獲れたきゅうりを持って地蔵様に供えに行ってほしいのだ。やってくれるか?
親戚のおじいさんがそう言うと、リュミーネはこう答えた
「わかりました・・。さっそくお供え物であるきゅうりを持って、上流の洞窟に行ってきます。」
リュミーネはお供え物のきゅうり3本を持って、上流の洞窟へと向かった・・・。

約一時間かけて、リュミーネは上流の洞窟に到着し、洞窟の中に入った・・。
「あったわ!この地蔵様にきゅうりを供えて、さっさと帰りましょう・・。」
リュミーが地蔵様にきゅうりを備え、静かに手を合わせ念じた・・。
「この世界が平和でありますように・・。」
リュミーがお供えを済ませて、帰ろうとしたとき、水の中から何かが飛び出してきた!!
「カッパッパーーーーーーッ!!
水の中から現れたのは!なんと河童の姿をした竜、カッパードラゴンだった!
「なっ・・、何!!
リュミーネが驚いていた隙に、お供え物のきゅうりを手にとり、すべて食べてしまった・・。
「それはお供え物のきゅうりなのよ!!返しなさい!
そう言うとリュミーネは水の波導を放ち、カッパードラゴンを迎え撃つ!
「カッパーッ!!
カッパードラゴンは口から水流を出そうとしたが、先ほど食べたきゅうりの一本がのどに詰まっていて水を吐くことが出来ない!
「困ったわね・・。私が取ってあげるからじっとしていなさい・・。」
リュミーネがそう言うと、カッパードラゴンの口に手を突っ込み、のどに詰まっているきゅうりを取り出した。
「この一本だけは、供えなきゃならない大事なものだから、食べちゃダメだよ!
リュミーネはそのきゅうりを再び地蔵様の元に返した・・。

ごたごた続きだったが、無事に地蔵にきゅうりを供えることが出来た。
「なぜ私を助けた・・・。」
カッパードラゴンの言葉に、リュミーネがこう答えた
「あなたがきゅうりをのどに詰まらせるから取ってあげたのよ。困っている人・・、いや生き物を助けるのが礼儀ってものよ・・。」
リュミーネがそう言うと、カッパードラゴンがこう答えた・・。
「そうか・・。俺はお前に助けられたというわけか・・。」
カッパードラゴンがそう言うと、リュミーネがこう答えた
「お願い!!私に力を貸して!ベルフェルトが復活したら世界が崩壊してしまう・・・。だから・・、私と一緒に戦って・・・。」
リュミーネの言葉にカッパードラゴンはこう答えた
「そうか・・。世界の危機が迫っているというのか!?ならば私がお前を守り抜こう!私の力、いつでも使うが良い・・・。」
リュミーネは水の竜カッパードラゴンと召喚の契りを交わし、カッパードラゴンを召喚できるようになった!
「ありがとうカッパードラゴン・・。がんばるね・・、私!!
リュミーネはそう言うと、親戚の待つ実家へと帰っていった・・。

「お供えはどうじゃったか、何者かにきゅうりを食われていないか?
「どうだった、河童に出会えたかい?」
「河童は本当にいるの!!
親戚が帰ってきたリュミーネにこう言った。
「河童のことね。見せてあげるから湖のほうに来て。」
そう言うとリュミーネは親戚一同を湖に誘い、召喚術を唱えた・・。

「水の力よ・・。力を貸して・・出でよ!!カッパードラゴン!
リュミーネはカッパードラゴンを召喚した!
「なんだなんだ・・。俺をこんな所に呼び出して・・。」
カッパードラゴンを呼び出したリュミーネは、親戚一同にこう話した・・。
「見てください、これが河童です・・。」
カッパードラゴンを見たリュミーネの親戚一同は口を合わせてこう言った・・・。
「こんなの河童じゃな〜い!!
非難の声を聞いたリュミーネは、さっさと召喚したカッパードラゴンを戻し、照れくさそうに自分の家に帰っていった・・・。

