新章最終話 ずっと一緒に…

 

レイオスを助けるため、レイオスの仲間達は、それぞれの故郷へと向かった・・。
仲間達の思いは同じ・・。それは全人類の祈りの力で、闇の世界にいるレイオスを救うことが目的である。
はたして仲間達、そして全ての生きる人間の祈りは、レイオスに届くのであろうか!?

レミアポリスでは、クリスの持つ水晶にヒビが現れていた・・。
「大変ですアメリア様!!このままでは水晶が割れてレイオスの様子を見ることが出来なくなります!
その言葉を聞き、あわててアメリアが駆けつけてきた
「なんということです!早く私の所に持ってくるのだ!
クリスが水晶を持った瞬間!!水晶が大きな音を立てて粉々に砕け散った!

「水晶が・・・、割れた・・。」
水晶が割れ、クリスが唖然となる
「もう・・、この世界も終わりじゃ・・。このまま闇に飲み込まれてしまう・・。」
アメリアも唖然となった・・。その時クリスが思い口を開いた・・。
「諦めてはダメです!私と共に祈りましょう!レイオスのために!
その言葉にアメリアが答えた
「そうだな・・。ここで諦めてはいかん!共に祈るぞクリス!
クリスとアメリアはレイオスのために祈り始めた・・。

一方ボルガの村では、村の全員を呼び、祈りを捧げていた・・。
「神様よ・・・。俺のライバルを守ってくれ・・。」
「勇者に再び光を・・・。」
「闇の王を倒し、フェルスティアに再び平和を・・・。」
ボルガの村の全員・・いや、グリザ地域の全員がレイオスのために祈った・・・。

ブレアは城の全員を呼び、レイオスに祈りを捧げていた・・。
「僕の大切な仲間を・・、決して失わせやしない!!
「勇者よ・・。我が息子が色々と世話になった。息子はレイオスと一緒に旅をしたことで、力と体だけではなく、心も強くなった・・。今度はわしがレイオスを助けよう・・。」
「私の魔力を・・、あなたに!!
ブレアとフレイヤードの城の全員は、今だかつてない気持ちの昂りを感じ、レイオスに祈りを捧げた・・・。

リュミーネは村の全員に呼びかけ、村の仲間達とウォルティア城の全員が祈りを捧げていた・・。
「みんな・・、わたしの大切な仲間を救って・・・。」
「レイオスよ・・、光と潤いの力を授けよう・・。」
「勇者よがんばるんじゃ!!ここで負けてはいかん!
「勇者を守るために、祈りの力を最大限に高めるのです!!
リュミーネとウォルティアに生きる全ての人は、風と水のささやきが聞こえたような気がして、レイオスたちに祈りを捧げた・・。

ファルスはレミアポリスの全員に呼びかけ、祈りの準備を始めた・・。
「みんな、祈るんだ!仲間のために!!
ファルスが叫ぶと、全員は一斉に祈り始めた・・。
「頼む闇の王を倒してくれ!!仲間のリーダーとして今は祈るだけだ!!
「勇者よ・・。闇の力に負けるでないぞ!
「この世界に再び平和をもたらしておくれ・・。」
ファルスは、レイオスのことが急に気がかりになって、人々と共に祈りを捧げた・・。

リュミーネは祈りの力でほかの地域に呼びかけた・・。
「お願い・・、私の仲間を助けて・・・。」
リュミーネの祈りが、風に乗ってフェルスティアの全ての地域に広まった・・。

――ルディア地域では・・
「レイオスのことが心配だわ・・。人々よ、祈りましょう!!
「わしも急に女の人の声が聞こえたような気がするんじゃ・・。だから今はレイオスのために祈ろう!
「旅に出てから彼は強くなった・・。でも、今は祈るときですわ・・。」
ルディア地域の人々、そしてレイオスの育ての親は、ふとレイオスの幼いこ頃の姿を思い出して祈り続けた・・。

