新章第十話 ファルスが闇に染まるとき

 

煙の中、ブレアは必死にレイオスとボルガを探していた。
「死なないでくれ。僕たちは絶対君たちを守ってみせる!!
ファルスが煙を振り切っている間に、ブレアはレイオスとボルガを抱えて一気に走り出した!!
仲間を守るという気持ち、それだけがブレアを突き動かしていた。しかし彼の体は、二人の体重のせいで体に負担がかかり、もう限界であった。
「ぼ、僕は、絶対に二人を助けるんだ!!
ブレアはそう叫ぶと、最後の力を振り絞り、時空船の中に到着した!すると、時空船の扉が閉まった。
どうやらブレアの作戦は成功したのだ!

「おお、ブレア、二人を助けてくれたのね!!
リュミーネが心配そうにブレアに駆け寄った。
「はぁはぁ、間に合ってよかった・・・。はやく、タイムワープを・・・奴が、襲ってく・・る。」
ブレアはそう言うと倒れてしまった。
「はやく3人を回復室に!!
アメリアとリュミーネは傷ついた3人を回復室に運んだ。

回復の時間の間、アメリアはワープ先を考えていた。
「ふむ、エリス。ワープ先はパール暦1150年にワープしても良いかな。」
そう言うとエリスはこう答えた
「そうですね。ファルスが敵になった今、現在にはいられないですね。未来でファルスを元に戻す方法を知るために行くのですね。」
エリスがそう言うとアメリアがこう言った
「よし、それじゃあパール暦1150年にワープじゃ!!
アメリアはそう言うと、起動ボタンを押し、タイムワープを開始した。
タイムワープが開始された瞬間、時空船は消えた。
「させるかぁっ!!
ファルスが追撃を放つ!しかし船が消えた後だったので空振りに終わった!
「くそっ!!あいつらめ、このままでは済まさんぞ!
ファルスの抑えきれない憤りを見て、空間が歪み空間の神様が現れた!!
「お、お前は空間の神様!!なぜ私の前に!
ファルスは始めてみる空間の神様に驚きを隠せなかった・・。
「わたしは空間の神、オパルドだ!まずは貴様のことを話してもらおう・・。」
空間の神様オパルドはファルスにこう問いかけた
「おれは漆黒のファルスだ!光迅のファルスという名はもう捨てた。私は闇黒将軍ウェルガスから頂いた闇の力に感謝してるぜ!お前は空間の神様といったな。ならば俺と協力し、レイオスたちを消し去ってやろうではないか!!
ファルスが空間の神様にこう言った。
「貴様の話は、良く分かった。さぁ、何を望むのだ。」
空間の神オパルドがファルスにこう問いかけた。
「俺に力をくれ!いつでも好きな時代、そう!空間を切り裂きその時代にワープできる力をくれ!!
ファルスがそう言うと、空間の神オパルドがファルスの頭に手を当てた・・。

「ちょっとまて!!

一斉に走ってきたのは暗黒将軍ウェルガスとは別の将軍だった。
「紹介が遅れたな。私は暗黒将軍ガルデクスだ。ファルス!お前に私の力を!!
そう言うとガルデクスはファルスの頭に手を当てた・・。
二人の力が、ファルスをより強力にパワーアップさせた!!

「おおっ!!この漲る闇の力!最高だぞっ!
ファルスの闇の力がより一層強くなった。
「どうだ、ファルスよ。その爪は空間を切り裂き、貴様が望む時代に行くことが出来る。これを使い、レイオスという者を倒してみろ!!
空間の神様オパルドはそう言うと、空間の歪みの中に消えていった・・。
良く見ると、両肩の二つあった真珠が一つが無かった。
そう、その一つは、過去に行ったレイオスが手に入れていたのだ。

「レイオス!今からお前の元に向かう!俺は絶対お前を血祭りに上げてやる!!
ファルスはそう言うと爪を突き出し、空間を切り裂いた!
「いけぇっ!!ディメンジョン・スラッシャー!!
ファルスはその切り裂いた空間の歪みに飛び込んでいった。
すべてはレイオスを倒すために・・・。
なぜファルスが闇の力に魅入られたのか・・・。
それはウェルガスとの戦いでおきた。
時空船を無事に過去の世界に行かせるために、自らの命をかけてファルスはたった一人でウェルガスの攻撃をかわしながら、時間を稼いでいた。
「いつまでも逃げ切れると思うなぁっ!!
ウェルガスが闇のオーラを放ち、煙が一瞬にして消え去った。
そしてウェルガスがファルスに猛烈な闇の技を繰り出した!
「わが魔奥義、受けて見ろ!ダークネスサンダー!!
ウェルガスの手から邪悪なエネルギーの混じった雷がファルスの体を撃ち抜いた!
「がはぁ!!
雷の一撃で、ファルスの体が、宙に浮いた。
「くらえっ!!
ウェルガスの容赦ない連撃が襲い掛かる!!
ファルスが地面に倒れるまでに約2秒間に3000発のパンチを浴びせられた。
カ○○キーなんて目じゃない。まるで一瞬のうちにウェルガスが三面六手の阿修羅ような勢いでファルスを殴りつけた後、地面に崩れ落ちた。