これからあと6日、大勢の親戚と休日を過ごしながら、召喚術の練習に励むのであった・・。

そのD ファルスの休日 〜悪夢の夢幻城〜

ファルスは帰っていく仲間達を見送った後、疲れたので自室のベッドで休むことにした・・。
長い冒険の疲れが溜まっていたのだ・・・。

一方中央大陸のレミアポリスでは危機対策会議が始まり、世界各国の王様が会議に参列した。
しかしその中にヴィクトリアスの皇太子が紛れ込んでいた・・・。

「よぉファルス、なんか元気ないなぁ!!
ヴィクトリアスの皇太子であるオルターがそう言いながら現れた・・。
「オルター、頼むから来ないでくれ・・。俺は熱があって大変なんだよ〜!
ファルスはオルターに言ったが、オルターは変える気配が無かった・・。
「熱が出てるか・・。なら俺が熱を測ってやろう・・。」
オルターが体温計を出すと、ファルスの脇に挟んだ・・。すると体温計の限界である42℃を超え、体温計が爆発した!
「なんてこったい!!こりゃあぶねぇぞ・・!!少し触ってみるぞ・・。」
オルターがファルスの額を触った・・。するとオルターはその熱さのあまり飛び上がってしまった!!
「熱ちっ!!何だこの体温は!?早くしねぇとファルスが自然発火してしまう!!ファルス、たしかお前は4人の仲間を束ねるリーダーという話を聞いたんだが、俺がお前の仲間に助けを呼んでやるぜ!
オルターはファルスにそう言うと、ファルスがこう答えた・・。
「ウォルティア・グリザ・ルディア・フレイヤードに行け。そこに仲間がいるはずだ・・・。」
その言葉にオルターはこう答えた。
「分かったぜ!俺がその4人を呼んでくるぜ・・。」
オルターは早速仲間をレミアポリスに呼ぶために、旅立つのであった・・。

しかし面倒だったのか、オルターは伝書鳩で仲間を集めることにした・・。
「足に手紙を巻いて、鳩に道しるべの魔法をかければ、ちゃんと届くだろう・・。」
その方法を使い、オルターは仲間達をレミアポリスに集めることにした。

伝書鳩を飛ばしてから数時間後、ファルスのピンチを感じ、レイオスたちがやってきた・・。
「話は伝書鳩から聞いた・・。ファルスがピンチなんだってな・・。」
「ファルスが大変のようだな・・。」
「どうにかしてファルスを助けてあげないと・・・。」
「僕もやります!!
レイオスたちがオルターにこう言った
「みんな、休暇中なのにすまない!!俺はヴィクトリアスの皇太子であるオルターだ。実はファルスが42℃を超える高熱にうなされているようなので助けてくれと言っていたんだ!!
オルターがそう言うと、全員をファルスの自室に案内した・・・。

「みんな・・・、来てくれたんだな・・・。」
ファルスが高熱でうなされながらもこう言った・・。
「当たり前だろ!お前がピンチだって言うから休暇中でも来てやったぜ!
レイオスがそう言った時、オルターが提案を思いついた・・。
「夢の中をのぞいてみたけれど・・。邪悪な力が働いて夢の中が分からないんだ!せめて夢の中に入れる道具があれば・・・。」
オルターが困った表情でこう言った・・。
「確かこの城の薬屋には・・・。夢魔の秘薬というものが売られていたような気がするんだ・・・。それを使えば夢の世界に入れると聞いたが・・。」
ファルスがそう言った瞬間、オルターが薬屋にダッシュで向かっていった!

10
分後、薬を手にオルターが戻ってきた。
「夢魔の秘薬を取ってきたぜ!!早くこいつを飲め!
レイオスたちは恐る恐る夢魔の秘薬を飲み干した・・・。
「うへぇ、苦い!
レイオスはあまりの苦さに顔をしかめた・・。
「これを飲んだ後に、ファルスに軽く頭突きをするんだ!そうすれば夢に入り込める!!
レイオスたちはオルターの言う通りにファルスに頭突きをした・・。
「ごちん!
レイオスたちは意識が抜け、ファルスの夢に入り込んだ・・。

目の前に大きな城がそびえたち、上空には闇のオーラが渦を巻いていた・・。
どうやらこれがファルスの夢の中らしい・・・。
「ここがファルスの夢の中か・・。なんか暗いイメージがありそうだな。」
レイオスがそう言うと、早速目の前にある城に突入した!

