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蘇生の章2nd第七十三話 神殿に隠されし陰謀

 ヘルヘイム宮下町に到着したクリスたちは、目的の場所であるミリアゴーシュ神殿を探すべく町の人から聞き込みを開始する。町の人の話によるとミリアゴーシュ神殿は宮下町の東に位置しており、そこにはヘルヘイムの将である死霊王ジャンドラが頻繁に出入りしているということで、町の人たちは恐怖のあまり近づかなくなってしまっているとのことであった。クリスたちは町の人からの情報を頼りに、ミリアゴーシュ神殿へと向かうのであった……。

 

 町の人からの情報を元にミリアゴーシュ神殿へと辿りついたクリスたちは、早速神殿の扉を開けてミリアゴーシュ神殿の内部へと突入する。クリスたちが内部へと来た時、見回りをしている二人の僧侶がクリスたちの前へと向かってきた。

「貴様ら…ミリアゴーシュ神殿に何の用があってここに来たのだっ!!

「この神殿の主であるジョロキア様の命により…邪魔する者は排除しますっ!!

二人の僧侶が武器を構えてクリスたちに襲いかかろうとした瞬間、神殿の奥から何者かが現れ、二人の僧侶に武器を収めるようにと告げる。

 「武器を収めるがいい…ハラペーニョ、アマリージョよ。少しその者たちと話がしたいのだ!!

武器を収めるようにとのジョロキアの言葉に、この神殿の大司祭であるハラペーニョが反対の意見を告げる。

「ジョ…ジョロキア様っ!?いいのですかその者は侵入者ですぞ!!私の手で排除しなければ……!!

「ハラペーニョよ…排除したい気持ちはわかる。だがここはあの者たちとの話を終えてから考えるのだ…。」

ジョロキアに諭されたハラペーニョは武器を収め、クリスたちから下がっていく。二人の僧侶がクリスたちから離れた後、ジョロキアがクリスたちの前に現れる。

「ほう…ヘルヘイム法王庁の大司教ハバネロを倒したものというのは君たちのようだな。ハバネロは死ぬ間際、私に君たちの情報を送ってきてくれたおかげで君たちがジャンドラの部下である要塞女帝イングリッドと邪聖太后パプリカを倒したという事は全てお見通しだ。私の名はジョロキア…このミリアゴーシュ神殿を統べる者だ。ハバネロを倒し伝説の武具のひとつである『ディアウスの鎧』を手に入れたというのなら…君たちの力は私と戦えるほどの強さを持っていると見た。よし…私と戦い勝利することができれば、私が保有している伝説の武具『サレウスの兜』を君に授けよう。だがこの場で戦うわけにはいかん…君たちが私の待つ地下三階に来れたら君たちと戦おう。ただし地下一階に大司祭ハラペーニョ・地下二階には呪幻導士アマリージョを配置し、君たちの力量を確かめさせてもらうぞ。命がけで私の二人の部下を倒し、私の待つ地下三階へと来るのじゃ。全力で立ち向かわなければ…君たちは私のもとに来る前に死ぬであろうっ!!では私は地下三階で待っているからな。ハラペーニョ、アマリージョよ、私についてまいれ!!

ジョロキアが二人の僧侶についてくるようにと告げた後、ジョロキアは神殿の祭壇に立てられているジャンドラの像を動かし、二人の僧侶とともに地下へと続く階段を下りていく。

「ジョロキアたちはジャンドラの像の下にある隠し階段から地下へとおりて行ったわ。みんな、私たちも地下へと向かいましょう。」

ジョロキア達が地下へと移動を始めた後、クリスたちは隠し階段を下りて地下一階へと向かう。神殿の地下は何やら生物実験をした形跡があり、不気味な雰囲気を漂わせていた。

「高貴な雰囲気の神殿の地下に…こんな不気味な研究施設があったなんて!!一体ここで何が行われていたのかしら?

クリスがそう呟いた瞬間、ジョロキアの部下であるハラペーニョがこの神殿の地下にある施設はジャンドラが反魂術の実験をする研究所だと告げた後、クリスたちのもとへと歩いてくる。

「教えてやろう…このミリアゴーシュ神殿の地下では、ジャンドラ様が反魂術の実験をしていたところだ。反魂術とは…生けとし生ける者の死骸を再構築し、死者の魂を上乗せすることで元通りに生き返らせることができる呪術だ。ジャンドラ様はこの反魂術を利用し、ヘルヘイムの兵団を作りあげたのだ。おっと、長話は終わりにしよう…我が名は大司祭ハラペーニョ、ジョロキア様の左腕として仕える者なり。侵入者たちよ…まずは私が相手だ!!