「どうした?もう終わりか!!
ウェルガスはファルスの頭を踏みつけながらこう言った。しかしファルスには立ち上がるほどの体力は残ってはいなかった。
「そうだ!このまま惨殺するのには惜しい存在だ。こいつをわれわれの仲間にするためには、まずは時空船に乗って過去に行ったレイオスたちに関する記憶を消させてもらうぞ!!
そう言うとウェルガスはファルスの頭に手を乗せて、念じた。
「や、やめろ!やめろぉぉぉぉっ!!!
ウェルガスはファルスの頭からレイオスに関する記憶を消し去った。ウェルガスの手がファルスの頭から離れた後、ファルスの頭の中は真っ白になったようであった。
「ほう、完全に記憶が無くなった。それではお前には我が闇の力を与えよう!カァーッ!!
ファルスの体に闇の力が注ぎ込まれていく・・・。その注ぎ込まれる闇の力に光の力は一瞬にして失われた。ファルスはウェルガスに洗脳され漆黒の戦闘マシーンに変わった。
「おおっ!!この闇の力!最高だ!!
ファルスがそう叫んだ!!
「では、お前にはここで待っていてもらおう。必ずここに時空船が帰ってくる。そこで待っていれば、レイオスが必ずやファルスを心配して駆けつけるであろう。そしてそのスキにレイオスの首をお前の剣で斬り落とす作戦だ。どうだ!!
ウェルガスの作戦にファルスは躊躇うどころか賛成の意を表した。
「おおっ!いい作戦ではないか。必ずしもレイオスたちを抹殺してやるぜ!!
これが光迅のファルスが漆黒のファルスに変わった瞬間であった。
もう昔の光の力は感じない、今は黒き闇の力に魅入られし闇黒の戦士と化し、もはやかつての正義の心はなくなっていたのであった。

一方、レイオスたちの回復、そして未来へのタイムワープが終わり、全員が席に着いた。
「今から私がお前たちに力を与えてやろう!ハアアアァァッ!!
アメリアはそう言うと4人の勇者に力を与えた!
「俺の体にどんどん力が漲ってくるぜ!!
「これであのファルスをギャフンといわせてやるぜ!!
「僕はこの力でファルスを元に戻してみせる!
「もう誰も傷つけさせない!絶対にファルスを元に戻して見せますわ!
4人の体に新たな力が身についた。
「力も、早さも格段にあがったようだ。私はもう疲れた。後はおぬし達で未来の世界を見てきてくれ。」
アメリアはそう言うと自室に戻り、眠りに着いた。
そうなるとアメリアは2日間眠り続けるであろう。よほどのことが無い限り寝ることがないアメリアだったが、今回は勇者たちに力を与えたので、限界であった。

「俺たちでやるしかないんだ!
そう言うと、レイオスは時空船メルファの扉をあけ、未来の大地を踏みしめた。
すぐそこに街があった。レイオスたちは早速町へと向かっていった。
「何だこりゃ!?車が空を飛んでるぜ!
レイオスたちは驚愕した。そんなものが彼らの時代にあるのだろうか?空を飛ぶ車、線路を走るリニアトレイン、そして彼らの目に映る大きなビルディングが、彼らを見下ろしていた。
「まずは酒場に行き、情報収集だ!
そう言うと彼らは路地裏の酒場に向かった。
「マスター、いい情報ないか?
レイオスは酒場のマスターにこう言った。
「そういや今の時代自己防衛のためにブースター装置が売れているのだが、今じゃブースターがどこの店でも売り切れなんだ。ブースターは小さな箱のようなもので、使い方はブースターに魔力を込めれば使用者が望む力と鎧が装着されるんだ。しかもその鎧は着脱が可能だ!備わった力は消えることが無く、かなりの力が身につくんだ。しかしそのブースター装置は使いきりで、一度使えば使えなくなってしまうので、よく考えて使うことだな。お前さんにはこの試作品のブースターをやろう。それぞれ属性があるんだが。選んでくれ!
酒場のマスターがそう言うと試作品のブースターを出した。
「俺はライトニングブースターをもらうぜ!
「俺はこのワイルドブースターで決まりだ!!
「僕はフレアブースターをもらうよ。」
「私はこのセイントブースターをもらうわ。」
全員は試作品のブースター装置を受け取った。
「このブースターは試作品で、とてつもないエネルギーが入っているんだ。製品版のほうは人を傷つけないように力が制御されているんだ。君たちになら使いこなせる・・・」

ドカーン!!
突如爆発が起こった!!
爆発の衝撃で、酒場に穴が開き、その穴から人影が現れた。
「おうおう!!金目の物置いていけや!!
「殺されたくなかったら俺たちの言うことを聞けぃ!!
突如鎧を着た男たちに襲撃を喰らった。
「あ、あいつらはこの酒場ばかりを狙う強盗でもあり違法ブーストバトラーだ!ここ最近違法ブースターを使っての犯罪が増えているんだ!!さっきの奴らは違法改造されたブースターを使っているんだ!逆らわないほうが身のためだ!ここは私に・・。」
酒場のマスターがそう言うと、レイオスが胸を叩いてこう言った
「俺たちに任せろ!!
レイオスたちは違法ブーストバトラーの前に立ちはだかった。
「何だお前は、やるのか!!
「ヘッヘッへ・・・。面白ぇ。たっぷり痛めつけてやるぜ!!
違法ブーストバトラーはレイオスたちに挑発的な言葉を投げつけた!
「悪者め、これ以上悪さはさせないぞ!みんな、さっきもらったブースターを出して魔力を込めるんだ!
レイオスたちはブースターを手に取り、魔力を込めてこう叫んだ!
「ブースター・エヴォリューション!!
レイオスたち4人の体が、まばゆい光に包まれた!!

はたして、レイオスはブースター装置を使いこなし、違法ブーストバトラーに勝つことが出来るのであろうか!?
ファルスを戻すために、彼らの運命の歯車が大きく回り始める・・・!!

 

 

 

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