「夢の中といっても、所詮は現実の世界と同じじゃないか・・。」
レイオスはそう言いながら夢幻城を進んでいた・・。
しかし目の前に凶暴な獣が襲ってきた!!
「ブルオオオッ!!
その正体は夢の世界のみに生息する幻獣、バクであった!
「こいつは夢幻獣・バクだ!こいつは悪い夢を食べてくれるはずなんだが、僕達を悪い夢として食べようとしているんだ!今は倒すしかない!
レイオスたちが戦闘体勢に入り、バクに攻撃を仕掛けた!!
「喰らえ、波導の術!光電波!
レイオスは電気を帯びた光の矢を放ち、バクを攻撃した!
「次は俺だぁっ!!インファイト!
ボルガはバクの懐に入り、一気に連続攻撃を仕掛けた!
バクは大きなダメージを受け、地面に倒れた!
「やったか・・!?
レイオスがそう言って倒れたバクを見た・・。
すると倒れたバクが立ち上がり、レイオスのほうを向き、ニヤリと笑ってその場から去っていった・・。
「何だったんだ・・。あの生き物は?
レイオスがそう言って辺りを見回すと、何かが落ちていた・・。
「このビンに入った薬は何だ?
レイオスはブレアに薬を手渡した。
「これはバクの涙だ・・。これを使えば一瞬にして体力と魔力を回復できる超レアな薬なんだ。でも夢の中だけなので、現実世界に戻ると消えてなくなってしまうんだ・・・。」
ブレアは薬の識別を終え、先を進むことにした・・。

夢幻城の地下牢にやってきたレイオスは、牢の中に人がいることに気がついた!
「あれはファルスじゃないか!早く助けないと・・。」
レイオスはファルスの牢の檻を壊すべく、剣技をはなった!
「喰らえ、波導剣・雷迅・縦一閃!!
レイオスの剣技が炸裂し、牢の檻を打ち破った!
「レイオスか・・・。助けに来てくれたのか・・。」
すっかりエナジーを吸い取られやつれてしまったファルスが、小さな声でこう言った・・。
「早くバクの涙で回復を!!
リュミーネがビンに入ったバクの涙を全員に振りまいた・・。
するとやつれていたファルスの体に力が漲ってきた!!

「これで元気がでたぜ・・。さぁ王座の間に向かおう・・。そこにはもう一人の俺である「漆黒のファルス」が俺の夢を支配しているんだ・・。助けようとしても助けも呼べなくて・・。レイオスたちがここに来たようだからこれはもう俺だけの戦いじゃ無くなった様だな・・。はやく漆黒のファルスを倒し、目を覚ましましょう!
光迅のファルスがレイオスの仲間になった!!
「王座の間に向かうには大広間にある隠し通路を抜けていかなくてはならない!!まず大広間に向かおう!
ファルスがそう言うと、全員は大広間に行くことにした・・。

「たしかこの像の下に隠し通路があったような感じがするんだが、押してくれないか?
ファルスがそう言うと、全員は像を押し始めた・・。
すると像が動き、隠し階段が現れた。
「この先に漆黒のファルスがいるんだな!奴と戦うのはこれで3度目だな・・。」
レイオスは隠し通路を進んで行った・・。

進んでいるとバクが二体現れた!!
「こいつを喰らえ!!光迅槍・連撃・飛翔(ファルシオン)!!
ファルスは大空に飛び上がり、空から目にもとまらぬ速さで連続突きを放った!!
その攻撃を受けた二体のバクは、その場に倒れた・・。
「こんなザコに上級槍術はいらん!先をすすむぞ!
ファルスは隠し通路の先のはしごを上り、王座の間に来た・・。

「漆黒のファルスよ、もう俺の夢を支配するのはやめろ!!
ファルスの言葉を聞いた漆黒のファルスは、こう答えた・・。
「光の力と闇の力、どちらが要らないかここではっきりさせてやる!!
漆黒のファルスはいきなり襲い掛かってきた!!

「喰らえ、アビスストリーム!
漆黒のファルスの手から邪悪の波動が放たれた!!しかしファルスは巧みな槍術で闇の力を振り払った!
「こんな闇の力、俺が粛清してやる!光迅槍・風車!!
ファルスは槍を風車のように回し、闇の力をかき消した!
「ほう・・、光の力のほうが上手のようだな・・。ならば俺の強大な闇の力でお前の光を飲み込んでやろう!!喰らえ、アビスフォース!!
漆黒のファルスの強大な闇の力が、球体となりファルスに襲い掛かってきた!!
「俺も援護するぜ!!
レイオスがそう言ったが、ファルスがレイオスにこう言った!
「俺以外の者は手を出すな!!この戦いだけは俺がケリをつけなければならないんだ!!
ファルスはそう言うと、魔力を練りこみ始めた・・。
「防ぎきってみせる!!光波導の術!聖鏡防膜(ミラーコート)!
漆黒のファルスの闇の力を、ファルスは聖なる鏡の結界によってはじき返した!
「お、俺の闇の力が・・・!
漆黒のファルスは自分の闇の力で大きなダメージを受けた!