――ヴィクトリアス地域では・・
「レイオスがピンチのようだ・・。死んではならんぞ!
「ここで死んではいけませぬ!闇に負けない、勇気を持って!
「ヴィンの末裔がピンチだ・・。祈りの準備を!
ヴィクトリアスの人々、そして王と王妃は、急に大きな胸騒ぎを感じて、レイオスのために祈った・・。

――凍てつく大地・スノウランドでは・・
「レイオスがピンチのようだな・・。私も力を貸そう・・。」
「寒いけどここは祈るしかないな・・。」
「勇者よ・・、この世界に光を与えよ!!
スノウランドの人々と元魔将軍のデイモスは、レイオスが死んでしまうという危機感に襲われ、祈り始めた・・。

――浮遊魔法国エルジェでは・・
「この魔力は知っている・・。レイオスと共に旅をしていたリュミーネという者が放っている祈りの力だ!レイオスがピンチなのですぐに祈りの準備を!
「究極の魔法の力を授けましょう・・。」
「死んではいかん!ここで死ぬと世界は守れぬ!
エルジェの全員は、リュミーネの発する祈りのオーラを敏感にキャッチし、レイオスのために祈った・・。

――神界では・・
「レイオスと共に旅をしていたあの娘のオーラだ・・。たしかに聞こえた・・。」
「心の叫びが聞こえてきます!徐々に大きく聞こえてきます!「私の仲間のために祈って!」と」
「では祈りましょう!神界の牢獄の囚人にも呼びかけるんだ!!」」
神界の全ての人々は、心の叫びをキャッチし、レイオスのために祈った・・。

「・・・・・。」
リュミーネの体から祈りのオーラが消えた・・・。
「もう・・、誰も思い浮かばないわ!どうか・・私の仲間を助けてぇっ!
リュミーネの目から涙が溢れた・・。
「誰か・・誰か私たちを助けて!
リュミーネはさらに祈り続けた・・。

アメリアとクリスも祈り続けたが、全ての生きる者の祈りだけでは足りなかった・・。
「何も思い浮かばない・・・。心が真っ暗に・・。」
「こうなったら最後の手段だ!別世界の人間に呼びかけるのじゃ!!
アメリアは脅威の作戦に出た
「えっ・・!?アメリア様?そんなことが出来るの!?
クリスがアメリアに問いかけると、アメリアが答えた
「確かに。私の古代呪文(グランスペル)の「時を超える祈り」を使えば、この世界の外、つまり別世界にいる者にも祈りの力が通じるのじゃ。せめてこの術を使えるものに覚えさせれば、大きな力になるかもしれん!!
アメリアの言葉にクリスはこう答えた
「たしか・・、レイオスの仲間達の中に術を使える人が居たかもしれません!たとえば・・、ブレア・・リュミーネ・・ファルスの三人だったような気が・・・。」
アメリアが急に何かを思いついた!
「そうじゃ!仲間達の中でずば抜けて魔力の高いのはリュミーネじゃ!いまから私がリュミーネの所に行き、この術を覚えさせて来るぞ!
そう言うとアメリアはリュミーネの元にワープした!

アメリアがリュミーネのいる村に到着した!
「アメリア様・・。私、レイオスを守ることが出来なかった・・・。」
リュミーネは泣き崩れていた・・。
「ここで諦めてはならん!必死に祈っても祈りは通じない・・。だからお前にこの術を授けよう・・。」
アメリアが古代術の本を取り出し、リュミーネに読ませた・・。
「この術は!!幻とされている「時を超える祈り」だわ!この術を覚えれば、きっとレイオスを助けられるわ!アメリア様、私にこの術を教えてください!!
リュミーネの言葉にアメリアが答えた
「良かろう・・。この本を最後まで読んだ時点で、お前の頭に術が焼き付いているはずじゃ・・。さぁ、私と共に、別世界の人間に呼びかけるぞ!!
「アメリア様、共に祈りましょう!レイオスのために!古代術(グランスペル)・「時を超える祈り」!
アメリアとリュミーネは「時を超える祈り」を唱え、別世界の人間に祈った・・。

「お願いです・・。私の仲間を助けてください・・。レイオスを救うことの出来る人・・それはあなたです!私とアメリア様と共に、レイオスのために祈りましょう!!

