新章激闘編第四十五話 ファルスとの別れ

 

 魔導学校を魔導基地にする計画をレイオスたちによって挫かれた仮面の魔導士とその一味は、魔導の島の地底にある魔導城のとある一室にいた。
「ふっ・・。このぐらいの傷ならこの回復装置に浸かれば回復できそうだ。ベル、リリシアをその中に入れろ。」
ベルが栄養液がたくさん入っているカプセルの中にリリシアを入れた・・。
すると、カプセルの蓋がひとりでに閉まった。
 「この状態では、リリシアは息ができなくて死ぬのではないかと・・?
ベルが問いかけると、仮面の魔導士が答える
「この栄養液の中では、ちゃんと息もできる・・。心配しなくてもいいぞ、ベル。」
その言葉を聞いたベルは、安心そうな顔をした。

 魔導城の研究室に来た仮面の魔導士は、大きなカプセルに手をつけた
「どうやらレイオスは我々の居場所が分かったようだな・・。魔導戦艦であったときとは少しは強くなったようだが、まだまだ未熟な点がある。」
仮面の魔導士が呟くと、5個の大きなカプセルを開け始めた・・。
カプセルの隙間から、魔物のような目が映っていた。
「こいつらだけは使いたくはなかった・・。お前たちはこの魔導城に通じる地下迷宮に行き、レイオスたちを倒してまいれ!!
開いた5個のカプセルの中から、魔獣が現れた!!
カプセルから出た魔獣たちは、一斉に地下迷宮に向かっていった・・。
 「フフフ・・。上手くやってくれればよいのだが・・。私はここで人間から奪ったエナジーで自分を改造するとするか。まぁあの二人にも改造を施してやれば、さらに強力な力が手に入り・・・クックック・・。」
仮面の魔導士は不気味に微笑むと、城の中の自分の部屋へと戻っていった・・。

 一方レイオスたちは、仮面の魔導士を追って、戒めの谷底がある怨恨の谷に向かっていた
「ダグさんの言うとおり、魔導の島の西域にある戒めの谷底を目指せばいいんだな・・。」
レイオスはそう言いながら、魔導の島の西へと向かっていく。
すると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「レイオスさん!!私ですよ、セディです!!
目の前に現れたのはセディエルであった!
 「ええっ!!?なぜセディエルさんがここに・・。」
不思議そうにレイオスが言うと、セディエルは笑顔で答えた
「実は、魔導学校の襲撃のときに、結界装置が破壊されたので、何とかここに来ることができました。じつはあなたたちに訳があってここに来たのですが、実は中央大陸では私たちの他にいる密偵の天使を狩るために、仮面の魔導士が創生した魔獣が襲ってきたのです!!そのほかにも、いろいろな地域でも魔獣が発生し、地上の戦士たちでは歯が立ちません。そこで、あなたたちの仲間を、援護のために中央大陸に一人ください!!
セディエルの無茶な言葉に、全員は固唾をのんだ。
「ダメだ。僕たちの仲間は渡せない!
「誰か一人が欠けると、これからの旅に支障が出てしまうわ・・。」
「セディエルさん、ここは我慢してくれ。俺たちも仲間がいないと大変なんだ・・。」
3人は仲間を渡せない気持ちでそう言うと、セディエルが答えた
「どうしてもダメですか・・。なら私が戦いま・・・。」
「待ってくれ!!
ファルスがいきなりセディエルに言った。
「セディエルさん。ここは俺を中央大陸へと移動させてくれ。レイオスたちのリーダーであるこの俺なら、何とか魔獣に太刀打ちできるぜ。レイオス、少し手を貸してくれ。」
ファルスはレイオスの手を握り、強く念じ始めた・・。
「なっ・・、何をするつもりなんだ・・。」
「いいから手を握っていろ。今から俺の力の一部をお前にくれてやる。俺の力を持てば、俺がいなくなっても安心だ。その力で、仲間たちを守ってやれ!!じゃあな・・みんな。」
ファルスがそう言い残すと、セディエルとともに中央大陸へと向かった・・。
「ファルス・・。お前もがんばれよ・・。」
レイオスはセディエルとともに飛んでいくファルスを見て、叫んだのであった・・。

 リーダーであるファルスが欠けたレイオスたちは、これからの旅のことについて話し合っていた
「ファルスは中央大陸に行く前に俺に力を託してくれた。なんだか清々しい気分だが、本当に強くなっているのか・・。」
レイオスはそう言いながら剣を見ると、そこには見たこともないような剣があった。
ファルスの力を手にしたことにより、双剣が光の双剣に変わっていた!
 「うわっ!俺の剣が光っている!?
レイオスがびっくりした表情だった。
「しかしこの光の剣、強さのほどは一体どういうものなのか・・。一度素振りしてみるか・・。」
レイオスは光の剣を振ると同時に、光の刃が放たれた!
そばにいたブレアとリュミーネはその光景に驚いていた・・。
 「あっ・・危ないじゃない!!これじゃあ素振りでも危険だわ!!
「これは敵に向けて放てば大きなダメージを与えられるかもしれないね・・。でもこれほど危険じゃ、僕たちにもダメージを受けてしまうんじゃないかな・・。」
驚いていた二人を見て、レイオスがそう言った
「これは素振りでも危険だな・・。とてつもないほどの魔力がこもっているようだな・・。どうやらこれを使いこなすにはちょっと時間が必要だな。まぁ戦いのときにでも使わせてもらうぜ!!
レイオスは剣を鞘に戻し、仲間たちとともに怨恨の谷へと向かうのであった・・。

 一方ファルスは、セディエルとともに中央大陸へとやってきた。
唯一結界の張られていない地下通路を抜け、皇帝の間へやってきた。
「アメリア様、ファルスさんをここにつれて来て参りました。」
セディエルがファルスを連れ、アメリア様に言った。
「アメリア様、ファルスさんをつれて来て参りました。レイオスさんたちに仲間をくださいと言いましたが、彼らに断られましたが、ファルスさんが自ら名乗り出てくれました。」
セディエルの言葉にアメリアが答えた
「ファルスが来てくれるとは思わなかった・・。まぁいい。ここは中央大陸防衛のためにがんばってもらうぞ。お前のほかにもリュミーネの兄のディオン、そしてウォルティアの女王であるエルフィリスがここに来て中央大陸を守っている。そのほかにもいろいろな国も防衛のために戦っておる。お前の活躍に十分期待しているぞ・・。」
アメリアがそう言うと、ファルスはセディエルとともに戦いの場に向かった!
 
 「ファルスさん・・。少し離れていただけませんか・・・?
セディエルがそう言うと、ファルスは少し離れた。
「一体何が起こるんだ・・。」
ファルスはセディエルの行動に疑問を抱きつつ、しばらくの間待った。
 1分後、セディエルが戻ってきた。
「あなたに渡したいものがあります・・。これをもっていってください!!
セディエルはファルスにブレスレットのようなものを手渡した。
「このブレスレットは・・!?
「このブレスレットは、天使の力が込められた聖なる装身具です。私たち天使は、聖なる道具を作るとき、誰にも見られないところで作っているのです。人に見つかると、裁きを受けてしまうからです・・。ファルスさん、では健闘をお祈りいたします・・。」
セディエルはそう言うと、皇帝の間へと戻るのであった・・。

ファルスが欠け、3人になったレイオスたち。
中央大陸に戻ってきたファルスは、レミアポリスにて魔物を迎え撃つ!

 

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