「これで分かっただろう・・。俺の光の力は決して闇の力には負けないんだよぉっ!!
ファルスの叫びが、漆黒のファルスを圧倒した!
「この野朗・・。俺をここまで怒らせたな・・・。」
漆黒のファルスがそう言うと、ファルスが挑発の言葉を放った!
「お前はただキレているフリをしているだけにしか見えんな・・。」
ファルスの皮肉な笑いが、漆黒のファルスの怒りが最高潮にたっした!!
「ふっ・・、ふざけやがって!こいつだけは殺す!殺してやるぞ!!
漆黒のファルスは闇のオーラを放ち、ファルスを圧倒したが、ファルスの表情は少し笑っている表情であった。その表情はまるで相手をバカにしているようであった・・。
「おーい、漆黒のファルスよ、お前が何に化けても俺には勝てんぞ・・。」
ファルスは馬鹿にした表情で漆黒のファルスを見つめていた・・・。

「俺の名は邪空神ファルス!!この姿にさせたことを後悔させてやる!!
邪空神ファルスがそう言っているのにもかかわらず、ファルスは口笛を吹いていた。
「これでも強くなったつもりか?」
ファルスがさらに挑発を仕掛ける!!
「おのれ・・、許さんぞ!これでも喰らえ、ダークメテオ!!
邪空神ファルスは闇の隕石を呼び出し、ファルスに向けて落とした!!
「悪いがこんな技、俺にとってはタダの石のようにしか見えんな・・。さぁ、そろそろ遊びの時間は終わりだ!!光迅槍・奥義!無限(メビウス)!
ファルスは落ちてくる闇の隕石をかわし、邪空神ファルスの懐に入り、その体に槍を突き刺し、そして無限の文字を描くように槍を何度も振り回し、その後に槍を振り下ろし相手を地面にたたきつけた!!
「ぐわぁっ!!
邪空神ファルスは漆黒のファルスに戻り、その場に倒れた!
「ふっ・・。闇は消えろ!!
ファルスは捨て台詞をはきながら、仲間達の元に戻っていった・・。

「なぜだぁっ!なぜ闇の力が光の力に負けるんだ!!本来ならば俺の闇の力が光の力を飲み込むはずなんだよぉっ!!
漆黒のファルスがそう言った!するとファルスが光の力を込めた拳で相手を殴りつけた!!
「俺の言うことを聞け!!俺を憎む気持ちを捨てろ!全てを憎み壊してはならん!!壊すのはベルフェルトを復活させようとするハルマゲルの野望のみ!レイオスやほかの者は決して壊してはならん!!
その言葉を聞いた漆黒のファルスは、改心した様子でこう言った・・。
「わかったぜ・・。お前の言うとおりにするぜ。お前は世界を滅ぼそうとする闇の力を壊すために俺はいることを教えてくれた・・。こいつをくれてやる・・。」
漆黒のファルスがファルスに槍を手渡した・・。
「こいつは漆黒の槍だ・・。俺の闇の力がこもった槍だが、圧倒的な光の力を持つお前になら使えそうだ・・。お前が俺の力を必要とするのなら・・。使うが良い・・。」
ファルスは漆黒のファルスと召喚の契りを交わし、召喚できるようになった!!
「そろそろこの悪夢がさめるようだな・・・。さらばだ・・、もう一人の俺よ・・。」
悪夢の夢幻城が消え去り、ファルスは悪夢から醒めた・・・。

「よかった!元気になったぞ!!
オルターがファルスにこう言うと、ファルスがこう答えた・・。
「俺は今まで、もう一人の俺と戦っていたような気がするんだ。悪夢の中にレイオスたちの姿が見え、俺を助けてくれた・・!?
ファルスは手に持っている槍に気がついた・・。
「そうか・・、悪夢の夢幻城は消えたがこの槍だけは消えない・・・。仕えなかった召喚術は今では仕えるようになっている!!夢の世界で起きた出来事は、現実になったんだ!!
ファルスはそう思うと、レイオスたちにこう言った・・。
「レイオスたちよ、休暇中に悪かったな・・。俺はもうこの通り元気だぜ!!もう用は済んだ。帰ってよいぞ。」
ファルスはそう言うと、レイオスたちを城の外に案内し、ベッドに寝ころがりまた眠りに着いた・・・。
次こそはよい夢が見られるといいですね・・。

 

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