一方レイオスは祈りの力が届いたのか、体の傷が回復した・・。
「これで体力と魔力は回復した!ダークキング!戦いの続きだ!!
レイオスはダークキングに攻撃を放った!
「何度やっても同じだぁっ!!
ダークキングは全身を震わせ、白く輝く息を吐いた!
「うわぁ!!・・・って寒さが感じないぞ・・。逆に涼しいぐらいだな。」
レイオスは輝く息を受けて涼しげだ!
「なっ!?なんだ!俺の体が青白い光に包まれていく!
レイオスの体に異変が起きていた・・。
仲間達と別世界の人間の祈りの力がレイオスに届いたのだ!そして、体の中から仲間達の声が聞こえてきた・・。
「お前のための祈りの力で、闇の王を打ち破れ!
「僕達の祈りの力・・、決して無駄にはしないでくれ!
「私達の祈り・・、やっと届いた・・・。ううっ・・・。」
「はぁはぁ・・。やっと祈りが通じたぜ・・。」
「この世界に再び平和を取り戻すためにも、ここは負けられないぞレイオスよ!今ここに究極の力を授けよう・・。全ての力を解き放て!レイオス!!
全ての仲間の言葉に答え、レイオスが答えた
「わかったぜヴィン!この勝負絶対に勝ってみせる!このラグナブレードと波導の剣に誓って、必ずだ!!
レイオスは再び戦いの場に復活した!

「わざわざ私に殺されに来たようだな・・。だったら思い通りにしてやる!
ダークキングはその大きな両手でレイオスに掴みかかった!
「ぐあああっ!!
ダークキングの指が、レイオスの体をギシギシと締め付ける!!
「まずは手始めに苦痛責めから行くぜぇ!!まずは背骨からだ!!
ダークキングがサバ折りを仕掛けようとしたが、レイオスは思い切り力を込めて振り払った!
「ふんぬっ!!
レイオスが力を込めて振り払うと、ダークキングの両手が跡形も無く消え去った・・。
「ぐぎゃあああああっ!!
ダークキングは大きなダメージを受けた!
「私の腕が・・・。おのれ・・、許さんぞおおおっ!!
ダークキングは口から地獄の炎を吐いた!
ミス!レイオスは全くダメージを受けない!むしろ暖かいようだ・・。
「か・・、かくなるうえは・・。」
ダークキングの、てっぺき!
ダークキングの、つるぎのまい!
ダークキングの、こうそくいどう!
ダークキングの、わるだくみ!
ダークキングの、ドわすれ!
ダークキングは全能力をグーンと上昇させ、レイオスに向かっていった!
「これで終わりにしてやる!!覚悟しろレイオスよ!!
ダークキングは肩を怒らせレイオスに突進してきた!
「さてと・・、お遊びはここまでだな、そろそろ終わらせるぜヴィンよ!!
「喰らえ、波導の秘術!轟雷波!
「受けてみろ、波導の秘術!鳴動烈火!
「喰らえ、煌波導の術!光石煌波(ジュエルバースト)!
「俺の怒りは静まらんぞ!光波導の光術!邪殺閃光波!
「これで最後だぁっ!!受けてみろ、神滅波・闇を掻き消す光!!
レイオスの指先から強力な光のエネルギーが放たれ、ダークキングの心臓を打ち抜いた!!