ハラペーニョがクリスたちにそう告げた後、杖を構えてクリスたちに襲いかかってくる。クリスたちはハラペーニョの先制攻撃をかわした後、武器を構えて戦闘態勢にはいる。

 「先手を取られてしまったが…ここから反撃開始よっ!!みんな、あいつは僧侶といえども魔力は強力だから絶対に気を抜いちゃだめよ!!

クリスが仲間たちにそう伝えた後、全員はそれぞれ配置につきハラペーニョを迎えうつ。全員が武器を構えてハラペーニョと戦う中、ディンゴはボウガンに着弾した敵の魔力を奪う特殊な弾丸を装填しハラペーニョに狙いを定める。

「ハラペーニョとかいう奴は武器での戦闘力は低いが、魔力が相当高いようだな…ここは着弾対象の魔力を奪う『減魔弾』で攻めたほうがよさそうだな。こいつは魔力を奪う毒草を使って作られた弾丸だからな。」

ディンゴは精神を研ぎ澄ませながら、ハラペーニョに照準を合わせて引き金を引く。ボウガンの発射口から放たれた減魔弾は大きくスピードを上げ、ハラペーニョへと向かっていく。

「ハッハッハ…私の魔術を受けるが……っ!?

ハラペーニョが術を放つべく杖に魔力を込めようとするが、うまくいかず術を放つことができなかった。その理由は、ディンゴが放った減魔弾がハラペーニョに命中し、彼の魔力を封じ込めていたからであった。

「みんな…奴の魔力は俺の滅魔弾で封じてやったから、一気に総攻撃で攻めろっ!!

全員で総攻撃を仕掛けてハラペーニョを攻めろというディンゴの言葉の後、クリスたちは武器を構えてハラペーニョに次々と攻撃を仕掛けていく。クリスたちの怒涛の連携攻撃を受けたハラペーニョは大きなダメージを受け、地面に膝をつけて崩れ落ちる。

 「うぐぐ…なんてことだ。大司祭である私が倒されるとは…っ!!だが私の次にいるアマリージョは幻覚を操る術師、私よりは魔力は下だが幻術は厄介な魔力だ。ジョロキア様侵入者に負けてしまったふがいない私をお許しくださいっぐふっ!!

ハラペーニョがクリスたちにそう言い残した後、ハラペーニョの体は灰となり跡形も無く消え去った。

「よしっ!!ハラペーニョは撃破したから次はアマリージョが相手ね。あいつの言葉によるとアマリージョは幻術を使う難敵だから、惑わされないように注意しなきゃいけないわ。みんな、早く地下二階へと向かいましょうっ!!

ハラペーニョを倒したクリスたちは、次の相手であるアマリージョの待つ地下二階へと向かうのであった……。

 

 一方地下三階でクリスたちを待つジョロキアのもとにアマリージョが現れ、ハラペーニョが倒されたという旨をジョロキアに伝える。

「ジョロキア様、ハラペーニョの生体反応が消えました。どうやら次は私のようです…必ずや私がハラペーニョの無念を晴らして見せましょう。」

「ふむ…ハラペーニョを打ち倒すとはなかなかの実力を持っておるようだな。アマリージョよ、お前の得意な幻術で侵入者たちを惑わし、じわじわと破滅の道に追い込んでやるのだ!!

ジョロキアからクリスたちを倒すようにと命令された呪幻導士アマリージョは、ジョロキアに一礼した後、自分の持ち場である地下二階へと向かっていく。

 「はい…ジョロキア様。必ずやハラペーニョを打ち倒した侵入者をこの手で葬り去ってみせましょう。ではジョロキア様…私は侵入者を排除するため地下二階へと向かいます。」

アマリージョはクリスたちを迎え撃つべく、神殿の地下二階へと向かっていった。一方ハラペーニョを倒したクリスたちは、神殿の地下二階へと来ていた。

「う〜ん。ここも気味悪いところね…早くジョロキアとかいう奴を倒してさっさと出ましょう。」

地下二階も地下一階と同様、ジャンドラが反魂術の実験に使用していたとされていた研究施設であった。ここでは人間の死体を利用し、異形の魔物を作り出す装置などが置かれていた。

「ジャンドラの奴、人間の死体を利用して魔物を作り出していたとはね。そしてその人間の魂はその反魂術で魔物に定着させて動かしているんじゃないでしょうね。いや、エルーシュはジャンドラが使う反魂術で生き返ったけど…昔と変わらぬ姿だったから、もしかすれば奴は戦力となる人間だけを元の姿で生き返らせている可能性もあり得るわね…。」