ダークキングの心臓を打ちぬいた瞬間、大規模な地殻変動が起きた!
「ググググ・・・!!よくぞ私を打ち破った・・。だが、お前も道連れだ。もうすぐこの闇の世界は崩壊するのだ・・。わしと共にこの闇の世界で散るが良い!!ハッハッハッハ・・・!
ダークキングはそう言い残し、闇に消えていった・・。
「やばいな・・。目の前の大地が崩れていく・・。このままでは俺も死んでしまうな・・。どうせならこの闇の世界で死ぬのも悪くはない・・。」
レイオスは静かに目を瞑った・・・。
レイオスの周りの大地が、音を立てて崩壊していく・・・。
「ボルガ・・、ブレア・・、リュミーネ・・、ファルス・・、俺は闇の王を倒したぜ・・。そして、ありがとう・・みんなと会えてよかった・・・。」
レイオスは崩れ行く大地と共に闇に飲まれていった・・・。

そして、一週間が過ぎた・・。

「ここは何処だ・・・。」
レイオスの目には、青空が浮かんでいた
「俺は死んだのか・・。だとしたらここは天国なのか!?
レイオスがそう言った瞬間、天狗のような人間が話しかけてきた!
「何を言うか!!ここは地上界・ルディア地域の山奥の森の中じゃ!おっと・・、自己紹介が遅れたな・・。私の名は聖風神フーテンじゃ!お前がダークキングを倒してくれたおかげで、私は自由の身になった。そして、闇に堕ちていくレイオスを救い、この地上界につれてきたのじゃ・・。」
聖風神フーテンの言葉に、レイオスは答えた!
「ならば俺をレミアポリスに連れて行ってくれないか!?
その言葉にフーテンはこう答えた
「お前の言葉、しかと聞き入れた!わしの背中に乗れ!!
レイオスはフーテンの背中に乗った!
「よし、飛ばしていくのでしっかりつかまっているのだ!!
フーテンは団扇を振り下ろして強烈な風を巻き起こして空を飛び、仲間の待つレミアポリスへと向かうのであった・・。

「さぁ、レミアポリスにいるアメリア様の下に行くのだ!仲間達がみんな待っているぞ!
レイオスは懐かしいレミアポリスの石の階段を一歩一歩あるき始めた・・。
その姿を、仲間達はレミアポリスの城の窓から見ていた・・。
「あっ!?あれって!レイオスじゃないか!?
「この姿は知っている・・・。紛れも無くレイオスだ!
「レイオス・・、生きてて良かった・・・ぐすっ・・・。」
「早くレイオスの所に行くぞ!
「なんじゃなんじゃ・・。私を置いて行くでない!!
全員は一気にレミアポリスの城を飛び出し、レイオスに駆け寄った!

レイオスがふと前を向くと、階段を大慌てで駆け下りる仲間達の姿がそこにあった・・。
「み・・、みんな!!待っていてくれたのか!?
レイオスはその歩みを止めた。
「生きていて良かったぜ!さすがは俺のライバルだ!
「僕も帰ってくるって信じていましたよ!!
「私・・、あなたが死んでしまったのではないかと考えると・・・。ううっ・・。」
「リーダー命令に背くことなく生きて帰ってきたな!!とりあえずみんなの力が届いてよかったぜ!!
仲間達が涙を浮かべながらレイオスに駆け寄った
「なんだかうれしくて涙が出てきたぜ・・。俺は、お前らと離れていてもずっと一緒だ・・。」
レイオスの言葉にアメリアがこう答えた
「ばか者め!死んでしまっては意味がないだろうが!お前を救うために、私とリュミーネで別世界の人間に祈りを呼びかけたおかげでお前は生きているのだぞ・・。」
アメリアが涙を浮かべながらこう言った・・。
「さぁ、みんな・・。俺が無事だったことだし、故郷に帰るぞ・・・。」
レイオスがそう言うと、全員がそれぞれの故郷に戻っていった・・。
「また・・、会えるといいな・・。」
「今度会うときは本気のバトルだ!!なんたって俺はお前のライバルだからな!!
「レイオスと僕を含める仲間達は、離れていてもずっと一緒ですよ!!
「俺はここに残る・・。」
仲間達がレイオスにこう言い残し、レイオスの故郷であるルドリーへと戻っていった・・。

闇の世界での死闘の末、レイオスは闇の王を打ち破った。
そして、フェルスティアに再び平和が訪れる…。

 

twin jewel stories 新章 〜空間と時間の双玉〜

 

THE END

 

 

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