リリシアのその言葉の後、ジョロキアの部下であるアマリージョが呟きながらクリスたちのもとへと歩いてくる。

 「そうだ…ミリアゴーシュ神殿の二階はジャンドラ様が人間を異形の魔物を作り出す施設だ。死体をこの研究施設に持ち込み、反魂術の研究に励んでいたのだ。十分な戦闘スキルを持つ有能な人物の場合は異形の魔物に変えず、そのままの姿で生き返らせて自分の戦力にするのだ。おっと、自己紹介が遅れたな。私の名は呪幻導士アマリージョ…ジョロキア様の部下であり幻を操る者。さぁ、かかってくるがいい…そなたらの体も…ジャンドラ様の研究材料にしてくれよう!!

アマリージョは杖を構え、得意の幻術を披露する。アマリージョが幻術を唱えた瞬間、クリスたちは幻に包まれ、アマリージョの姿が見えなくなる。

「な…何が起こったの!?突然目の前が真っ白になっちゃったわ。」

「どうだ、私の姿が見えぬか。我が幻術は相手を惑わし空振りを誘発させる術だ。私はその術のエキスパートだ…貴様らの攻撃は全て私には当たらない。」

アマリージョの幻術によって、クリスたちは一気に混乱に陥ってしまった。

「ちくしょう!!幻覚で標的が定まらないこれじゃボウガンを撃ったら仲間に当たってしまう。どうすりゃいいんだ!!

「幻に包まれた以上…術を放てば仲間たちに当たっちゃうわ。まずはこの厄介な幻を払いのけた後で反撃に出るしかないわっ!!

アマリージョの幻術によって混乱するクリスたちは、やみくもに攻撃しては仲間に攻撃してしまう不安により攻撃できずにいた。

 「フハハハハッ!!どうだ我が幻術に苦しんでいるみたいだな。ならば私から行かせてもらうっ!!

幻術に惑わされ身動きの取れないクリスたちをよそに、アマリージョは閃光の術でクリスたちを徐々に追い詰めていく。

「くっ…私たちが幻術を喰らって身動きが取れないのをいいことに、奴はやりたい放題じゃないの!!もう我慢できないわ私の赤き炎の魔力で一掃して差し上げますわっ!!フレイム・ウェイブっ!!

身動きの取れないのをいいことにクリスたちを痛めつけるアマリージョに怒りを感じたリリシアは赤き炎の魔力を両手に集め、炎の衝撃波に変えて周囲一帯を焼き払う。赤き炎の衝撃波はアマリージョに命中したのはいいが、周りが見えないせいでクリスたちにも被害が出てしまった。

「うぐぐ…広範囲の術を用いて私を狙う作戦に出るか。だが貴様の作戦は仲間たちを傷つけることになってしまったようだな。さぁ、幻の中でじわじわと破滅への道を進んでいくのだ…ハハハハハッ!!

アマリージョがリリシアを嘲笑する中、ゲルヒルデは大きな声でリリシアに大丈夫だと告げた後、指先に聖なる魔力を集めて光の波動を放つ。

「私たちは大丈夫ですっ!!リリシア様ここは私が光の波動で幻術を打ち破ります!!

ゲルヒルデの指先から放たれた光の波動は、アマリージョの幻術をかき消す。幻術が破られたことを知り、アマリージョは驚きのあまり言葉をなくす。

「うぐぐ…我が幻術が破られた!!だが私は貴様らに負けるほど甘くはないわっ!!

アマリージョが杖に魔力を込めて閃光の術を放とうとした瞬間、天帝の剣を構えたクリスは魔を討ちはらう剣技を繰り出し、アマリージョの体を十字に斬り付ける。

 「天帝の剣に宿りし光の魔力よ…魔を討ちはらう斬撃とならんっ!!十字討魔斬(クロス・ブレイク)!!

クリスの聖なる斬撃を受けたアマリージョは、その場に倒れ息絶えた。アマリージョを退けたクリスたちは、急いでその場を後にし地下三階へと向かう。

「後は地下三階にいるジョロキアのみ…奴を倒せばサレウスの兜が手に入るわ!!奴を倒せば全ての伝説の武具がそろうわよっ!!

クリスたちは階段を駆け下り、ジョロキアの待つ地下三階へと向かっていく。はたしてクリスたちは神殿の主である暴虐皇帝ジョロキアを倒し、伝説の武具であるサレウスの兜を手にすることができるのか…!?

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